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義妹記  作者: 白鳳
義妹編
20/59

マナミとデート(1)



――土曜日――


「それじゃ、行くか」


「うん!行こ、お兄ちゃん」


マナミの手を握り、家を出る。



「それで、今日はどこに行くんだ?」


「ん~…まずはゲーセン行こ!!」





――ゲームセンター――


ワイワイ、ガヤガヤ――


「ここはいつ来ても騒がしいなぁ…」


「ここはこーゆーとこなの、お兄ちゃん、もしかして初めて?」


「いや、初めてじゃないけど…2,3年ぶりだな。それまでは結構通ってたけど」


「ふぇ~」


「おっ、このシリーズまだやってんのか」


ゲーセンの中を歩いていて俺の目に留まったのはとある格闘ゲームの筐体。


勝ち抜き戦をやっているらしく、人だかりの向こう側ではチャンピオンらしき人物が次の挑戦者を待っていた。


「よぅチャンピオン、次いいか?」


「あぁ、来なよ」





―――数分後


K.O.


「………………。」


チャンピオン(元)は全くの想定外の出来事に言葉を失い、魂の抜け殻状態だった。


ざわ・・・ざわ・・・


「すごいねお兄ちゃん!」


「でも久しぶりだったからな、さすがにパーフェクトは無理だったな。コマンドが大きく変わってたら危なかったな」


「新チャンプの誕生だ!」


「しかもチャンプ相手に2回とも余裕勝ちとか何者だ!?アイツ」


「それに付添いの子『お兄ちゃん』とか言ってたぞ!」





「何だ何だ、ケンカか!?」


騒ぎを聞きつけて奥の事務室から海坊主・・・もとい、ゴツいおっさんが出てくる。


「おー、懐かしい人が出てきたな」


「あん?誰だお前は?」


「お兄ちゃん、この人と知り合い?」


「もちろんだ。なあ、あの時の記録って結局どうなったんだ?」


「そんなものは知らん」


「あれから3年近く経つしな…忘れられてもしょうがないか。『前人未到の89連勝』も今は昔、か」


「「「「なに……」」」」


ギャラリーの見る目が変わる。どうやら知名度は結構あったようだ。


「あの伝説の…」


「でもそれならさっきの結果も納得できるな」



「だがその記録を樹立した奴はもっとツッパってたぞ。お前さんみたいな好青年とは似ても似つかんな」


「…しょうがないな。オッサン、100円よこしな」


「それでどうしようってんだ?」


「お前らにワンコインの夢を見せてやるよ」


「お兄ちゃん、そのセリフはちょっと…」


マナミは吹き出しそうになるのを必死でこらえていた。


「そ、そのクサい言い回し…お前があの時の…」


「さっきからそう言ってるだろ」


「そうかそうか、お前が!あのころはだいぶヤンチャしてたのに更生して立派になったな・・・」


オッサンは一人で勝手に泣き出した。やっぱり年を取ると涙腺がもろくなるようだ。


「で、それはいいから俺の記録はどうなったのか教えてくれよ」


「抜かれるわけないだろ、あんな記録。新台と入れ替えになるまでずっと健在だったよ」


「それを聞いて安心したよ。じゃ、俺らはいろいろと見て回るから」


「あぁ、楽しんでいってくれ」







「お兄ちゃん、どうして連勝記録止まっちゃったの?」


「邪魔が入ってゲームを続けられなくなったんだよ」


「え?もしかして…ユキ先輩?」


「そ」






――3年ほど前――


「ッしゃあ!」


「また勝ったぜ、アイツ。これで何勝目だ?」


「たしか89勝目だ。つーかこれ難易度『狂気ルナティック』だろ?俺なんて1勝もできないぜ」


「お前ら、まだまだ夢の続きが見たいよな!?」


「「いぇーーーい!!」」


「よーし、上出来だ。とりあえずは3ケタ勝利を目指して…」



ピーピピピピ!!


警笛の音が響き渡る。そして音のした方から俺に向かって人の海が切り開かれる。


「見つけたわ、黒武者守!あなたを『遊戯施設の出入り』の現行犯で逮捕するわ!!」




「なんだなんだ」


「ゲーセンに出入りしただけで逮捕だってよ」


「ざけんじゃねえよ。俺はあいつの記録がどこまで行くか見てえんだ。邪魔すんじゃねえ」


「黙りなさい!!」


まさに鶴の一声。一瞬でその場が静まり返る。


「マジメだねえ、ユキちゃん。なんでそんなに俺をしつこく追いかけてくんの?」


「あなたを一度も逮捕したことがないからよ」


「なるほどな、だが大人しく捕まってやるつもりはないんでな!」


そして俺は人ごみの中へと消えていった。


「こら!待ちなさい!!」


そして二人はその場から姿を消した・・・







「…ってなことがあったんだよ」


「ほえ~、そんなことがあったんだ」


「そのせいでか今でも優先的に追っかけてくるんだよ」


「でもさすがに今は…わわっ!」


突然止まったためマナミは俺の背中にのめりこむ。


「あったかい・・・じゃなくて、お兄ちゃん!いきなり止まらないでよ!」


「悪い、風紀員が警邏してるのが見えたからな」


「けーら?」


「パトロールのこと」


「見つかっちゃったら大変じゃない?」


「大丈夫さ、見つからなければいいんだから」


「あ、そっか。じゃ他行ってみよ!」





マナミ「昔のお兄ちゃんってこんな感じだったんだね」


守「できれば忘れてくれ…、黒歴史だ」


星野「私が向こうにいたころの守はあんなのだったのね…」


守「まぁな。…って、お前は出てくるなって前にも言っただろ」


マナミ「お兄ちゃんがけーはぎ先輩と仲良くなったのもこの頃なの?」


守「まぁ…そうだな。ゲーセンで何度か会ったこともあるし」


マナミ「ユキ先輩との因縁も?」


守「因縁…っつーか向こうがしつこく追いかけてくるだけ」


マナミ「じゃあマナ先輩と知り合いになったのも?」


守「マナとの付き合いはもっと長いな。幼馴染だし」


マナミ「ねぇお兄ちゃん、『幼馴染補正』ってあるの?」


守「なっ!?」


マナミ「この前サキちゃんから聞いたんだけど…ホントなの?」


守「ない…ことはないな」


マナミ「やっぱそうなんだ…」


守「でもお前には『妹補正』があるからそれでおあいこってとこだな」


マナミ「ホント!?うれしい!!」


オニ(色男も大変だな)


守(せっかくいい感じになってたのにぶち壊さないでくださいよ)

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