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神秘の子 ~数秘術からはじまる冒険奇譚~【書籍発売中!】  作者: 裏山おもて
第Ⅲ幕 【幻影の忠誠】

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教師編・24『姫騎士との手合わせ』


 二度目のダンジョン授業がやってきた。


 今回はダンジョン泊なので、みんな手荷物を持っている。

 なかでも騎士学校の生徒たちは、みな巨大なリュックを背負っていた。見るからにパンパンに膨れ上がった麻袋を背負っている騎士見習いたち……シュールな絵面だな。

 ひとまず転移装置で10階までやってきたので、授業開始のまえに質問してみた。


「ええと、騎士学校のみなさんはなぜそんな大荷物なんです?」

「はい! 我々は兵士たるもの、あらゆる状況に対応できなければなりません!」


 背筋を伸ばして答えたのは、最年長の生徒だ。

 たしか名前はクルジッド。去年、卒業年齢に達したが槍術の教師に弟子入りするかたちで再入学をしたらしい。マーガリアと同じく再編入制度を使った成人学生――いわゆる大学院生みたいなもんだ。


 おかげで槍の扱いは抜きんでて巧い。あと、声がデカい。


「あらゆる状況ですか。クルジッドさんは、どのような状況を想定していますか?」

「はい! 魔物による負傷、罠による状態異常、遭難時のライフラインの確保、他の冒険者とのトラブル対処などであります!」

「そうですか。だから何から何まで持ってきたんですね。その大きいのは魔物避けの魔術器ですか」

「そうであります!」

「なるほど。納得です」

「先生! 我々に何か不手際がありましたでしょうか!」

「そうですね……その想定に、その荷物量を背負って歩き続けることの負荷を計算していれば、なお良かったと思います」

「……あっ!」


 あまりにも荷物が重いと、すぐにバテてしまう。

 それゆえ冒険者たちは最低限の装備でダンジョンに潜る。ポーションは持てるだけ持つが、水源は魔術で代行してトラブルはマンパワーで避けるなど、身軽にすることが鉄則だ。

 事前準備とは、決して多くのアイテムを用意するだけじゃない。持って行くものを選別するのも大事だ。


「というわけで、みなさんいったん荷物を整理しましょう。ポーション類だけは残して、できるだけ軽くしてください。不要だと思ったものはこちらで預かりますから、遠慮なく仰ってくださいね」


 騎士学校生はことさら荷物が多いが、魔術学園の生徒たちもそれなりに余分に持ちすぎている。とくに食料を持ってきているので、それは不要だと指導しておいた。

 基本はダンジョンでの食事は現地調達だ。ただし塩や黒パンなどは必要だ。あとは固形燃料も。


「にしても、淑女学院の子たちは相変わらず模範的ね」


 ターニャが感心したように声を漏らした。

 その言葉通り、淑女学院の子たちは適度な荷物量だった。まあほとんどの子は一度以上ダンジョンに潜ったことのある経験者らしいし、レベルも平均して20を超えているので手馴れているんだろう。よく考えたら淑女学院の令嬢たちが一番慣れてるのって、おかしい気がするけどな……まあいいか。


 手荷物の指導をして全員が身軽になると、ようやく11階層に進んだ。

 ちなみに10階層のダンジョンボスは通常ボスのグレイボアだった。この前サーヴェイが倒したカトブレパスに比べたらカワイイものなので、ママレド殿下に任せたら瞬殺していた。


 11階層最初の部屋で、一度振り返って全員の顔を見る。

 

「これから11階層を進みますが、今回は皆さんを5つのパーティに分けて攻略していきます。12階層までは順路に印があるので基本は一本道のようなものですので、マッピングはせずにみなさんで先頭をつとめてもらいます。俺たち教師は基本は手を出さないので、先頭のパーティが魔物や罠の対処をしてください」


