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義妹記  作者: 白鳳
義妹編
14/59

露店(夕)・会合





「いやぁ儲かった儲かった」


「あっお兄ちゃん、どこ行ってたの?」


「ちょっと売り上げを数えにな」


「それで?いくらくらいの黒字なのかしら」


俺は人差し指を立て「コレくらいは堅いな」と言う。


そして懐から茶封筒を出し、「これが今回の報酬な」と言って封筒を律っちゃんに渡す。


封筒を受けとると律っちゃんは真っ先に中身を確認し、「太っ腹ね」と言う。


それから「ちょっといいかしら?」と続け、俺を屋上の人目のつかないところに連れて行く。


「またいい写真が入手できたのか?」


「違うわよ。…沙希から聞いたんだけど、マナミちゃん、泳ぎにだけは行きたがらないらしいの。アナタ何か知ってるんじゃない?」


「泳ぎに行きたがらない?初耳だな。中学の水泳の授業にはちゃんと出てたとは聞いてるが」


「ますます謎が深まってきたわね。これはきっといい記事に…」


「記事にはさせんぞ」


「そう言うとは思ってたけど、ほんっとガード固いわねぇ。そのうちストレスでハゲるんじゃない?」


「俺のことはどうでもいいだろ、それよりもマナミが泳ぎたがらない理由だ。俺が聞いた限りでは人並みに泳げるそうだから、カナヅチじゃないんだとすると…」


しばらくの間沈黙が続く。












「ねぇ守」


「ん?」


「アナタ、マナミちゃんの裸見たことある?」


「なっ、ばっ…何を言い出すんだ急に!」


想像しただけでいらん所が活性化してしまう。立った状態ではまずいので地べたにあぐらをかいて座る。


「別にそんなことしなくてもそのくらい予想してたわよ」


「お前じゃなくて、マナミやそのお友達に見られたら気まずいからだよ!」


「ちゃんと考えてるのね。見られたらそれはそれで面白そうだけど」と言い、プププと笑う。


「勘弁してくれ。で、マナミの裸と泳ぎたがらないのと何の関係が・・・・・!!」


「どうやらわかったみたいね。それが一番ありそうな線じゃない?」


「……考えたくはないがな」


「確認してみるしかないわね」


「どうやって確かめろと?」


「アナタとマナミちゃんの間だから見せてくれと言えば見せてくれるんじゃない?」


「そんなことしたら18禁になるだろうが!つーか俺が嫌じゃ!!」


「じゃあ事故を装って着替えてるとこを覗くとか…」


「……そうするしかないか。それなら後腐れしないだろうし」


「何があっても『アタシたち』に頼む気はないのね」


「ったりめーだ。人様に撮らせてやるほどマナミの裸は安くねーよ」


「あら、残念ね。でも修学旅行とかの時はどうするの?」


「同行するに決まってんだろ」


「は!?アナタ正気!?」


「正気も正気、大マジメだぜ?」


「ま、まぁ…アナタのことだからきっとアテがあるんでしょうけど」


「わかってるじゃんか。話を戻すが、その件については俺も詳しく知りたい。だから調査することは許可する。その代わり――」


「その代わり誰かに感付かれないこと・他言しないこと、でしょ?」


「それと俺が手を引けと言ったらすぐに手を引くことだ。」


「わかってるわよ」






















――時は放課後、所は屋上・屋上といっても守たちが平定したのとはまた別の屋上――


「なぁ、この本に出てる子レベル高くねぇ?」


「やっべーなこれ!買いだ買い!」


「すいません、コレください!」


「毎度。それは300円だね」



ワイワイ、ガヤガヤ―



「お前は他人のシマで何をやっとんや」


「何って…エロ本の即売会だが?」


「昼と同じ場所でやれよ!」


「いやーあそこだと誰か知った女子が来るかもしれんからな」


「だったら事前にアポを取るとかしろよ!」


「あー…それはすまんかったな」


「まぁそれも過ぎたことやし、エエわ。んでわしらに何の用や?」


「お前らもユキちゃんからいろいろ聞かれただろ?」


「ユキ・・・?あぁ、風紀委員のお偉いさんね」


「他校が襲撃されてるっちゅーやつか。ワシらは何もしとらんぞ」


「わかってるって。それより東高が襲撃されたらしい。だよな?律っちゃん」


物陰から律っちゃんが出てくる。


「気付いてたの、流石ね」


「なんや、自分もおったんかいな」


