マナとデート(2)
作者「あけましておめでとうございます」
一同「おめでとうございます」
作者「今年も皆様から一層のご愛好を頂けますよう努力していきますのでよろしくお願いします」
一同「よろしくお願いします」
作者「それでは本編をお楽しみください」
目を覚ますとそこは学校の校庭。周りにはどこの学校の者かも知らないちゃらんぽらん共。
だが、その最奥にいる男とその取り巻きの内の一人には見覚えがある。あれはこの前河原で喧嘩をしていた奴らじゃないか?
そしてその近くには地面に突っ伏しているハギとケイがいた。だとするとあいつがターシャル・・・・?
状況はよくわからないが俺一人でこいつら全員を相手にしなければならないらしい。
取り巻き達はあらかた倒した。雑兵の割にはよく訓練されていて、何発か貰ってしまい全くの無傷というわけにはいかなかった。
奥からターシャルがこっちに向かって歩いて来る。ある程度進んだところで止まり、構える。
その瞬間、闘気が解放される。周囲に独特の空気を醸し出し、周囲を圧倒させる。
(この感じ……夜叉!?)
そんなことが一瞬頭をよぎったが、容姿・体格すべてが夜叉とは明らかに違う。
俺の動揺を察知してかターシャルは不敵な笑みを浮かべた。
「守さん、俺の声に聞き覚えはありませんか?」
「お前の声…?」
確かに、声を聞くのは初めてのはずだがどこか聞き覚えがある。
思い出してみる、が、当然思い出せるはずもなく沈黙が続く。
「やれやれ、僕が分からないのかい?守君」
「………!」
俺のことを君付けで呼び、一人称が『僕』のやつといえば…
「…真人か」
「やっと思い出してくれた?嬉しいなぁ」
ターシャルは一度俺に背を向けて自分の顔をぺたぺた触る。
その後に俺の方を向いた時には、さっきまでとは一変、真人の顔になっていた。
「真人、お前は一体…」
「そうだね、ここいらで一回ちゃんと自己紹介しておこうかな。
ある時は強襲のエージェント『夜叉』・またある時はごく普通の高校生『木下真人』
そしてその正体は…変装・潜入のエキスパート『緊那羅』。それが僕さ」
「お前…過激団の一員、しかも幹部クラスだったのかよ…」
「知らなかったのかい?調べが足りないね。僕は初対面の頃から君の裏の顔を知ってたよ?」
「…こいつは恐れ入ったな。それにしてもお前が八部衆の名を二つも持っているとはな」
「それはただの人手不足だよ、見合う実力者がいないんだ。『天』だけは永久欠番になってるけど」
真人は一通りを話すと構えを解き、俺に手を差し延ばす。
「守君も過激団に来ないかい?君なら僕の『夜叉』を明け渡してあげてもいいんだけど」
「あいにく俺は義理堅いんでね、そう易々と鞍替えをするつもりはない」
「そっか…。予想はしてたけど、残念だなぁ」
差し伸べていた手を引っ込め、再び構える。
「こうなったら死んでもらうしかないね」
戦いは避けられないと察し、こちらも構える。この時俺はあることを考えていた。
もしあいつの言ったことが本当だったとしたら、俺の実力では敵いそうにない。だが本当にそうだったらわざわざ雑兵を使って俺の戦闘力を削っておく必要があっただろうか?
導き出される結論は一つ、『真人≠夜叉』だ。そう思うとなんだか気が楽になった。
二人とも後ろに下がり、一直線に直進する。そこから全エネルギーを拳に込めて打ち出す。
二人の拳が衝突するその瞬間――
「―――ハッ!・・・夢か」
どうやらさっきまでのは夢だったらしい。時刻を確認すると、午後1時前。2時間程度寝ていたようだ。
寝たときはシート越しだったはずだが、起きてみると心地よい柔らかさと温かさを感じる。周囲の状況を確認しようと手を四方八方に伸ばす。
手を動かしているうちに目が冴えて意識がはっきりしてくる。そして気付く、俺はいつの間にかマナに膝枕されていたのだ、と。
「あ、マモル君…おはよう」
「あ、あぁ…おはよう」
さっきまでの奇行を終始マナに見られていた。そう思うと体が火照り、俺を紅く染め上げる。
「起きたことだし、お昼食べる?」
「そ、そうだな。でもその前に飲み物ないか?」
「あー…ゴメン、お茶持ってくればよかったね」
「んじゃ買ってくる。来るか?」
「う、うん。行く!」
財布から小銭を取り出し投入する、自販機のボタンに光が灯る。その中から俺はお茶を選び、ボタンを押す。
「………。」
商品が出てこない。押しが甘かったのかもしれないと思い、今度は強めにボタンを押す。
「………。」
やっぱりお茶は出てこない。一刻も早く飲み物が欲しかった俺は『実力行使』に出ることにした。
少しだけ集中し、気を静め雑念を払う。
「だ、ダメだよマモル君!!器物損壊になっちゃうよ!」
「誰も壊しゃしないって。それよりも俺がいいっていうまで後ろを向いててくれないか?」
「う、うん…。わかった」
マナが背を向ける。すかさず俺はポケットから『専用の道具』を使って鍵と格闘を始める。
たまたま周りに人がいないとはいえ、1分もすれば人が来る。悠長にやっている余裕はない。
そんなことを考える間に申し訳程度についている防犯用の錠前を全て外す。そして自販機の扉の開放に取り掛かる。
数秒後には開けることに成功し、目的の品を手に入れる。
あとは扉を閉めて施錠し、最初の状態に戻す。これまで時間にしておよそ50秒、幸いにも目撃者はいないようだ。
「もういいぞ」
「えっ、もういいの?」
「あぁ。戻るぞ」
さっきの木の下に戻ると、マナは手荷物からサンドイッチを取り出し、包みをはがす。
「マモル君は嫌いなものなかったよね?」
「ないな」
「じゃあ…はい、コレ」
マナから渡されたサンドイッチを味わう。食べてみるとマナミの手料理クラスに美味かった。
こうして俺達はのんびりと昼食を味わった。
作者「お疲れ様でした。今回分の更新は以上となります」
マナ「新年一発目が夢の話なんて奇遇だね」
守「初夢にしてはろくでもない夢だがな…」
マナ「でもこれって重要なイベントなんだよね?」
守「さぁ?どうだろうな、所詮は夢だし」
マナ「そ、そんな身もふたもない…」
律「てかアンタどこであんな技術身に付けたのよ」
守「言うわけないだろ」
律「あんなことしなくても蹴ったんで十分だったでしょうに…」
マナミ「お兄ちゃんは昔自販機を蹴って壊しちゃったことがあるんだよね~」
守「マ、マナミ!いらんこと言うな!」
マナミ「ふーんだ」
綾「マナミちゃん、不機嫌ね。膝枕への嫉妬かしら?」
オニさん「でしょうね。女の嫉妬って怖いわー」
綾「ホントね」
瑞姫「ふ、二人とも女性ですよね…?」