 そう言うと、ざわつく魔術学園の子たち。


「即死するような魔物や罠はいないはずですが、気を付けて下さいね。後続のパーティはよく観察し、自分たちならどう動くか考えてながらついていって下さい。ただし別のパーティへの口出しは遠慮してくださいね」

「先生、パーティの編成はどのようにしますか?」

「こっちで決めています。経験者と未経験者を混ぜていますので、使える魔術や武器は自分たちで教え合って協力して進んでください。ではこちらがパーティ編成です。ちなみにリーダーもこちらで指名してます」


 俺は全員に紙を配った。

 欠席者はいないので、6人パーティが5チームだ。


 リーダーはサーヴェイ、リリス、マーガリア、クルジッドと他の騎士学校生だ。彼らの下に他の生徒たちを配置している。

 とくにマーガリアはレベルBランク冒険者並みのレベルなので、40階層までならソロでも余裕だろう。彼女にはあくまでサポートになってもらうつもりだ。


「では最初はサーヴェイさんのパーティです。お願いします」

「……ふんっ」


 そう言うと、サーヴェイは俺をジロリと睨みつけてから顔を逸らした。

 嫌われているような気がするけど、心当たりはない。


 このまえサーヴェイが11階層を軽く突破していたので最初に手本を見せてもらうつもりで任せた。今回も期待どおり、すぐに罠を見抜いて無効化したり避けたり、魔物は手際よく排除していた。

 後ろでママレドが魔物解説をしているので、他の生徒たちも退屈になることはない。むしろ俺すら知らなかったニッチな情報まで出てくる。さすが魔物狂いの研究者だ。


 ものの一時間ほどで出口までたどり着いたので、ここで交代だ。

 

「では12階層はリリスさんのパーティでお願いします」

「かしこまりました先生」


 にっこりと笑って前に出るリリス。

 今日はとても機嫌が良さそうだ。


 12階層の魔物もほとんど変わらず、Eランクが中心だ。リリスは知識も豊富なのか、力押しだけじゃなくちゃんと弱点をついたりして倒していた。

 それと、パーティ全員がバランスよく戦闘できるように立ち位置を変えたりしている。前回も参加してレベリングしたからか、経験者らしい動きだ。


 ちなみに12階層には、最後にボスがいる。

 グレイウルフが複数体で、いままでより難易度は少し上がる。初心者向けの階層はここまでという証でもある。この先は階層がいきなり広くなるし魔物もDランクが中心になるので、駆け出し冒険者にはおススメしていない。順路案内もなくなって、マッピングが必要になるし。


 兎に角、初ダンジョンの子たちはグレイウルフに委縮してしまっていたが、リリスが的確な指示を出して囲んで魔術で攻撃を繰り返していた。

 パーティにはまだレベル1の子もいたが、うまくグレイウルフを誘導してすべての攻撃をリリスともう一人の経験者が受けるようにしていた。


 力押しだったサーヴェイたちとは違い、技巧的な立ち回りだった。ちなみに戦い方に正解はないので、よほど酷くなければ戦術に対して何か言うつもりはない。それぞれリーダーが考えた方法で息を合せるのが冒険者パーティだからな。


「クリアしました! ルルク先生、どうでしたか?」

「とても安定してましたね。上手ですよ」

「うふふ」


 近くに来てはにかむリリス。

 つい撫でてしまいそうになる手をぐっと我慢する必要があった。


「では次の階層は、指示があるまでマーガリア殿下のパーティでお願いします。マッピング担当も決めて下さいね」

「かしこまりましたわ。みなさん、よろしくお願いします」

「「「「はい!」」」」


 さすがのカリスマ性、まるで主人と従者のように乱れぬ隊列を組んだマーガリアパーティ。


 ここから先が本当の迷宮なので、地図作成(マッピング)しながらの移動になる。進む速度もゆっくりになるし、必然的に魔物と戦う回数も多くなる。

 なのでその手本を一番レベルの高いマーガリアにしてもらおうという算段だ。マーガリアもその意図がわかっているらしく、マッピングと索敵を従者……じゃなくて仲間に任せて、自分は最後尾から指示を出していた。完全に名実ともにリーダーの風格があるな。


