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✦ 『魂等級ゼロと嘲笑された俺は、異世界で規格外でした』  作者: maruhiro
【第4章 選ばされる側――学園という制度】
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── 第59話─混ざれなかった音──



 中庭は、いつも通りだった。

人が多く、声が重なり、動きが絶えない。

見える距離に、案内役の女性がいた。会話には入らない。ただ、外れない。

「レン、午後さ――」

カイが声をかける。

いつもと同じ調子。何も構えない、軽い声。

「――」

続かない。

カイは口を開けたまま止まり、自分の喉を軽く叩いた。

「……あれ?」

困ったように笑う。

「なんか、どうでもよくなった」

「忘れただけだろ」

近くの学生が笑って、話は流れる。

誰も気にしていない。誰も責めていない。

それでも――何かが、ずれた。

すれ違うはずの足が、半歩だけ外れる。

立つ位置が、ひとつ空く。

人はいるのに、俺の周りだけ、近づかない。

「レン?」

カイがもう一度声をかける。今度は、少し距離を保ったまま。

「……何でもない」

本当だった。何も起きたわけじゃない。

ただ、続ける理由だけが、消えていく。

避けたからじゃない。人が多いからでもない。話題が軽いからでもない。

俺が、そこにいるだけで起きる。

足元を見る。幼精霊は、何も示さない。

止めない。促さない。ただ、そこにいる。

――もう、合図は要らない。

「……逃げても、同じだな」

小さく呟く。

なら、逃げない。

人の中に立ったまま、起きることを引き受ける。

それしかない。



「レン?」

カイが少しだけ不安そうに言う。

「大丈夫だ」

レンは、初めて即答した。

音は、何ひとつ変わらない。

でも俺だけ、そこに混ざれなかった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

今回は「何も起きていないのに、起きてしまう」場面でした。

気に入っていただけたら、

ブックマークや評価でそっと応援してもらえると嬉しいです 。

続きも、もう少しだけ進みます。

※毎日19時頃更新

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