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神秘の子 ~数秘術からはじまる冒険奇譚~【書籍発売中!】  作者: 裏山おもて
第Ⅲ幕 【幻影の忠誠】

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教師編・8『懐かしい顔』


「改めましてすみません。姉がとんだご迷惑をおかけしました」


 ペコリと頭を下げたのは、リュート奏者の少年だった。


 場所を移動して、近くのレストランで個室を借りた俺たち。円卓を囲んで腰を落ち着けたら、少年がすぐに謝罪の弁を述べた。

 ……姉?


「僕はニチカの双子の弟、スイモクといいます」

「弟なのね! どうりで似てると思った!」


 サーヤが手を合わせて笑顔を浮かべる。

 たしかにスイモクも綺麗な顔をした美少年で、目元がそっくりだった。

 有名人の姉は俺をじっと見つめたりサーヤを睨んだり忙しなくしていて、弟のことなんて気にかけていなかった。


「恐縮です。よろしければ、みなさんのこともお聞かせ願えますでしょうか? 特に、姉さんは昔からあなたを探していたようですので」

「昔から?」

「はい。姉さんが踊り子を始めたのは人探しのためだって、ずっと言ってましたから」

「それで王国イチの踊り子になれるんだもん。すごいわね」


 サーヤが感心したように声を漏らす。

 ニチカはすぐに唇を尖らせた。


「あんたに褒められても嬉しくない」

「人気者に嫌われる理由に憶えはないから、あとでちゃんとワケを聞かせてね」

「ふん!」

「とにかくまずは自己紹介かな。俺はルルク。冒険者パーティ【王の未来(ロズウィル)】のリーダーをしてる」

「私はサーヤ=シュレーヌ。同じく冒険者よ」

「「えっ」」


 硬直したニチカとスイモク。


「ちょっと待って下さい! ルルクさんとサーヤさん!? いま一番話題のひとたちじゃないですか!」

「……私たち、そんなに有名なの?」


 イヤそうに顔をしかめるサーヤ。

 スイモクは熱が入ったように語った。


「もちろんですよ! 若くして魔族をたくさん倒し、SSランククエストを達成してSランクにのぼりつめた話題の冒険者たち! 〝神秘の子〟ルルクと〝滅狼の羊〟エルニネールのダンジョン最深攻略コンビを筆頭に、史上最年少Sランク冒険者のサーヤ=シュレーヌ! そしてなんと新しい仲間には最強種の竜姫セオリー様に、喋るスライムの従魔プニスケ、そして小柄な太刀使いナギ! 僕は吟遊詩人としても活動してるんですが、あなたたちの物語はコンビ時代から歌ってたんです! ずっと最新情報が知りたくて、毎日毎日情報屋ギルドに通ってるんですから!」


 目をキラキラさせて上半身を乗り出すスイモクだった。

 圧が凄かった。


「へぇ、そうなんだ……」

「お会いできて光栄です! しかもルルクさんが姉さんの探し人だったなんて! うわ~嬉しいなぁ!」

「そ、それはなによりだ。じゃあ残りのメンツも自己紹介続けていいか?」

「ぜひお願いします!」


 同じ年頃の美少年が興奮しているのを見ると、なんだかムズムズしてくるからな。

 気を取り直して、


「じゃあエルニから続きを」

「ん。エルニネール」

『こんにちは! ボクはプニスケなの! 喋るスライムなの~』

「我はセオリー=バルギリア! 我が主の眷属にして、最強の鱗を持つ至高の種族なり!」

「ナギです。剣士です」

「とまあ、これが俺たち【王の未来(ロズウィル)】のメンバーだ。それでニチカさんが俺をずっと探してたっていう理由は?」

「…………。」

 

 聞くと、ニチカが黙り込んだ。

 恥ずかしいというより、言いたくないようだった。


「すみません。僕にも理由を教えてくれたことはないんです」

「そっか」


 言いたくないなら無理に聞こうとは思わない。

 兎に角、全員の自己紹介が済んだので、まずは食事だな。


 今日はニチカとスイモクの奢りだと聞いて、うちの仲間たちは目を輝かせて注文していた。屋台でもたらふく食べたはずなのに、相変わらず食欲旺盛だな。

 どんどん料理が運ばれてくるのを眺めつつ、


「ちなみにニチカさんは、いつから俺を探してたの?」

「…………。」

「姉が小さい頃からです。もう10年以上前ですね」

「へえ、それはまた」

「ルルクさんはマタイサ出身ですか? どこかで姉と会った憶えはあります?」

「確かにマタイサ出身だけど、幼い頃から家に閉じ込められてたからなぁ。部外者と会ったことはほとんどない。ここから遠い地方の街だったし、たぶん会ったことはないんじゃないかな」

