表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/44

── 第18話─境目の街にて──

境目の街に近づくにつれて、

レンのまわりで起きることが、少しずつ変わってきます。

よければ、続きを読んでもらえると嬉しいです。

※毎日19時更新


もし少しでも気に入っていただけましたら、

ブックマークや評価で応援してもらえると励みになります



 境目の街は、思っていたよりも広かった。

 門は開かれ、人の流れが途切れない。

 けれど、その雑踏の中に、妙な空白があった。

 

 

 門の前。

 行商人が荷を降ろし、衛兵が検分をしている。

 本来なら全員、順番に止められるはずだった。

 ――俺たちの番になったとき。

 衛兵が、口を開いたまま言葉を失った。

 視線が宙をさまよい、しばらくしてから小さく頷く。

「……通っていい」

 理由を問う前に、セイルが歩き出した。

 俺もそれに続く。

 背後で、衛兵が呟くのが聞こえた。

「……止めたつもりだったのに」

 

 

 通りは賑やかだった。

 露店の呼び声、客の値切り、鍛冶場の音。

 それなのに、俺の進む先だけが不思議と空く。

 人がぶつかることも、足を止めることもない。

 まるで見えない線が引かれているようだった。

 

「……すげえな」

 すれ違いざま、誰かの声が聞こえた。

 驚きでも賞賛でもない。

 ただ、違和感を口にしたような響き。

 

 

 ふと、視線を感じて足を止める。

 露店の陰から、小さな子どもが覗いていた。

「……変な音しない」

 母親に呼ばれて、すぐに走り去る。

 その言葉だけが耳に残った。

 

 

 幼精霊は、街道ではいつも少し後ろにいた。

 今は、俺の横に並んでいる。

 気配が揺らぎながら、俺の歩幅に合わせていた。

 セイルはそれを見て、短く言う。

「……街は、正直だな」

 それだけ告げて、また前を向いた。

 

 

 街の音は確かにあった。

笑い声も、呼び声も、金属の音も。

けれど――

ぶつかるはずだった苛立ちだけが、最初から存在しなかった。


それが、ひどく不自然に思えた。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

レンの力が、少しずつ「出来事」として形になり始めました。

もし続きを追ってもいいなと思っていただけたら、

ブックマークしてもらえると励みになります。

また次話でお会いできたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