── 第42話─── sideエルド「焦りの所在」──
計測盤の数値は、今も変わらない。
魂等級ゼロ。
分類不能。
暫定処理、継続中。
――問題はない。
少なくとも、判断そのものには。
私は規則通りに処理した。
感情を挟まず、確率を見て、破綻しない方を選んだ。
それは今も変わらない。
想定外なのは、結果が静かに動き続けていることだ。
「保留で止まるはずだった」
独り言が、管理層の空間に吸われる。
記録は保たれている。
逸脱も、違反も、まだ存在しない。
なのに、現場は落ち着かない。
管理区域に移した判断は正しい。
衝突を避け、干渉を減らし、時間を稼ぐ。
合理的だ。
誰が見ても、問題はない。
――精霊の反応を除けば。
あれは想定に含まれていなかった。
付随要素としては記録されていたが、
あそこまで明確に「方向」を示す存在ではなかった。
だから、処理は遅れた。
それだけだ。
「誤りではない」
言葉にして、確認する。
私が間違ったわけじゃない。
条件が、後から変わっただけだ。
もし感情で動いていたら、もっと簡単だっただろう。
切るか、閉じるか、隔離するか。
だが、それは最悪の選択だ。
世界は、説明できないものを嫌う。
私はそれを防いでいる。
だから焦る。
後悔じゃない。
説明が追いつかなくなるのが、嫌なだけだ。
盤面を閉じる。
再判定は、まだ終わっていない。
――正しさが通用しない状況が生まれただけだ。
それを、修正する責任が、まだ私に残っている。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
今回は少し視点を変えて、向こう側の事情でした。
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