「そうですか……」


 怪訝そうなスイモクだった。

 色々と聞きたことがあったけど、それよりも料理が大体揃ったので後回しだ。

 腹ペコたちがそわそわしてるしな。


「じゃあ食べようか。ニチカさんとスイモクくんとの出会いに乾杯!」

「「「かんぱ~い!」」」


 酒杯をぶつけ合う。

 ちなみにスイモクとニチカ、それとナギは酒を飲んでいる。それ以外はジュースだ。


「ルルクさん、冒険の話を聞かせてもらってもいいですか?」

「もちろん。何が聞きたい?」

「全部……といいたいところですが、ここはやはりストアニアの冒険譚が聞きたいです! ダンジョンの戦いの話はあまり知りませんので」

「よし、じゃあ77階層で出くわしたユニコーンの話をしようか?」

「お願いします!」

「あれは迷宮の隠し部屋を見つけたときだったな。壁の向こうから『処女以外許さん!』ってバカみたいなセリフが聞こえてきて――」


 俺はスイモクと話を弾ませた。

 家族以外の同世代の同性の知り合いなんてほとんど……いや、まったくいないので、これを機に仲良くしてもらいたい下心で、俺は聞かれることをなんでも話した。


 円卓の向こうでは、黙々と食事を口に運びながらサーヤを睨む踊り子がひとり。


「ねえ、なんでそんなに敵視するの? 私何かした?」

「……なんでもない」

「いままで接点無かったと思うんだけど」

「あるから言ってるの」

「どこで? もしかしてそっちも貴族? 確かに小さい頃ならパーティとか出てたけど……」

「わたし平民だけど? なにそれ自慢?」

「そんなつもりはないわよ。ねえちょっとナギ、助けてよ~」


 ナギに助けを求めるサーヤだった。


「自分でどうにかするです。ナギを巻き込むなです」

「そうは言ってもさ~」

「ナギは関係ない……どうしたです踊り子?」


 軽くあしらうナギを、まじまじと見つめるニチカだった。


「ナギの顔に何か?」

「う、うそ……なんでなの……わたし1番どころか2番ですら……」

「何の話です?」


 落ち込むニチカと、首をひねるナギとサーヤだった。


 それから食事が終わるまでは、みんな他愛もない話を続けていた。ニチカは俺を探していた理由を話そうとしなかったし、俺はスイモクと盛り上がってしまったからな。

 食事が終わる頃には外も暗くなっていたので、長居はせずに店から出た。


「もうこんな時間ですか。寮の門限があるので、僕たちはそろそろ帰りますね」

「そっか。まだ話したいことたくさんあるんだけどな」

「僕もです! でも、さすがに申請もなく門限は破れませんので……」

「わかってるって。スイモクはずっと王都にいるんだよな? どこに行けば会える?」

「学園が休みの日は今日みたいに広場で活動してます。あとは魔術学園を訪ねて頂ければ、必ず会えます。ルルクさんはいまはどちらに?」

「ちょうど南街で家を借りたよ。用があったら冒険者ギルドに伝言してもらえれば、すぐに会いに行くから」

「わかりました!」


 スイモクとの別れを惜しみつつ、俺たちは握手を交わした。

 この美少年、話してみたらめっちゃいいやつだった。吟遊詩人やリュート奏者として活動しているが、本職は姉弟ともに魔術学園の生徒らしい。

 これからも仲良くしてもらいたいぜ。


「あの、ルルクさん! これを受け取ってもらえますか?」

「ん?」


 ニチカが俺の手に何かを握らせた。

 貝殻のネックレスだった。


「なにこれ?」

「じ、自作のアクセサリーです」

「へえ。どうしてこれを?」

「この国では、女性から男性に贈り物をするときは、身につけるものを選ぶのが一般的なので……」

「そっか。じゃあ遠慮なくもらっておくよ。ありがと」


 俺が素直に受け取ると、嬉しそうに微笑んだニチカだった。

 結局、ニチカが俺を探していた理由は聞けずじまいだった。しつこく聞く気もなかったし、教えてくれる気もなさそうだったし。


 プレゼントをアイテムボックスに仕舞ったところで、そのまま手を振りながら去っていくスイモクとニチカ。

 魔術学院の寮は門限が早い……よし憶えた。

 