「俺から隠れようなんざ10年早えんだよ」


「恐れ入ったわ。…それで東高なんだけど、速報によると陥落したらしいわ」


「意外と持ったな。あそこにはパッとした奴はいなかったが」


「そんなことはどうでもいい。それより、お前ら何も思わないのか?」


「別に何も」


「じゃあ、今回あちこちを襲撃してるのはドコの高校だ?」


「そりゃ末高やろ、それが・・・!」


途中で真意に気付き、二人とも顔がマジになる。


「確かに変だ。近いとこからツブしていくんだったら東の前にココに来るはず――」


「そのはずがうちに来なかった。何か訳ありというわけだ」


「せやったら、何が原因なんや?」


「こっから先はすべて俺の推測なんだが・・・理由は『俺』だ」


「お前が?」


「これは事実だと思うんだが…今回の事件、手を引いてるのはターシャルだ」


「ターシャルう?誰や、それ」


藤崎ふじさき りょうと言えば分るんじゃないかしら」


律っちゃんが横から補足を入れる。そう聞くと二人はすぐに理解し――


「アイツが…。だが、もしそうならお前が理由なのも納得できるな。アイツ中学ん時からお前に固執してたし」


「他校の襲撃を阻止する気はないが、さすがにここに来られたら防戦せざるを得ない。そうすれば奴との戦いは避けられないだろう」


「それであいつがどれ程なのかが知りたいんだな?」


俺は黙ってうなずく。


「正直にゆうて、タイマンやったら必ず勝てるっちゅう確証はない」


「俺もだ。2対1なら絶対負けねえんだがな」


「嘘でしょ!?このあたりの高校生であなたたちより強い人なんて守以外には…」


「いるんだよ。しかも1コ下にな」


「なんてこと……」


「それで、これからどうするんだ?」


「特別何もしない」


「せやな、上のモンらしくどっしりと構えとくか」













「ところで、ターシャルってどういう意味?」


「ニュアンスとしては『3番目』って感じだな。サードだとありきたりで語呂が悪くてな」


「それはワシらとお前に次いでっちゅう意味か」


「そういうこと。もっとも、このころはお前らのことは何も知らなかったがな」















「ただいまー」


玄関の奥からパタパタとスリッパの音が近づいてきて


「おかえり、お兄ちゃん!」と笑顔100%で迎えてくれる。この笑顔の前では1日のどんな疲れも忘れることができる。


「今日は露店で疲れたなー」と言い、腕を回す。


「じゃあ先にお風呂に入る?」


「いや、先に飯にしよう。腹減ったし」


「は~い。了解」  


また足音をパタパタとたてながらキッチンの方へ消えていった。




―食後―


「ごちそうさま」


「お粗末様でした」


「…なあマナミ」


「?」


「片付けが終わった後でいいんだけど…ちょっと踏んでくれないか?」


「えっ!?お、お兄ちゃん、それって・・・」


「頼めるか?」


「う、うん…お兄ちゃんのためだもん///」





「ねぇお兄ちゃん、裸足と靴下、どっちがいい…///?」


「靴下で頼む」


「意外とまにあっくなんだね///」




――しばらくの後


むにゅっ、むにゅっ


「あぁ~そこそこ。でももう少し強く」


「こ、こう・・・?」


ギュッ!ギュッ!


「あたたたたた!あーでもいい感じいい感じ!」


「お兄ちゃん…これってただのマッサージだよね?」


「そうだぞ。それがどうかしたか?」


「だ、だって踏んでって…」


「だから今こうやって背中を踏んでもらってるじゃんか。」


「~~~~~~~~~~っ!!!!」


そしてマナミはその場で飛び上がり、俺の背中を力いっぱい踏みつける。


「ぐえっ!」


「お兄ちゃんのいぢわる!!マナミの乙女心をもてあそぶなんて!!」


そういってマナミは自分の部屋に戻っていった。そのあとしばらく俺はのたうちまわり、悶えていた。






ついに明らかになった『ターシャル』の正体!・・・といっても外側だけですが


ちなみに英語では『tertial』と書きます たしか



次回、『取材』に続きます。


次は主要キャラの称号っつーかあだ名みたいなもんが明らかになります 横文字注意!



ご意見・ご感想・誤字脱字の指摘等々お待ちしております。


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