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リコリス異世界編



世界は広い。子供の頃、ただ漠然と思っていた。

大人になった今、世間の狭さを知った。

一期一会。あれは虚構から生まれた言葉だと思う。

大人はいつも嘘つきだ。ネットはもっと嘘つきだ。

信じられるのは己だけ。

積み重ねてきた自分を信じるのです。

さあ今日から君も筋トレしよう!!

強い肉体にこそ強い精神は宿るべきなのだ!!!へけ!!!


さて今回、なろうらしく異世界系に手を出してみました。(豹変)

なろう系は初めての挑戦ですが、テンプレがその辺にゴロゴロ転がってるから参考に困らなかったヨ。

その代わりありきたりなストーリーになっちゃったけどね。

でもこれでいい。リコリスとは奇を衒った珍しさでは無いのだ。

ありふれた異世界をどうぞお楽しみください。



 


 人物紹介


 ・リコリス

 →古代ローマカラテを極めた男。パンクラチオンを本流とした西洋武道の成れの果て。母国語は拳。会話も拳。英語も拳で習得した。彼にとってコミュニケーションとは肉体のぶつかり合いで、芸術とは爆発なのだ。かつてはオリンピックで金メダルを取っていたが、リポビタンのドーピングが発覚してからは活動場所を裏闘技場に移した。強い奴と戦うことが生き甲斐。ちなみにとんでもない虚言癖を持っており、支離滅裂な言動を繰り返している。たぶんリポビタンの副作用。おいしすぎてハッピーしちゃった………。