 ふたりが見えなくなると、サーヤが首をかしげる。


「ねえルルク、ニチカって子とはほんとに面識なかったの? 私は確実になさそうなんだけど」

「ないと思う」

「やっぱねえ。気にならない?」

「気になるけど、気にする必要はないんじゃないか。何か、見えないものでも見えてるような感じの子だったし」

「たしかに、思い込み強そうだし……」


 気にしても仕方ないだろう。

 それよりも初のマタイサの王都はなかなか楽しめたな。新しい出会いもあったし、街の雰囲気も味わえた。


「来週からはルルクが先生か~」

「ダンジョン授業だってさ。厳しいタイプにするか優しいタイプにするか悩むぜ」

「女の子には甘そう。いつもみたいに軽々しく口説いちゃダメよ?」

「え? 俺、女の子口説いたことないんだけど?」

「え?」

「え?」

「サーヤ、いい加減目を覚ますです。この地味男は自覚ナシのクソ野郎です」


 ナギに脇腹を小突かれる。

 クソ野郎は言いすぎじゃない?


「……まあでも自覚あるよりはいいわよね」

「はぁ。あの踊り子も大概ですが、サーヤはもっと重症です」


 そんな話をしながら、借りた家まで歩いて帰った。


 ちなみに借りたのは二階建ての小さな一軒家だった。

 転移に使う拠点として借りたけど、ゆくゆくはカモフラージュ目的だけじゃなくここでも生活できるようにするつもりだ。そのうちバルギアのダンジョンが攻略終われば、マタイサのダンジョンも攻略しておきたい。


「ストアニアに戻る日はまだ先になりそうだなぁ」

「ん。ダンジョンにげない」

「だな。気長にやるか」


 俺たちのダンジョン攻略も再開したいけど、それよりメンバーの育成が先だもんな。

 その日はバルギアの屋敷に戻ってから、すぐに就寝した。

 






