表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハズレスキル《物理補助》、気づけば世界最強でした  作者: 松竹 ウメ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/33

19話 討伐と、謎の紋章

ゴブリンキングが、俺に向かって突進してくる。

巨体が地面を揺らす。

俺は横に飛び、攻撃を避ける。

ゴブリンキングの鉄の棍棒が、俺がいた場所を叩き潰す。

ドンッ!

地面が陥没する。


「……直撃したら、終わりだな」


俺は銃を構え、ゴブリンキングの足元を狙う。

パン、パン、パン!

三発の弾丸が、ゴブリンキングの周囲の地面に着弾する。


「《物理補助》……地面の摩擦係数、最小化」


ゴブリンキングの足元が、氷のように滑りやすくなる。

ズザッ!

ゴブリンキングがバランスを崩す。

だが――完全には倒れない。

巨体を支える筋力が、滑りを踏みとどまらせる。


「硬いな……」


その隙に、周囲のゴブリンたちが俺に襲いかかってくる。


「邪魔だ!」


俺は周囲のゴブリンの足元にも弾丸を撃ち込む。

パン、パン、パン!

ゴブリンたちが次々と転倒する。

だが――ゴブリンキングは、すでに体勢を立て直している。

そして――。

ゴブリンキングが、大きな小屋の方へと走る。


「待て!」


俺が追いかける。

ゴブリンキングが小屋に入り――数秒後。

リーナを担いで出てくる。

リーナの首には、ゴブリンキングの腕が巻きついている。


「リーナ!」


俺が叫ぶ。

ゴブリンキングが、リーナを人質に取りながら俺を睨む。


「ギギギ……」


ゴブリンキングが、低く唸る。

そして――もう片方の手で、リーナの服の襟を掴む。

ビリッ!

リーナのローブが引き裂かれ、肩が露わになる。


「やめろ!」


リーナが抵抗するが、ゴブリンキングの力には敵わない。

さらにビリッ、ビリッと服が破られていく。


「タクミ……気にしないで……逃げて……」


リーナが必死に言うが、その顔は恐怖と屈辱で歪んでいる。


「バカ言うな」


俺は銃を構える。

だが――撃てない。

リーナに当たる危険がある。


「クソッ……」


ゴブリンキングが、俺を嘲笑うように唸る。

そして――棍棒を振り上げる。

俺に向けて。

人質を取りながら、攻撃してくるつもりか。

冷静になれ。

感情的になれば、リーナを助けられない。


「《物理補助》……地面の反発係数、増加」


俺はゴブリンキングの足元の地面に、効果を発動させる。

だが――ゴブリンキングは動かない。

人質を取っている以上、無理に動く必要がない。


「……別の方法が必要だ」


俺は考える。

《物理補助》は、一度に一つの効果しか発動できない。

いや――本当にそうなのか?

神は言っていた。


「補正はわずかだ」


つまり――小さな補正なら、複数同時に発動できるのではないか?

試したことはない。

だが――今やるしかない。

俺は深呼吸し、集中する。

ゴブリンキングの足元の地面を見る。


「《物理補助》……地面の摩擦係数、最小化。そして――反発係数、増加」


二つの効果を、同時に発動させる。

頭に、鋭い痛みが走る。


「ぐっ……!」


MPが、急速に減っていく。

だが――効果は発動した。

地面が滑りやすく、そして跳ね返す。

ゴブリンキングが、バランスを崩す。

その瞬間――俺はゴブリンキングの腕を狙って銃を撃つ。

パン!