 ふわり、と体が羽のように舞う感覚が全身を駆け巡る。


 ふと気がつくと、リコリスは真っさらな世界に仰臥(ぎょうが)していた。


 はて、俺は何をしていたのだったか。

 寝起きの頭が記憶の断片をまさぐった。

 上も下も無い、重力から解放された虚無の空間。

 意識がはっきりしてくると、まるで仙人のような老人が天から降りてきた。


『ほっほっほ。目が覚めたかね、勇者よ。』


 リコリスはノータイムで老人の足を払った。

 間髪を容れずマウントポジションを取ろうとのしかかるが、前足を脇に差し込まれ逆にリコリスが床に転がされてしまった。

 リコリスは膝十字固めを喰らい、歯を食いしばる。


『ふむ。起きて早々活きが良いのぅ。だが年長者は敬わなければならんぞ。』


「お前は誰だ。」


『ワシは神じゃ。』


「神は死んだ。ニヒリストを舐めるなよジジイ。俺の背中には八百万のニーチェが宿っている。」


 リコリスは気合いで体を跳ね上げ、腹筋の要領で全身を丸める。

 即座に足を掴む老人の指を取ると、力のままにへし折った。


『!』


 そこで老人は大きくバックステップで間合いを取り、両腕を開いて腰を落とした。


 ———なるほど、ブラジリアン柔術か。


 どういうカラクリか、折ったはずの指は綺麗に繋がっていた。

 リコリスは獰猛に舌舐めずりをした。


『まあ若いの。先ずは話を聞け。』


 リコリスは不退転の鬼気迫る前進で間合いを潰し、左手を脱力して右腕を引き絞った。


『お主はこれより異世界へと渡ることになる。』


 リコリスの先制攻撃。

 左のジャブが相手の正中線から入り、斜めに持ち上がる軌道で視覚を妨害する。

 老人は横合いから肘をはたいて逸らした。


『勇者として魔王を討ち……おい話を聞け。』


 しかしリコリスの本命の右ストレートが死角から迫る。

 と、見せかけて防御に割いた腕を絡め取った。


『話を聞かんか戯け!!』


 腕は振り払われてしまったが、すかさず開かれた体にタックル。

 リコリスは軸足を絡め取って床に押し倒そうと体重を掛ける。

 しかし敵も然るもの。振り下ろされた肘打ちがリコリスの背中を襲い、肺から空気が漏れた。

 一瞬呼吸を忘れた。

 老人は軸足を変え、組みつかれた足ごとリコリスを振り回した。

 弧を描いて半円。

 遠心力に負けたリコリスは遠くへ飛ばされてしまう。


『なんて奴だ。まるで話を聞かん。確かに腕っ節がつよくて芯のある奴と要求したが、まさかここまで言葉の通じん野蛮人が来るとはのう。現世は地獄か、ブッダのやつめ。』


 老人は起き上がるリコリスを視界に認め、面倒臭そうにため息を吐いた。


『もうよい。あとは現地の連中に任せるか。』


「ジジイ、中々やるじゃないか。」


『おい若いの。最近流行りのなろう系チートスキルは要るか。』


「なにを訳のわからないことをごちゃごちゃと。だがタダでくれるなら貰おう。」


『うるせぇバーカ!野蛮人は猪でも狩ってウホウホしてろ!!』


 老人は唾を吐き捨てると柏手を一本打ち鳴らした。

 この間、僅か4フレーム。

 流石のリコリスも瞬きに合わせられて(虚をつかれて)は対応できなかった。

 不意にリコリスの意識は飛び、肉体が背後の闇へと飲み込まれて行くのだった。






 意識が戻った時、リコリスは独房のような閉所に幽閉されていた。

 鉄格子の中にカビた毛布と尿瓶。

 なんて劣悪な環境だ。

 日本の刑務所ではなさそうだ。


「目が覚めたか勇者よ。」


 声がした方を見れば眉間に険しい皺を刻んだ白髯の男が偉そうに佇んでいた。


「誰だ貴様は。」


「余はこの国を司る神だ。」


「神ならさっき殺した。」


「お前ちょっとヤバいよ………。」


 男は何かとんでもない奴を招いてしまったようだと早くも後悔した。

 一方リコリスは付け入る隙がありそうだと内心喜んでいた。

 常人のつまらない心理を手玉に取ることなどリコリスにとっては朝飯前に昼飯を食うようなものだ。

 それよりこの男は何なのだろうか。

 偉そうだから総理大臣か国家主席か総書記だろう。


「貴様、名を名乗れ。ちなみに俺は神武天皇だ。」


「神に名などない。余は余だ。」


「うるさい。朕にひれ伏せ下郎ッ!!神格は朕の方が上だッッ!!!日本4000年の歴史を食らえ!!!!」


 リコリスは鉄格子を掴み、ガチャガチャ鳴らした。

 この猿の如き所業には流石の男も驚き、呆れ、そして遂に折れた。

 こんな野蛮人に付き合っていたら年が明けてしまう。

 もうどうしようもなくなって本題に入る。


「貴様には勇者として魔王を倒してもらう。」


「あいわかった。そいつの住所と氏名、電話番号を教えろ。イタ電は得意だ。ピザも付ける。」


「………よくわからんが、ここから北へ行けば魔王に会える。なんかお前やべーしさっさとこの国から出てってくんね?」


「待て。まだ食事を貰ってない。カツ丼はまだか。」



 追い出された。



 リコリスは舗装された道を歩く。

 天気は良好。コンパスは相変わらず北を差している。