「カリスマ性か」


 うらやましい才能だな。リーダーにはぴったりだ。

 俺はカリスマなんてないし、経験が長いからリーダーやってるだけで、地頭の良さならサーヤが一番だ。だがサーヤはまだ冒険者として経験が浅い。

 一番カリスマ性というか存在感があるのは、最強種のセオリーだが、ポンコツなので問題外。

 リーダーらしい対応力があって機転も利くエルニは、無口だから指示役は向かない。

 ナギはそもそも最前衛なので、立ち位置的にリーダー役は不可能。


 もしマーガリアのようなカリスマ性があって頭もよく、バランスのとれた能力がある人がいれば、俺たちのパーティ戦闘ももっと楽になるよなぁ。

 と、そんなことを考えたところで、俺はふと気付いた。


 戦闘はエルニがひとりいれば十分なんだから、別にカリスマとかいらないよな。


「ルルク様、心ここにあらずですか?」

「ああすみません。マーガリア殿下があまりにも頼りになりすぎてて気が抜けました。ママレド様も、頼りがいのある妹がいて鼻が高いでしょう?」

「いえ、マーガリアもまだまだです。魔物を仕留める際に無駄が多すぎます。筋繊維に対して垂直に斬ってしまうと抵抗が強いとあれほど教えたのに、まだ理解してないです。それに狙った素材が落ちないとはいえ、臓器を傷つける必要がどこにありますか? ダンジョンというシステムに甘んじているのが目に見えてわかります。これが外であれば研究材料をみすみす傷つけていると同じ事なのですよ。まったく、そんなことでは――」


 また始まった。

 俺はママレドの不満を右から左へ受け流しつつ、生徒たちのダンジョン攻略を眺めて歩くのだった。






 16階層に着いた頃には、すでに時間的に夜になっていた。


 それぞれのパーティの順番は二巡したところで、ちょうど宿泊予定の16階層最初の部屋に着いた。前回よりも遥かに体力と集中力を使った生徒たちは、倒れるようにして座り込む。基礎体力の高い騎士学校生たちもバテていた。


 まだまだ余裕そうなのはリリスとサーヴェイ、それとマーガリアだけだ。


「では食事にしましょう。ダンジョン内での食事ですので、各自自由にとってください。パーティ内に調理ができる人がいなければ、今回は俺が代理でやるので申し出て下さい」


 昼は片手間で食べられるもので済ませたので、みんな腹ペコになっていたようだ。


 みんな疲れすら吹き飛ばす勢いで、ここまででゲットした魔物の肉などを取り出して話し合っていた。

 調理には火魔術が必要なのでどのパーティにも適性がある人を組み込んでいる。それと生命線になる水魔術も同様だ。

 

 ここで意外だったのは、どのパーティも調理担当が騎士学校生だったことだ。

 てっきり淑女学院生が調理するのかと思っていたが、どうやら淑女学院で料理は習わないらしい。よく考えたら貴族は召使いが料理するから、貴族令嬢の役割ではないのか。

 そういえば昔、貴族の子女が手料理を振舞うのは婚約者だけって慣習があると聞いた気がする。


「わっ、ルルクくんのお弁当かわいい!」

「でしょう? 自慢の愛妻弁当なんです」

「……愛妻弁当? ルルクくんって結婚してたの?」

「従魔のプニスケが作ってくれたんですよ」

「あの喋るスライムの子ね。料理もできるんだ~」

「むしろ宮廷料理人並みの腕前ですよ。でも俺の胃袋を掴んでるって考えたら、確かにプニスケが俺の結婚相手としてもっともふさわしい存在かもしれませんね」

「……あ、あはは。ま、まあ冒険者は自由だもんね」


 あれ? ターニャがドン引きしてる。なぜだ。

 俺が愛妻弁当ならぬ愛スライム弁当を味わっていると、生徒たちも料理が出来てきたみたいで「美味しい!」「苦労した甲斐があった!」「これが自分で倒した魔物の味か……」などなど口々に感動していた。