弾丸が、ゴブリンキングの腕に着弾する。


「《物理補助》……着弾点周辺、振動増幅」


ゴブリンキングの腕が痺れ、リーナを掴む力が緩む。

リーナが、自力で腕から抜け出す。

そして――地面に転がり、ゴブリンキングから離れる。


「今だ!」


俺はナイフを抜き、ゴブリンキングに向かって走る。

ゴブリンキングが、棍棒を振り下ろす。

俺は地面に手をつく。


「《物理補助》……地面の反発係数、最大化」


地面が跳ね返し、俺の体が横に弾かれる。

棍棒が、俺のすぐ横を通過する。

そして――俺は空中でナイフを構える。

ゴブリンキングの首筋を狙う。


「《物理補助》……ナイフの刃先、振動数増加。そして――刃と空気の摩擦、増加」


再び、二つの効果を重ねる。

頭痛が激しくなる。

だが――ナイフが高周波で震えながら、摩擦熱で赤く光る。

俺は、ゴブリンキングの首筋にナイフを叩き込む。

ズバッ!

ナイフが、ゴブリンキングの首を切り裂く。

ゴブリンキングが、悲鳴を上げる。

血が噴き出す。

ゴブリンキングが膝をつく。

俺は着地し、もう一度ナイフを振る。

今度は、首の動脈を狙う。

ズバッ!

