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── 第37話─扱える範囲の外──


 円の光が弱くなった。

消えない。ただ止まった。

まるで「結論はあとだ」と言われたみたいに。


「保留だ」

向かいの人物が短く言う。

「再判定は受け付けられた。だが、ここで答えは出ない」


机の板に文字が浮かぶ。

『再判定:進行中』

『対象の所在を変更』

「……移されるってことですか」

「そうだ。ここは調べる場所だ。——“割り込み”が続くなら、ここに置けない」

置けない。

その言い方が、いちばん嫌だった。

俺が危険だからじゃない。**“面倒だから”**に聞こえる。



扉の外で足音が止まった。

「終わったか」

セイルの声だ。

「終わってはいない」

向かいの人物が答える。

「だが、ここで扱える範囲を超えた」


板が閉じられる。

張りつめていた空気が、少しだけ現実に戻る。


「レン」

「君はこれから“移送対象”になる」

「守るわけでも、捕まえるわけでもない」


「じゃあ、どういう扱いなんですか」


一拍。


「結論が出るまで、動かす」

「止めておくより、影響が広がりにくい」

俺のためじゃない。世界の都合だ。



扉が開き、セイルが隣に立つ。

「行くぞ」

「ここにいると、余計な手が入る」

余計な手。

俺は、さっき板に出た名前を思い出してしまう。

——エルド。

廊下へ出る。

さっきまで“宿の廊下”だった場所が、もう宿に見えない。

静かで、遠くて、

自分の居場所じゃない場所に連れていかれている感じがする。


歩き出す。

足は普通に動く。

止まらない。拒否も、必要とされない。

(……勝手に進んでる)

俺は何も決めていない。

それでも、状況だけが先に行く。

背後で、白い部屋の扉が静かに閉まった。

——閉まったのに、まだ中の“気配”が残っている気がした。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

今回から少しずつ、話が「動かされる側」から「動き出す側」へ入っていきます。

面白い・続きが気になると思ってもらえたら、

ブックマークや顔マークで反応もらえると励みになります。

次もなるべく間を空けずに更新します。

またお付き合いください。

※毎日19頃時更新

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