 俺たち教師陣が持参した弁当を食べてしばらくしてから、生徒たちもみな食事を終えた。

 全員しっかり満腹になっていようで談笑している。笑顔が絶えなかった。


「ルルク先生」


 生徒の手前、食後の紅茶を飲むわけにもいかず我慢していると、やってきたのはリリス。後ろにはマーガリアもいる。


「これはリリスさんにマーガリア殿下。本日はお疲れ様でした。いかがしましたか?」

「ありがとうございます。今日はここで就寝ですか?」

「その予定です。少しだけママレド様の講義を挟むつもりですが」

「では、その前にお願いをよろしいでしょうか」


 なんだろう。

 教師と生徒として個人的な用事はないはずだけど、後ろにマーガリアがいるってことは兄と妹の内緒話ってわけでもなさそうだ。


「構いませんよ。あちらに移動しましょうか?」

「いえ。マーガリア様からのお願いになりますので」

「そうなんですか。殿下、俺に何か用向きが御座いましたか?」

「はい先生。ぜひわたくしとお手合わせをお願いしたいのですわ」

「……手合わせですか」


 第5王女マーガリア。またの名を姫騎士。

 彼女も騎士の例にもれず、強さを追い求めている――という噂はあながち嘘じゃないらしい。


「まだまだ未熟者ですが、無礼を承知でお願いしたいのです。ぜひとも稽古をつけて頂きたいのですわ」

「えっと……軽い手合わせ稽古は可能ですが、俺は神秘術士なので稽古になるかはわかりませんよ? 騎士剣術はろくに使えませんし」

「構いませんわ。むしろ、だからこそお手合わせをお願いしたいのです」


 まっすぐな瞳で見つめてくるマーガリア。

 まあ、食後の腹ごなしに軽い運動はむしろ大歓迎だ。それに俺は今日たいして動いてないので、少しは動きたかった。


「わかりました。では、あちらでやりましょうか」

「感謝いたしますわ」


 そういうわけで俺とマーガリアはみんなから離れた場所に移動して、向き合った。

 マーガリアには普段通りの装備をしてもらう。


「……先生は素手で大丈夫なのでしょうか?」

「はい。俺のステータスで使ったら万が一のとき致命傷になりかねないので」

「なるほど。さすが噂のルルク様ですわ」

「殿下は遠慮なく全力でどうぞ」

「勿論ですわ。わたくしごときじゃ、足元に及ばないのは百も承知ですもの」


 そう微笑んで、剣を構えるマーガリア。

 中段の基本型だ。ヴェルガナも得意としていた構えだ。

 マーガリアの雰囲気が研ぎ澄まされた直後、リリスが静かに一言。


「はじめ」

「せいっ!」


 マーガリアが真っすぐに踏み込み、最短距離を突いてきた。

 迷いのない良い速度だ。たしか剣槍という技だったっけな。連続突きからの振り下ろし、それから回避方向への逆袈裟斬りにつなげていく連続攻撃の初手だ。

 先手を取られたらかなり防御が難しいので、昔はヴェルガナにボコボコにされた記憶しかなかったけど、さすがにあのドS老婆に比べると緩やかに見えてしまう。


 俺は突きを軽く避けて、振り下ろしが来る前に下段に蹴りを放った。


「くっ!」


 剣槍からの連続攻撃の要は前足なので、そこを崩されると大きな隙ができてしまう。

 慌てて体勢を整えたマーガリアだったが、もう遅い。

 俺はマーガリアのほぼゼロ距離まで接近して、拳をアゴにトンと当てた。


「そこまで!」

「……参りました」


 あっという間の決着。

 さすがに手合わせ稽古なので、無駄な引き延ばしは必要がないからね。

 一応助言もしておこう。


