探索(1)
一方、マナミの方はというと――
「それでは、センパイの部屋に潜入取材をしてみたいと思いまーす」
「サキちゃん、なんで小声なの?お兄ちゃんはいないよ?」
「こういうのは雰囲気が大事なの」
ドアの前に立ち、鍵がかかっていないことを確認する。
「いざ、突入!!」
サキちゃんのかけ声を合図に3人が守の部屋に入る。
「さーて、特ダネはどこかしら!?」
入って早々部屋のいたるところをくまなく探すサキ。マナミは守のベットに飛び込んでいた。リサは棚の書物に片っ端から目を通していた。
「おかしいわね…。こういう場合、ベッドの下とか引出しの中にはエロ本・エロゲーが定番なのに…」
「そうなの?」
「そうよ。マナミちゃんみたいなカワイイ妹がいる場合、大抵は妹ものか逆に姉ものがあるはずなのよ」
「そ、そうなんだ…、じゃあお兄ちゃんも…///」
「可能性は十分にあるわ」
「あっ!!!コレは!!」
書物を読みふけっていたリサが突然大声を上げる。
「どうしたの?リサリサ」
「見てよこれ、守先輩のアルバムよ!!」
「なんですって!?大手柄よ、理沙!」
「お兄ちゃんのアルバム!?」
三人の期待のこもった視線がアルバムに向けられる。そのアルバムの中を見ると―――
「こ、これは……!」
「マナミちゃんしか写ってない…?」
中に収められている写真はすべてマナミが写っていて、守が写っている写真は一枚もなかった。
「センパイが写ってる写真は一枚もないわね…」
「なんでかな?」
「シスコンだからじゃない?」
「やっぱそうよねー、じゃあこのアルバムはもう用済みね」
アルバムを元の場所に戻す。次に彼女らの白羽の矢が立ったのはクローゼットの中だった。
「今度こそ、何かあるはず…!」
扉を開け、中にある服をチェックする。
「……制服とジャージしかないじゃない!!」
ここにもネタがないことに不服なサキは服を押しのけてさらに奥に進む。
「あの先輩に何も裏がないなんてことは……あらーっ!?!?」
「サキちゃん!?」
突如、サキの姿が消える。二人が慌てて近寄るも、やはりその姿はない。
「サキは先輩の部屋に巣食う魔物の餌食になってしまったのね…」
「サキちゃん…」
「ちょっと!勝手に殺さないでちょうだい!!」
壁が回転し、サキが姿を現す。
「サキちゃん!?」
「驚いたわ…まさかクローゼットの壁の一部が回転扉になってたなんて、普通なら気付かないわ」
「ということは、この先に…」
「えぇ。アタシ達の探すものがあるはずよ」
回転扉の先に進む。真っ暗な通路を進むと、小部屋に出た。
そこにはさらに他の部屋に繋がるドアがあったが、それ以外にも見所が満載だった。
「これって…暴走族とか、そういう人たちが着る服よね」
リサが取ったのは特攻服で、白と黒の二種類がそこにはあった。
「風神・雷神の二人と仲がいいのは、やっぱりそういう裏があったのね…」
「背中に書いてある『我亜濔暗』、なんて読むの?」
「が、あ、………三文字目が読めないね」
「それは『でい』って読むのよ、だからきっとガーディアンね。いかにもセンパイらしいわ」
「ガーディアン…カッコいい名前だね!」
目をキラキラと輝かせて言うマナミ。
サキは守がこの服を着てどういうことをしていかたの見当はついていたが黙っていた。
「ふぇ~。お兄ちゃん、スーツも持ってるんだぁ」
特攻服の隣にはスーツが上下セットで2着あった。
マナミとリサは何も気にせずに物色を始めたが、サキは何か引っかかるものを感じた。
(あのスーツ…片方は普通のでしょうけど、もう片方のはビックリするくらいに『黒い』わね…。後で師匠に聞いてみましょ)
「ねぇ、これマナミちゃんだよね?」
リサが一枚の写真をマナミに見せる。そこには守とマナミが知らない年上の男と一緒に写っていた。
「確かにこれはマナミだね…」
「これっていつごろの写真?」
「ん~……小学校、かな?」
「これが先輩だとして、こっちの人は?」
「この人は・・・・・・っ!!!!」
マナミが頭を押さえて崩れ落ちる。すぐさま二人がそれを支える。
「マナミちゃん、大丈夫?」
「やっぱここは入っちゃマズイ場所だったかしらね…。一旦撤退するわよ、理沙」
「了解」
ぐったりとしたマナミを二人がかりで担ぎ、隠し部屋を後にした。
理沙「お疲れ様でした。今回の更新はここまでです。次回の更新もご期待ください(棒)」
マナミ「ちょっ、リサリサ!カンペ棒読みしちゃダメだよ!」
沙希「違うわよ、マナミちゃん。今の場合、『よく漢字が読めたね』てほめてあげるのよ」
マナミ「そんなことできないよぉ…」
守「リサちゃんってそんなになの?」
沙希「そうですよ、センパイ」
守「俺の物理の点くらい?」
理沙「さすがにそこまでは…。赤点ボーダー位です」
守「なん、だと…orz」