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義妹記  作者: 白鳳
義妹編
17/59

身近な同業者(2)





部屋を出て通路を右に折れ、つきあたりの角を左に曲がる。そこは長い一本の通りで、左右には他の部屋に通じる扉があった。


仕込んでいたのか俺が通路を進もうとすると部屋から戦闘員が出てくる。こういうときこそアンチマテリアルを連射するときだろう。


無い物ねだりをしてもしょうがない。俺は直進し一人一人戦闘員を切り捨てていく。


通路の半分を行ったか行かないかくらいになると敵も刀を装備していた。


刀をキンキンぶつけ合いながらも隙を見つけては一太刀浴びせ、息がある場合は確実に止めを刺し着実に進む。




一人の戦闘員と剣戟を繰り広げていると、搦め手からもう一人、戦闘員が刀を振り上げ迫ってきた。


俺は目の前の戦闘員の手を蹴り刀を手放させ、力ずくで位置を入れ替える。


搦め手の戦闘員も入れ替わりに気付いたが、振り下ろされた刃はもう止められない。結果俺と入れ替わった戦闘員は俺ではなく不意打ちを狙った仲間の戦闘員に真っ二つにされてしまった。


すかさず体の隙間から刀を突き出し、もう一人の戦闘員の脳天を穿つ。


直線通路も終わりに差し掛かると、まだ開けられてない部屋があるのに気付いた。


そこで戦闘員が使っていた刀を数本拾い上げ壁に沿って投げ、その後で通路を進んだ。


俺の接近を探知し扉を開けた戦闘員は、俺の思惑通りに串刺しになったりドアを出たとたんに飛んでくる刀に体を貫かれたりした。




戦闘員を全滅させた俺は通路の曲がり角に差し掛かっていた。


到着したその瞬間――


「チェストーーー!!!!」


すさまじい勢いで刀が振り下ろされる。が、その手のことを予測していた俺は直前に壁を蹴り、まがり角の隅に寄っていたため頬をちょっと切る程度で済んだ。


相手が体勢を立て直す前に首を刎ねる。


『示現流・碁盤切り』…正面から防御していたら俺が真っ二つになっていたことだろう。




角を曲がると戦闘員も出てきそうな扉もなく、実際通ってみても一人も現れなかった。


さらに進むと扉があった。それを蹴り開けて進むと、広い踊り場の2階に出た。2階は誰もいなかったが1階では銃撃戦が行われていた。


しばらくすると1階の戦闘員も全滅し、ハルさんが部屋の中央付近に躍り出た。声をかけようと思ったその時、後ろから迫る敵影があった。


俺は手すりを超えて1階へ飛び降り、戦闘員の頭上に刀を立てて着地する。


「後ろを疎かにしちゃダメじゃないですか」


「君が来てくれると信じてたからね」




(おしゃべりはそこまでだ)


二人が周囲を警戒する。むこうの扉が開け放たれ、二人の男が現れた。


「俺達は金狼・銀狼」


「ここまで来るとはなかなかやるな、だが二人とも俺たちの前にひれ伏すのだ」


パパパパパパパパパパ―――!!


ハルさんが挨拶代わりにとマガジンに残っていた全ての銃弾を二人に浴びせる。


「遅い!」


二人は驚くべき反応速度と身のこなしでそれらをかわしてしまう。


「この程度か。ならば・・・次はこちらから行くぞ!!」


二人は急加速して肉薄し、加速した勢いを拳に乗せ俺達にぶつける!


――ドガッ!ガララ・・・


俺達は壁に激突する。その際の衝撃で壁が崩れ落ち辺りは砂埃に包まれる。




「所詮、この程度か」


「跡形もなく砕け散ったな」



―――スパッ



俺は気付かれぬように片方の背後に立ち、首を切りつける。


「金狼!!」


「おやおや、他人の心配をしてる場合じゃありませんよ?」


ハルさんはもう片方のこめかみに銃口を突き付けてそう言った。


「しまっ・・・」


――パァン 






「あーあ、帰ったらマナミに洗濯してもらわないと」


「マナミちゃんもこのこと知ってのかい?」


「知りませんよ。夜にバイトしてるって誤魔化してます」


「彼女も黒武者姓なんだから、別に隠さなくても…」


「知らない方が幸せじゃないですか、こんな血生臭い人たちのことなんて」


「・・・・・・・。」


「そういえばハルさん、先生やってるんだったら『委文しどり 正義まさよし』って生徒、知りませんか?」


「……知ってるよ。君達に負けず劣らずの珍しい苗字だったし」


「今どうしてるかご存知ないですか?」


「今は……刑務所にいるだろうね」


―――!!!!!!


「どこですか、どこの刑務所ですか!!」


「ぼ、僕もそこまでは知らないよ…。どうしたんだい、そんなに血相を変えて」


「いえ…お世話になった先輩ですから、信じられなくて…」


「そうだったのか…」


「随分とシラケてしまいましたね…じゃ、ハルさんが持ってるそのC4でパッとやりますか!」


「あ、バレてたんだ。それじゃ、半分あげるから適当に仕掛けてきてよ」


それからまた二手に分かれて屋敷のいたるところにC4を仕掛け、外の庭で合流した。


「それじゃ、今日はこれでおしまいかな」


「そうですね」


二人は楽しく談笑をしながらそこを後にした。爆発によって瓦礫と化した屋敷を背にして―――





――翌日・学校――


「おっ、守君」


「あっ、先生」


「意外と元気そうだね、昨日の今日なのに」


「慣れてますから」






作者「今回の更新はここまでです。いかがだったでしょうか

   以下は様々な登場人物たちが会話をします。読まなくてもストーリー上は(恐らく)差支えありませんが、こちらも読んでいただければ嬉しいです。」



遠野「まさか守君が委文君の知り合いだったとはね」


守「昔にいろいろあったんですよ」


遠野「ということは、マナミちゃんも知り合いなのかい?」


守「あー…、まー…、そう、ですね…。でも覚えてないと思いますよ」


遠野「まあ覚えてないのも無理ないか」


守「それよりも先生、正義さんがムショにいるってどういうことですか?」


遠野「悪いけどそれは教えられない、個人の事だし」


守「わかりました。じゃあ他をあたります」


遠野「ところで守君」


守「なんですか?」


遠野「君はもう1年高校生を延長するつもりかい?」


守「い、いや!あれは……」


遠野「期末の結果によっては、夏休み返上になっちゃうから頑張ってね」





作者「えー、次回は『デートの約束』に続きます

   また屋上で、何かが起こる!」




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