表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
✦ 『魂等級ゼロと嘲笑された俺は、異世界で規格外でした』  作者: maruhiro
【第4章 選ばされる側――学園という制度】
56/68

── 第56話─間に、立つ人──



 次の日の午前は、静かに始まった。

呼び止められない。

説明もない。

ただ、昨日と同じ廊下を歩くだけ。

違うのは一つだけだった。

案内役の女性が、少し近くにいる。

前に立つわけでも、後ろにつくわけでもない。

横にいる。

話に割り込める距離。

守られている、というより――

一人にしない、という配置だった。


中庭に出る。

噴水の音。

昼前のざわめき。

その中に、カイがいた。

目が合う。

向こうが、いつも通り手を上げる。

「おはよ」

声は軽い。

昨日と同じ。

俺は一瞬だけ迷ってから、返した。

「……おはよう」

足元で幼精霊が揺れる。

強くない。

止めない。

行ってもいい。

それだけの揺れだった。

案内役の女性は、少し離れて腰を下ろす。

見える位置。

聞こえる距離。

でも、会話には入らない。


「昨日さ」

カイが言った。

「話そうとすると、言葉が止まる感じあったろ?」 「今日は、それがない」

胸の奥が、少しだけ詰まる。

「普通に話せる、変だと思ったけど、もう気にならない」

それは、昨日と違う結果だった。

俺は答えなかった。

説明も、否定もできない。


幼精霊が、静かに揺れる。

押さえろ、でも

引け、でもない。

大丈夫。

そんな揺れだった。

「まあ、いいや」

カイはそれ以上踏み込まない。

「今日、午後わりと自由なんだ」 「図書棟でも行く?」

人が多い場所。

昨日なら、避けていた。

でも今は――

横に、間に、見ている人がいる。

案内役の女性が、遠くで小さく頷いた。

今なら大丈夫。

そう言われた気がした。

「……行ってみる」

言葉にした瞬間、幼精霊の揺れが落ち着いた。

逃げていない。

越えてもいない。

人の中に立ったまま、選んだ。

それが、今までと違う。

「じゃ、決まりだな」

カイは笑う。

その笑顔を見ながら、俺は思った。

ここは、

問題を消す場所じゃない。

危険を切り離す場所でもない。

起きることを見た上で、間に人を置く場所だ。

影の中で、幼精霊が静かに揺れる。

前でも、横でもない。

続けていい。

そう言っているみたいだった。

更新がだいぶ遅くなってしまい、すみません……!

19:00予定でしたが、気づいたらこんな時間に。

読んでいただき、ありがとうございます。

ブックマークや反応、とても励みになります 。

この先も、ゆっくりですが進めていきます。

※毎日19時頃更新

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