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義妹記  作者: 白鳳
義妹編
31/59

お宝山遠征(1)










「………。」







「……………。」








「……………………。」





「それにしても、暑いね…」


「まったくだ…」


荷台に乗った俺達は人に見つからないようにとブルーシートを被ったのだが、それが間違いだった。盛夏時ではないとはいえ太陽の活動は活発で、発散していくはずの熱もシートに跳ね返されてしまうため、俺達完全に蒸し焼き状態だった。


「もう限界だ!暑くて死ぬ!!」


耐え切れなくなった俺はシートを引き剥がす。今まで遮られていた太陽光が降り注ぐ、この眩しさもなかなかキツイが蒸し焼きよりはましだ。


「いやー、涼しい涼しい!」


「大丈夫かな…、見つかったりしない?」


「大丈夫大丈夫、目立つことしない限りな」


「そうだよね…キャッ!」


車が揺れる。この辺りの道はちゃんと舗装されてるから、おそらく乱暴なギアシフトをしたんだろう。


「ったく…、人載せてんだからもう少し丁寧に運転しろよ、なっ!」


足で運転席の壁を蹴る。するとお返しと言わんばかりに車が速度をそのままにしてカーブを曲がる。俺は遠心力を受けて側壁に押し付けられる。そこからさらにマナも滑ってきてサンドイッチされる。


「ご、ゴメンね、マモル君!」








「お、あの二人近い距離になっていいカンジじゃん」


「ほなもう少しアシストしたろか!」








「……いつまでくっついてるんだ?」


「あ…、そ、そうだね!」


マナが俺から離れる…が、その瞬間に運転手がハンドルを切ったため、再度マナが近づいてくる。



―――ゴチン!!



勢い余ってマナの脳天が俺の脳天と鉢合わせする。


「いたた……マモル君、大丈夫?」


「あぁ…。つか頭じゃなくて唇が接触するもんじゃないのか?普通」


「こ、こんな人目につかないところでマモル君と……///」


やっぱりマナはゆで上がった。余程の初心とみた、これが箱入り娘というやつか…。









車を走らせること15分―――



キキィィィィ!!



