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✦ 『魂等級ゼロと嘲笑された俺は、異世界で規格外でした』  作者: maruhiro
【第4章 選ばされる側――学園という制度】
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── 第58話─逃げない、という選択──


 人が多い場所なら、大丈夫だと思った。

 中庭は騒がしく、会話が重なっている。  誰の声も目立たない。

「レン、午後どうする?」  

カイが軽く聞いてきた。

「図書棟行く?」  

ただの予定の話だ。

「じゃ――」

 カイの言葉が、そこで止まった。

「……あれ?」


 自分の口を触って、首をかしげる。

「今、何言おうとしてたんだっけ」


 数秒の沈黙。

誰かが別の話を始めた

 会話はそのまま流れた。

 でも、俺だけは分かった。

 ここは人が多い。

 距離も近くない。  

 話題も軽い。

 ――それでも、起きた。

「……避けても、同じか」

 小さく呟く。  


足元を見ても、何も起きていない。

 止める合図もない。  

 助ける合図もない。

 ただ、現実だけがある。


 俺ははっきり理解した。

 この力は、使うものじゃない。

 抑えるものでもない。

 起きることを前提に、どう振る舞うかを選ぶしかない。

「レン?」  

カイが、何も知らない顔で言う。

「どうした?」

「……なんでもない」


 今は、なんでもない。

 だからこそ、目を逸らさないと決めた。


 俺はその場に立ったまま、

 初めて“逃げない”と決めた。

ここまで読んでくださってありがとうございます。

仕事の都合で更新が少し遅れてしまいました、すみません。

今回は静かな回ですが、

レンの中では一つ区切りになる話でした。

ブックマークや感想、とても励みになっています。

また続きを更新しますので、

よければ引き続きお付き合いください。

※毎日19時頃更新

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