「前足に体重を乗せすぎてましたね。あれじゃ攻撃を予測されますよ。せっかく対応力のある中段構えだったのに、足運びで体重移動に無駄が多かったです」

「体重移動ですか……先生は剣にもお詳しいですの?」

「剣には詳しくないですけど、武術全般が万能な仲間がいるもので。俺もよく手ほどきされてるんです」


 なんせナギのステータスは俺の三分の一程度なのに、組手ではいまだ一度も勝てたことないからな。

 俺の目標は、いつかあの武術チート褐色ロリっ子をぶん投げることだ。


「殿下は上半身が安定しているので、もう少し重心を落として動くといいですよ」

「重心をもっと落とす、ですの?」

「はい。おそらく騎士剣術では中段構えだとその位置が理想なんでしょうが……その、ええと、マーガリア殿下は他の騎士の方々よりも重心が高いので……」


 ちょっと言いにくいことだったが、しっかりと伝わるように言った。

 なんせ暴力的なまでの双丘(おっぱい)なのだ。


 そもそもほとんどの騎士は男だから、騎士剣術自体がマーガリアのような体型を想定はしていない。体型が変われば使う筋肉も重心も変わる。


「なるほど! 納得ですわ!」


 ほっ。セクハラ扱いされなくてよかった。

 そのまま下半身を中心に鍛えるといいと伝え、どの筋肉がどう連動しているか知識を伝えておいた。もちろん、これも全てナギの受け売りだ。

 そうやって助言していると、


「ルルク先生! 自分にもご指導をお願いしたいのであります!」


 槍を手にしたクルジッドがやってきた。

 いつの間にか、騎士学校生たちが全員列になって並んでいる。ラーメン屋の前の順番待ちみたいだ。

 俺は苦笑しながら、


「わかりました。ひとり一度までですよ」


 こうして騎士学校生全員と手合わせをして、考え得る限りの助言をしておいた。

 ただしあくまで自分の得意な型を崩さないように、とも言っておく。もし型が崩れてしまったら、それこそバランスが崩れてもっと悪くなるからな。


 そうやって騎士学校生を見ていたら、他の生徒たちもみな興味ありげに眺めていた。

 無論、魔術学園生や淑女学院生は武術のイロハなんて無関係――だったが。


「なあ、僕とも手合わせしてくれよ」


 最後にやってきたのは、不機嫌そうなサーヴェイ。

 そういえば自信ありげな態度は鳴りを潜めて、今日はずっと口数が少なかったな。


「構いませんが、俺は魔術使えないので助言も何もありませんよ?」

「誰が助言してくれって言ったかよ。僕は手合わせしてくれと言ったんだ」

「そうですか」


 俺はサーヴェイの苛立ちの中に潜むメラメラした闘気を感じ取った。

 やはり彼も男の子だな。強くなろうとする騎士学校生たちを見て、自分の腕試しをしたくなったに違いない。


「いいでしょう。では、全力でかかってきてください」

「……後悔するなよ」


 念のため、ママレドとターニャに生徒たちと入り口付近まで移動してもらった。

 サーヴェイはレベルは低いが魔術練度はそこそこ高い。初級魔術でCランク魔物を倒せる凄腕の魔術士でもある。上級魔術でも使おうものなら、この部屋中に影響がでるだろう。


 距離を取って対峙した俺とサーヴェイ。

 まるで決闘みたいだな――とのんきなことを考えたいた直後だった。


 サーヴェイが憎しみを吐き出すように呪文を唱えた。

 

「深淵よ溶かし尽くせ――『アシッドバレッド』!」


 それはかつて、俺の心臓を奪った闇魔術だった。

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