ゴブリンキングが、倒れる。

ドサッ。

静寂が戻る。


「……勝った」


俺は荒い息をつく。

頭痛がひどい。

MPもかなり減っている。

《物理補助》の重ね掛け――可能だが、負担が大きい。


「タクミ!」


リーナが駆け寄ってくる。

破れた服を必死に押さえながら。


「無事か?」

「ええ……あなたこそ、大丈夫?」


リーナが心配そうに俺を見る。

その目には――何か特別な感情が宿っているように見えた。


「ああ、何とか。服……大丈夫か」

「これは……後で何とかするわ」


リーナが顔を赤らめる。

その時、ガルドとジンも駆けつけてくる。


「リーナ! 無事か!」


ガルドがリーナの姿を見て、表情を曇らせる。


「……すまない。俺たちがもっと早く……」

「気にしないで。タクミが助けてくれたから」


リーナが俺を見る。

その目には、明らかな感謝と――それ以上の何かが宿っている。


「周囲のゴブリンは?」

「逃げたよ。王が倒れたのを見て、散り散りになった」


ジンが答える。

ジンが自分のマントを脱いで、リーナに渡す。


「これを使って」

「ありがとう、ジン」


リーナがマントを羽織る。


「よかった……」


その時、ジンが集落の中央の小屋を見ている。


「おい、あれを見てくれ」


ジンが指差す。

小屋の中に、何か光る物体がある。

俺たちは小屋に入る。

そこには――小さな球体が置かれていた。

拳大で、青白く光っている。


「これは……アーティファクトか?」


リーナが呟く。


「間違いない。魔力の反応がある」


俺は球体を手に取る。

視界に、情報が浮かび上がる。

【名称:魔力増幅球マナ・アンプ

【等級:レア】

【効果:所持者のMP回復速度を30%上昇させる】


「MP回復速度上昇……これは便利だな」


俺は球体をポケットにしまう。


「これも、報酬として持ち帰ろう」


ガルドが頷く。

俺たちは集落を後にし、街へと戻る。

途中、ゴブリンキングの死体を回収する。


「ゴブリンキングの討伐は、高額の報酬が出るはずだ」


ガルドが言う。


街に到着し、ギルドへと向かう。

ミラが、俺たちを見て驚く。


「リーナ! どうしたの、その格好!?」

「ゴブリンに襲われたけど、助けてもらったわ」


リーナが説明する。


「それと、ゴブリンキングを討伐した」


ガルドがゴブリンキングの首を見せる。

ミラが目を丸くする。


「ゴブリンキング!? これは……報酬は金貨五枚になるわ!」

「金貨五枚!」


ガルドが喜ぶ。


「それと、薬草採取の依頼も完了したから、銀貨十枚も追加ね」


ミラが報酬を渡してくれる。

俺たちは報酬を分配する。

金貨五枚と銀貨十枚を、四人で分ける。

俺の取り分は、金貨一枚と銀貨二枚と五十銅貨。


「これで、装備が買えるな」


ガルドが言う。


俺たちは宿に戻る。

リーナは部屋で服を着替え、夕食の時間に合流する。

夕食後、俺たちは宿の裏手に集まる。


「ゴブリンキングの死体、解体しよう」


ガルドが言う。

皮、骨、爪――使えそうな部分を取り分ける。

そして――胸部の鎧を外した時。


「これは……」


ゴブリンキングが着ていた粗末な鎧の下に、別の防具が隠れていた。

黒い革製のベルト。

だが、普通のベルトではない。

表面には、細かい魔法陣が刻まれている。

俺はベルトを手に取る。

視界に、情報が浮かび上がる。

【名称:衝撃吸収ベルト《ショック・アブソーバー》】

【等級:アンコモン】

【効果:装備者が受ける物理ダメージを15%軽減する】


「物理ダメージ軽減……これは使える」


俺はベルトを腰に巻く。

革鎧の上から装備しても、違和感がない。


「いい物を手に入れたな」


ガルドが言う。

そして――胸部をさらに開いた時。

心臓の近くに――何かが埋め込まれていた。

小さな、黒い金属の破片。

表面には、複雑な紋章が刻まれている。


「これは……」


俺は破片を手に取る。

紋章は、まるで何かの印のように見える。

獣の頭蓋骨を模したような、禍々しいデザイン。


「何だ、これ?」


俺がガルドに見せる。

ガルドの表情が、一瞬で険しくなる。


「……まさか」


ガルドが破片を見つめる。

リーナとジンも、顔色を変える。


「これは……」


リーナが息を呑む。


「まずいことになったわね……」


ジンが深刻な表情で言う。


「どういうことだ?」


俺が尋ねる。

三人が顔を見合わせる。


「タクミ……お前、とんでもないものに関わってしまったかもしれない」


ガルドが重い口調で言う。


「この紋章は……《十魔帝王》の印だ」


俺は破片を見つめる。

十魔帝王。

初めて聞く名だ。

だが――三人の表情から、ただ事ではないことが分かる。


「十魔帝王……とは?」


俺が尋ねる。


「それは……」


ガルドが口を開きかけたが、リーナが手を上げて止める。


「今夜は遅い。詳しい話は、明日しましょう。部屋に戻って、ゆっくり話す」

「……分かった」


俺は紋章をポケットにしまう。

その夜、俺は部屋で一人、考え込んでいた。

《物理補助》の重ね掛け。

今日、初めて成功した。

だが、負担が大きい。

頭痛とMP消費が激しくなる。


「もっと練習が必要だな」


そして――十魔帝王の紋章。

ゴブリンキングの体内に埋め込まれていた。

一体、何を意味するのか。

明日、ガルドたちから話を聞けるだろう。

だが――嫌な予感がする。

俺は、何か大きな問題に巻き込まれようとしている。

そんな気がしてならない。




【名前:タクミ】

【レベル:3】

【職業:なし】


【ステータス】

【HP:170/170】

【MP:140/140】

筋力:17 (+3)

体力:16 (+3)

敏捷:18 (+2)

知力:22 (+2)

魔力:12 (+2)


【スキル】

《物理補助》

・接触した物質の物理特性を微調整する

・重ね掛け可能(負担大)

【称号】

・ダンジョン単独制覇者(全ステータス+2)

・ゴブリンキング討伐者(筋力+1、体力+1)

【装備】

物理干渉拳銃エーテル・キャリバー(ユニーク)

・ミスリル製ナイフ

・革鎧

・衝撃吸収ベルト《ショック・アブソーバー》(アンコモン)

【所持アイテム】

魔力増幅球マナ・アンプ(レア)

・謎のキューブ(等級不明)

・十魔帝王の紋章(?)

お読みいただきありがとうございます。

続きが気になった方は、ぜひブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです!

コメントも頂けると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