 さて魔王とやらの顔を拝みに行くか、などとるんるん鼻歌を歌っていると、後ろから馬に乗った兵士がやってきた。


「失礼。勇者様とお見受けします。」


「そうだ。俺は勇者明智光秀だ。」


「………大変申し上げ難いのですが、貴方様が進んでいるのは南です。引き返して下さい。」


「何だと!?コンパスはあっちが北だと言っているぞ!!」


「それは腕時計にございます。」


「うるさい!!コロンブスも東から地球一周したんだ!今更戻るより南から北に行った方が早い!!」


「無謀に御座います!!徒歩だと30年はかかりまする!!」


「お前の馬を貸せ!!そしたらお湯入れて三分だ!!!」


「訳がわかりません!!やめてください!!引っ張らないで!!アーッ!!」


 リコリスは優秀な足を手に入れた。

 しくしく泣いて帰る兵士を見送ると、早速馬に乗ってみる。


「ふむ。手綱を引けば良いのか?」


 リコリスは乗馬初心者だった。

 とりあえず手綱を引いたリコリスだったが馬は驚いたように嘶き、棹立ちとなってリコリスを振り落とした。

 おまけに後ろ蹴りを喰らい泥まで被った。

 リコリスは顔を拭いながら立ち上がる。


 乗馬って難しいな。


 ふと錆びついていた知識が人馬一体という言葉を導き出した。


 そうか、馬と理解し合うことが大事なのだ。


「おい馬。お前、名前はなんだ。」


 馬はヒンっと鳴く。


「ふむ。わからん。」


 その時リコリスの腹の虫が鳴った。

 時計は12時を指していた。

 昼の時間だ。


「おい馬。お腹空いてないか。」


「ヒン」


「俺はぺこぺこだ。カツ丼を食い損ねてしまったからな。」


 そうだ、肉だ。俺は肉が食いたい。

 リコリスは何故だか無性に桜という言葉を思い浮かべた。


「桜……桜…………。」


「ヒン?」


「サクラ………そうか。」


「ヒヒン?」


「お前は今日からサクラだ!」


「ヒヒン!!!」


「よし、メシだ!!!」


 リコリスは早速肉を調達した。


「桜肉、一度は食ってみたかったんだよな。」


 人馬一体。馬刺しとなったサクラはリコリスと融合したのだった。


 リコリスは素早さが上がった!


「さて、魔王を倒しにいくか〜〜!」


 リコリスは上機嫌に鼻歌を歌って進むのだった。


 それから30年後、魔王を倒したリコリスは新たに覇王として魔族の頂点に君臨し、大陸から人間を放逐したという。

 人の文明は滅亡のカウントダウンを刻み、魔族は猖獗(しょうけつ)を極めたのだった。

 新たな勇者が現れ、リコリスを倒すのはまた別の話。


 めでたしめでたし。















 人物紹介


 ・リコリス

 →ははは!はははははは!ははははははははははははははははは!!!!!

 ははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!

 今日も病室に上機嫌な声が響く。担当のナースはまたか、とため息をつき主治医に言った。


「先生。あの患者、本当に夢遊病なんですか?」


「あー、分類上はそうなるな。ショックで現実が曖昧になっちまったんだ。」


「可哀想に。金メダル、せっかく取れたのに。」


 ナースはカルテを開く。

 あの日、日本に栄光をもたらした将来有望な柔道家は、今や管に繋がれて病院のベッドで痩せ細っていた。

 腰椎骨折。彼は不運にも階段から落ちた子供を庇って逆さまに落ちた。その後の診断で神経を切ってしまったとわかってからは己が運命を呪い、そして燃え尽きた。そう、現代の医療ではとても治すことのできない不治の病を患ってしまったのだ。

 二度と立って歩けまい。図らずも、不沈艦と名付けられた柔道家を沈めたのは拳でも投げ技でもなく、鋭利な真実一言だった。

 トドメを刺された彼は夢の世界へと旅立って行った。きっと辛く厳しい現実に帰ることは無いだろう。かれこれ10年もこのままだったのだから。


「そういえば先生、研修医の話聞きました?」


「うん?あぁ、彼ね。フフフ。楽しみだよ。」


 主治医の先生はバインダーから履歴書を見る。


「誰かの命を守れる人になりたい、か。リコリスくん。君が守った少年は、君の志を立派に受け継いだよ。」


 ———だからおやすみ。君はもう休んで良いんだ。今までお疲れ様。


 主治医は温かな眼差しでリコリスの手を握る。

 君は私たちの誇りだ。

 彼の眦に一筋の光が走った気がした。





もっとリコリス二次創作が生まれるといいな、なんて思いながらいつも書いてる俺氏。

リコリスという名前。滅茶苦茶な設定。何をやっても良い展開。申し訳程度のリポビタ要素。この程度で成り立つ二次創作が他にあるだろうか。いやありそう。(反語)


誰かに届け!俺のリコリス二次創作の創作意欲〜〜!!!

ビビビビビビ!!!!


てか、半角使いたかったのにでけへん。どうやるんや……。

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