ごく平凡な朝
――ドッタッタッタ…バァン!!
部屋のドアが勢いよく開け放たれる。
壊れるからやめてくれというのだが、朝のこのときだけは必ずこうだ。
「お兄ちゃん!おっきろ~!!」
カーテンを開け、新鮮な朝日が寝ている者を容赦なく照らす。
だが慣れとは恐ろしいもので、最近はこの程度では目覚めないときがある。今日は目覚めたが。
「んっ・・・あぁ・・・。」
「おはよう、おにいちゃん。」
「あぁ…おはよう…じゃ、おやすみ」
さらに深く布団を被り、防御体制をとる。
正直なところもう目は覚めているので寝るつもりはないのだが、この手の攻防が楽しい日課になっている。
布団の暗闇の中で時間を確認する。7時過ぎか、5分10分は余裕がありそうだ。
いや、でも今朝は学校の前に綾さんとこに行こうと思うからそれなら…
「もーっ!お兄ちゃんがその気ならこっちにも考えがあるんだからね!」
右手にはお玉、左手にはフライパンを持ち、天高く掲げ
「秘儀!死者の――」
「待て待て待て!!そいつはダメだ!」
布団から飛び出し、両手を押さえつける。
押さえつけるまではよかったのだが…飛び出した勢いで押し倒してしまった。
「お兄ちゃん…///」
「わ、悪い…」
危ない危ない、俺があと2~3歳若かったら一線を越えてただろうな。
そんなことを思いつつ立ち上がり、マナミを起こす。
「じゃ、じゃあ下でご飯にしよっか」
「そうだな」
まだ顔が赤みを帯びている、可愛いなぁ。
下に降りるとすでに食事の用意はできていて俺の着席を待つだけであった。
俺は洗面所へ行き歯磨きを軽くしてから顔を洗い、それから食卓につく。
それから二人そろって合唱し、いただきます、と一声。
基本的に食事は弁当も含めてすべて真奈美の担当だ。
前に俺が作ったのがかなり不評で、それ以来俺が料理のために料理場に立ったことはない。
食事の前後にかけて報道番組を見ていたが、連日事件の報道は絶えることを知らない。
だが俺たちの活動が表沙汰になることは決してない。
おやっさんがいろいろ根回しをしているらしい。老婆心というやつだ。いや、老翁心か。
「お兄ちゃん、そろそろ行くよ?」
「お、もうそんな時間か」
一旦部屋に戻り、制服に着替える。
その後、薄っぺらいカバンを持って玄関に行く。
「よし、行くか」
「うん!」
そして俺たちは家を出、学校へ向けて歩き始めた。
寝起きの口ん中ってすごく汚いから、食事前に歯磨きした方がいいと聞いたんで食事の前に歯磨きをさせてみました。
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