突如車がドリフトし、やはり俺は壁に叩き付けられる。しかもさっきより強烈で、衝撃の瞬間には星がちらついたほどだ。



「ついたでー、お二人さん」


「お楽しみ中のとこ申し訳…って、守、お前何してんだ?」


「滑りながら止まる奴があるかぁ!!!」


大声を出したせいでまた頭が痛くなる。


「マモル君、大丈夫?歩ける?」


「ちょっと休ませてくれ…、あとで追いつくから」


「じゃあ私もここで待ってる!」


「ダメだ」


「え…?」


「万が一の時にどうしようもないからな。それよりもあいつら二人について行った方が安全だ」


「せやな。それが賢明や」


マナは不服そうだったが、観念して二人と一緒に一足先にお宝山へと踏み出していった……。































「危険区域の中にこんなところがあったんだね…」


「普通の人は来ないからな、知らなくて当然だ」


「三人はよくここに来るの?」


「ワシらはよう来るけど守は誘わん限り来ぇへんな」


「そうなんだ。やっぱりマナミちゃんにぞっこんなんだね…」


「アイツらは兄妹だからしょうがねぇよ。俺だってあんな妹がいたらそうするし」


「そう…だね…」











―――――楽しいお散歩はそこまでにしてもらおうか










「誰や!?」


廃棄物の山の陰からぞろぞろと人が出て来て、目の前に人の壁が出来上がる。


「この辺りを仕切ってる『Redレッド Crimsonクリムゾン』だ」


「お前らこの先に行きたいんだったら、出すもん出してもらわないとなぁ?」


親指と人差し指で輪を作り金を要求する。もちろん渡すつもりはないので


「ワシら金ないねん」


「じゃあ回れ右してお引き取り願おうか」


「どうしても通りたいっつったら?」


こちらの意思を向こうも汲み取ってくれたようで、関節を鳴らしたり、いかつくメンチ切ったりし始める。ハギとケイの2人は何歩か前に出、マナを戦線の外に置こうした。


向こうはそれを開戦の合図だと思い、何人かが仕掛けてくる。


ケイは助走をつけて振りかざされる鉄パイプをしゃがんでかわし、アッパーカットを顎に叩き込む。


ハギは繰り出される拳打にタイミングを合わせて掴み、引き落としてアームロックを極める。


そんな感じで敵を次々に蹴散らしていき、第一陣の最後の奴を二人の息のあったフロントキックでぶっ飛ばす。


「どうした、もう終いかァ!!」


「好き勝手出来るのもそこまでだ」


「あぁ!?」


背後からの声に反応して振り返る。視線の先には羽交い絞めにされ、喉元にナイフを突きつけられたマナがいた。


「そこから一歩でも動いてみろ、このお嬢ちゃんの命はないぞ?」


「チッ…。どっちかはマナの護衛に回すべきやったな」


「どうする、黙ってフクロにされるしかないのか?」


2人は覚悟を決め、降伏の意思を示そうとした―――


その時、マナの背後からふいに腕が現れ男からナイフを奪い取る。







「待たせたな」







直後、武器をとられた男が俺に裏拳を浴びせる。俺はマナに注意を向けさせないために、あえて避けず顔面で受ける。


顔全体に刺激が伝わるも骨に異常が起きたような感じはしなかった。鼻血は出ているようだが。


マナの無事と俺の到着を確認した二人は俺達に背を向け、『交渉』を再開した。


さらにそれを見届けた俺は、マナを羽交い絞めにした不届き者に制裁を加えようと相手をロックオンする。


実力の差と俺から逃げることのできないことを悟った不届き者は悪あがきの如く俺に文字通り飛び掛かる。


俺はそれを横薙ぎに脚で払う。相手は瓦礫の山に音を立てて突っ込んだ。



「ほな守、マナは任した!」



一瞬ハギがこちらを向きそう叫ぶ。そしてすぐに反転しまた蹴散らしにかかる。


ハギの言葉をしかと聞き届けた俺はマナを抱きかかえて瓦礫の山の頂点に移動する。抱きかかえられたマナの反応は言うまでもないが、俺は一向に気にせず頂上を目指す。


到着したところでたまたまそこにあった椅子にマナを座らせる。俺はその横で従者のように直立する。


「マ、マモル君は応援に行かなくていいの…?」


「ご心配には及びません、お嬢様。彼らは私が一目置く存在、これしきの事ではやられませんよ」


「そ、そうか。ならば私の護衛に徹底するのだ、マモル」


「かしこまりました」


せっかくなので執事っぽく返してみた。マナも初めは驚いたようだったがすぐにそれに乗っかって返してきた。


(『お嬢様』っていうのはあんまり好かん、『お嬢』って言った方がしっくりくるな…)





そんなこんだで俺達が執事ごっこに興じることおよそ半刻。2人は敵を全滅させ、通れるようになっていた。


「それでは下に降りますよ、お嬢」


「う、うん…じゃなかった、うむ、いいぞ」


マナは椅子から立ち上がり、俺に身を委ねる。帰りも行きと同様俺がマナを抱きかかえて移動する。


「地面に降り立ったら私たちはまた対等イーブンの関係となりますのでお忘れなく・・・」


耳元で囁き、瓦礫の山をゆっくりと下山する。平地にまで下りたところでマナを降ろす。


「ありがとう。マモル君」


「いいってことよ。それじゃ、本題に戻りますか」


ソファ探しを開始する。といっても『さっきみたいにどこかのグループが支配していたということは、アジトに行けば質の良いものがあるはずだ』ということで現在は移動がメインである。


必然的にお宝山の深部へと足が向けられる。進むにつれて捨てられているものが最新のものではなくなり、中にはプレミアのつきそうな物さえあった。


さらに歩くこと10数分――、先ほど蹴散らしたRed Crimsonのアジトに到着する。廃棄物を寄せ集めて作られたバリケードを目の前にし、3人は足を止める。


「え?先に進まないの?」


「進むことは進むんだがこの先で待ち伏せされてるだろうからな」


「せや。ワシら3人なら迷わずゴーサインやけど、じぶんがおるからなぁ…」


「別にお前がお荷物って言ってるわけじゃないぞ?貴重な癒しキャラだし」


「それじゃ、俺が行こうかね。さっきはお前らが活躍したことだし」


俺が進んで一歩前に出る。がしかし、マナが俺の服を掴み、引き戻そうとする。


「ダメだよマモル君!危険だよ!!」


マナはしっかりと服を掴んでいて、その眼には決して離すまじという決意が込められていた。


「心配すんなって。こう見えて俺はそこの2人よりも強いんだから」


「え…?そ、そうなの…?」


「ま、まぁ…そういうことにしといたろか」


マナが二人を見ると二人は認めたくはない一心から強がりを言う。それを聞いたマナは少し安堵の表情を浮かべると、ポケットからヘアピンを取り出し、俺に託す。


「ヘアピン…。無事に帰って来て返してってことか?」


マナは黙ってうなずく。そこで俺は前髪が目にかからないよう片側に寄せ、マナから貰ったヘアピンで留める。


「それじゃ、行ってくる」


後ろで「キスしろキス!」と囃し立てる2人は無視してマナの頭にポンと手を置く。弾力のあるやわらかい感触を味わった後、バリケードを乗り越え、一人戦場へ赴く。





守「お疲れ様でした。今回更新分は以上となります、次回更新をお待ちください」




マナ「そういえばソファ壊れたって言ったけど、なんで壊れたの?」


ケイ「なんでだっけ?」


守「お前が大暴れした時にぶん投げたんだろ…、自分の事なんだから覚えとけよ」


ハギ「待ちぃや。ぶっ壊したんは守、お前やないか」


守「とっさの判断だったんだ。仕方ない」


ハギ「仕方ないで済ますなボケェ!」


マナ「え、えーっと、つまりは…」


律「つまり、ケイが守にそのソファを投げつけ、守はそれを破壊した。

  それで、ハギは見て面白がっていたということね」


三人「まぁそんなとこだ」


マナ「じゃあ三人とも悪いじゃない!!もっと物を大切にしないと!」


以降、マナのお説教のようなものが小一時間続いたのであった…。





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