宇宙工場サブファイロット 02章 データ人工衛星7
「それでしたら確かにあります。」
「本当!」
ナットが叫んだ。ステーション上部にある中央会議室には、各種のリーダー・ロボットがずらりと集まっている。
巨大な中央会議室は、高くそびえる太い柱と、白を基調にしたデザインが崇高な雰囲気を醸し出しているが、同時に正面と左右の壁に据えられた巨大スクリーンの列が色彩をかき乱して、台無しにもなっていた。列の先頭にいるリーダー・ロボット達のまとめ役、A3が続けて答えた。
「ですが、破壊されています。」
「なんだー。」
スペア、ナット、ボルト、そしてパドの四人は、中央会議室の前方にある、三次元投影モニターを見上げた。そこにはまるで目の前に本当に存在するかのように、宇宙に浮かぶ人工衛星の残骸が映っている。
人工衛星といったが、本来は小型の衛星ほどのサイズはあったらしい。だが、いまは無残にえぐられた形をしていた。スペアたちは、あれからすぐナットとパドの所に戻り、確かにその話は聞いた事があるとナットから聞いて、早速ロボットたちを集め詳しい情報を求めたのだった。大小の色とりどりのリーダー・ロボットたちは、部屋の両側に整然と列を作って並んでいた。
三人はメインモニターの前に立っていたが、パドだけは少し離れて壁際に立ち、腕組みをして、鋭い目で巨像のように立ち並んだロボットたちを睨んでいる。スペアが、A3に尋ねた。
「お前たちが一斉に誤作動を起こした時、俺たちの仲間を宇宙に放り出しはしたが、お前たち自身は、宇宙に一体も出なかったはずだ。どうやってお前たち、人工衛星なんて壊したんだ。」
「はい。十二体のRW21戦闘ロボットが、遠距離ビーム砲を発射しました。0.3セコン後に全弾命中、人工衛星は大破しました。」
ロボットの列の真ん中あたりにいた、濃い青の装甲をがっしりと身につけた重戦闘用ロボットのリーダー、R4が前に進み出た。会議室の天井はとても高いのだが、その天井にもう少しで頭部パーツの二本の突起が当たりそうである。ボディに対し、明らかに大きくいかつい爪を思わせる足のデザインもまがまがしい。
「それじゃあしょうがないね。RW21型だったら、搭載ビームは最新型だもの。」
残念そうにナットが言うと、ボルトがぼそっと尋ねた。
「人工衛星と一緒に、誰かロボット制作者が犠牲になったりしたか?」
「いえ、そのような事はありません。」
「製作者以外の人間も?」
「はい。人工衛星には1ターンに一度、衛星データルームの管理者、もしくはその代理人が訪れるだけですので。」
「衛星データルームの管理人?」
「はい。最新の管理人は、サルロイ様でした。」
「知ってる?」
ナットが隣のボルトを見上げ、ボルトはさらに隣のスペアを見た。スペアは、
「聞いた事がある。でも、データ管理室の人間じゃない。大統領府の人間のはずだ。」
「また大統領か。」
パドが低くつぶやいた。そして、投げやりな口調で青い巨大なロボットに質問した。
「その大統領府のサルロイってやつだが、誰の命令でそのデータを衛星に運んでいた?」
スペアとナットは驚いて彼を振り向いた。
「なんだ、そんな顔して。どうかしたか?」
「大統領府の人間をそんな風に言うなんて!」
思わずナットが大声を出したが、相手はおかまいなしのようだった。壁にもたれて腕を組み、ロボットたちに「答えは?」と、あごをしゃくる。すると、別の黄色の小型ロボットが出てきて答えた。
「副大統領の命令です。」
ナットは小走りでパドに駆け寄った。そして、そっと小声で、
「パド、大統領府の人間を、そんな風に言っちゃいけないんだよ。」
「言うとどうなるんだ?」
面白そうにナットを眺める。
「それは・・・。」
当惑するナットに、少し離れたところで様子を見守っていたボルトが、けだるそうに言った。
「大統領はもうここにはいないんだ。優先命令順位から言っても、生死が不確かな大統領より、ステーションに現在いて、ロボットを造り得る私たちの方が高いことになってる。そうだなA3?」
「はい。ボルト様の言う通りです。」
次回更新は1/16(12:00)の予定です。




