表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/16

宇宙工場サブファイロット 02章 データ人工衛星9

 発着場のすみで、スペアたちは再び、曳航船に乗り込んでいた。あの後、会議ではあまりにいろいろな事実が矢継ぎ早に判明し、スペアたちも若干混乱していた。


 しかし、肝心な事――、人工衛星の破壊の程度は、中央データルーム他、ステーション内のデータルームよりは軽そうだということ、また人工衛星の周囲には、衛星の破片の他に破損データ、もしくはデータブックが漂っている可能性があるという事も分かったので、とにかくそれを回収したいとボルトが強く言い出し、あとの二人も同意して曳航船で人工衛星に行ってみようと言う事になったのだった。パドは、三人の決定に口を挟んだりはしなかった。


 そして、四人が曳航船の操縦室に入っていくと、そこにはちゃんと、パドのための四つめの椅子が据え付けられていた。

「おやおや、俺の椅子まで。いったいいつ取り付けたんだ? スペア。」

「さっきさ。補助席じゃ座り心地悪いだろう? みんなが人工衛星の軌道を確認している間に、作業ロボットにやらせておいたんだ。」

「そりゃご親切に。助かるね。」

 パドは新しく据え付けられた、左後方の椅子に座ろうとしたが、ボルトが先にその席にさっさと腰を下ろすと、

「あんたはメイン操縦席だよ。スペア、操縦を代われ。」

「それがいいよ。パドの方が操縦うまいもん。でもボルト、そこでいいの?」

 前列右側のサブ操縦席から振り返って尋ねるナットに、ボルトは自室から連れてきたペットのヘビを腕に巻きつけながら、

「お前たちがじろじろ見るから、チェック(ボルトがヘビにつけた名前)が神経質になっちゃうかもしれない。こっちの方がいいよ。」

「じゃ、お言葉に甘えるとしますか。」


 パドは中央の席に座ると、移動操縦桿を隣のスペアから受け取った。続いて、慣れた手つきで宇宙マップを表示させていく。目的地の宇宙座標を入力して、表示された推奨航路を確認し、曳航船のエンジンを始動させる。ナットは感心したように、流れるようなその動きを見守っていた。

「さすがだねー。パド、パドってずいぶん長く船に乗っていたんだよね。僕たちにも操縦教えてくれない? そのうち。」

「いいともナット。だが、今はとりあえず発進だ。体は固定したな、みんな?」

「うん。」

「じゃあ発進。目的地は人工衛星。距離およそ8000、スピードは控えめで行くからな。」

 曳航船はスピードをあげると、あっけないほどスムーズに離陸した。

「わーお、ロボットの補助がないのに離陸した!」

 ナットが驚きながらはしゃぐ。

「スペアの操縦とは大違いだな。」

 いたずらっぽくボルトが言うと、スペアがすぐに振り返って、

「操縦一回目にしてはまあまあだったって言えよ。お前だって、操縦してたら似たようなもんだったんだからな。」

「分かってる。私には出来ないよ。スペアやナットは才能あるんじゃないか。」

「俺の船にぶつかりそうになったがな。」

 四人は笑いながら、宇宙を飛行していった。彼らのステーションがどんどん小さくなっていく。


 ナットが、操作盤の3D宇宙マップをのぞきながら話した。

「でも、おかしいね。こんなに離れたところに人工衛星だなんてさ。こんなに離れていたら、普通のデータ送信ができないわけだよ。」

「そうなのか?」

 ボルトがヘビを撫でながら尋ねた。

「だって、宇宙磁気があるからね。データが破損しちゃったり、バグデータになったりする可能性があるよ。」

「普通の通信・・・、他のステーションとの連絡とか、ああいうのは平気じゃないか。」

「データが小さいし、それほど整合性を求められないもの。会話なんて、途中で少しノイズが入っても平気でしょ。でも、保存データだったらそうはいかないよね。」

「そうか。」

「でも、だからってデータブックをシップに積んで送るなんて、普通じゃ考えられないほど効率悪いのに。もっと近くに人工衛星を飛ばしたらよかったんだ。何で、こんなことしたんだろう。」

 不思議そうにナットが言うと、スペアも、

「それに、中央データルームからの複製データだけじゃなく、大統領邸のバックアップ・ルームからも、それに、あんな辺鄙な未開発ブロックにあったっていうデータルームからも、データを運んでいたっていうんだろう? いったいどうなってるんだ。」


 リーダー・ロボットに質問していくうちに、三人は始めて知ったのだが、ステーションには、中央セントラル、大統領邸の二つの主なデータ保管所の他に、まだデータルームがあったのだった。(もっともそこも破壊され、廃墟になっていた。)

 ちなみに未開発ブロックとは、ステーションの動力室の周辺部にあり、轟音と振動のため、人間、ロボットともに作業するには不適切で、何もないことになっているはずの場所である。


 ぼそっと、ボルトがスペアの言葉に付け加えた。

「それにスペア。その全部のデータルームを、ロボットが念入りに壊してたってのもどうしてだと思う。誤作動を起こしたロボットが、わざわざステーションの外のものまで破壊する。ただの破壊衝動で、そんなことしないだろ。普通。」


次回更新は1/23(12:00)の予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