「【王の未来(ロズウィル)】のルルクです。しばらくマタイサで活動することになったので、ギルドマスターに挨拶に参りました。ギルドマスターはいらっしゃいますか?」


 3日後の昼。

 サーヤたちの育成はエルニに任せて、俺はマタイサ王都の冒険者ギルド本部を訪れていた。


 ギルドはかなり広々とした造りで、冒険者たちの表情も明るかった。

 併設されている酒場も他の国に比べれば綺麗だし、昼間から飲んでいる冒険者はいない。ストアニアなら常に5組は酒盛りしているのにな。


 受付嬢もみな若く、健康的だった。

 化粧っ気のないお姉さんのところに並んだら、受付嬢のお姉さんは俺の顔をみるなり立ち上がった。


「わっルルクくん! すっごい久しぶり!」

「え?」


 どこかで会ったっけ……と記憶を探ったら、ひとり思い当たった。


「あっ! フレイアの街にいたお姉さん!」

「憶えててくれたの! 嬉しいわ~」


 冒険者になったばかりの頃、ストアニアの南端の街フレイアで会った受付嬢だった。

 ウルフ騒動の時に俺とエルニのことストレートに心配してくれた優しいお姉さん。


「すぐに気づけなくてすみません。ただでさえ可憐だった花が、輝くほど美しい姿になっていたものですから」

「あらま。良い男になったと思ったら口も巧くなっちゃって!」


 ケラケラと笑う受付嬢。


「背も伸びたわね~……わたしよりはまだ小さいけど」

「お姉さん、ストアニアのギルドに所属してましたよね? どうしてここに?」

「結局あのあと異動したのよ。もともと実家はマタイサだったし、またグレイウルフの群れが戻ってきたら危ないと思ってね」

「そうだったんですか。またお会いできて光栄です」

「わたしもよ。あ、ギルドマスターだったわね。呼んでくるからちょっと待ってて」


 受付嬢はそそくさと階段をあがっていった。

 ものの数分で戻ってくると、俺を手招きする。


「ルルクくん、部屋においでって! 初めてだろうし案内してあげる!」

「お手数をおかけします」

「いいのいいの。仕事だから」


 5年前とまったく変わらない飾り気のない受付嬢に連れられて、3階のギルドマスターの部屋まで案内された。

 受付嬢が扉をノックして開くと、部屋には壮年の男と老婆がいた。


「ギルドマスター、お連れしました! じゃあルルクくん、わたしは受付に戻るわね」

「はい。ありがとうございました」

「はーい。クエストの時はわたしのとこに来てね~」

「ええ、もちろんです」


 受付嬢が部屋から出るのを見送ると、俺は小さく息をついた。


「……で、なんでここにいるんです?」

「なんでも何も、アタシもまだ冒険者資格はあるからねぇ」


 ギルドマスターの部屋にいたのは、何を隠そう盲目の老婆。

 そう、ヴェルガナだった。


「随分久しぶりだってのに、師に対して最初のセリフがそれかね」

「……失礼しました。お久しぶりですヴェルガナ」

「カッカッカ! 元気そうで何よりさね、ルルク坊ちゃん」


 懐かしい顔だった。

 実家を出てから5年ぶりの再会。今日は古い知り合いに会う日なのかな。


「ヴェルガナも相変わらずみたいですね」

「カカカッ。旧知を温めるのも悪くないけどね、アタシばっかり喋ってると後ろから殺気が飛んでくるさね。ホレ、挨拶しな」


 そう言うヴェルガナの後ろにいたのは、全身傷だらけの壮年の男だった。

 短い赤髪にグラサン、全身に走る無数の傷跡。傷を隠すためか、全身刺青だらけだった。


 どこからどう見てもヤのつくひとにしか見えないんだが?

 とはいえ、彼がギルドマスターだろう。俺は大人しく頭を下げておく。


「お初にお目にかかります。【王の未来(ロズウィル)】のリーダー、ルルクです。しばらくマタイサで活動する予定なので挨拶と打ち合わせに伺いました」

「貴公がムーテル家の三男坊か。ヴェルガナやカーデルから聞いている」


 渋い声だ。

 いかにもヤのつく以下略。

 

「私はダイナソーマン。説明するまでもないだろうが、マタイサエリア統括のギルドマスターだ。よく来てくれたな、ギルドを代表して歓迎する」

「恐縮です」


 めっちゃカッコいい名前だな。

 やっぱり捕食者側なんだろうな。魔物とか素手で殺して食べてたりするのかな?


「アンタ、変なこと考えてるだろ。ダイナは腕利きの盾職(タンク)で防御特化型だよ」

「いえいえ滅相もない」


 心を読むな!

 しかし盾職だったか。どうりで傷だらけだ。


「ちなみにヴェルガナ、ギルドマスターとはどんな関係で?」

「アタシが冒険者だった頃のパーティメンバーさね。一番若かったのがダイナさ」

「なるほど」


 そりゃ事情も隠さないワケだ。

 ま、俺がムーテル家の一員だってことを知ってるなら話は早い。


「じゃあ俺がマタイサに戻ってきてる理由も?」

「ダンジョン講師するんだろ? カーデルから聞いてるさね。転移スキルもあること知ってるよ」

「そうでしたか。説明が省けて助かります」

「にしてもルルク坊ちゃんがここまで化けるとはねぇ……で、お師様はどうしたんだい?」

「……えっと、師匠のことなんですけど、その……」


 言葉が胸につっかえた。


 ヴェルガナは俺の師であると同時に、ロズの弟子でもあった。

 ロズに助けられた人たちはたくさんいるし、弟子たちはみんな俺と同じようにロズを敬愛していただろう。


 そんなロズを、俺のせいで失ったとみんなに伝えるには……かなりの勇気が必要だった。

 

「師匠は……ロズは、」

「そうかい。ようやくちゃんと逝けた(・・・・・・・)かい」


 ヴェルガナは俺の言葉の震えだけで、全てを察した。


「安心おし。アタシたちは、お師様が死ぬために旅をしてたのは知ってたさね。ようやくその時が来たってことはわかってるよ。むしろ死ぬのはお師様の悲願でもあったんだ。アタシたち弟子がお師様を失いたくなかったってのは、それとは別問題さね」

「すみません、でも、俺のせいで……」

「泣くんじゃないよアホタレ。ちっとは強くなったと思ったけど、まだまだガキンチョさね」


 そういうヴェルガナも、見えない瞳にうっすらと涙を浮かべていた。


「そんなわけでダイナ、このハナタレ坊主はまだまだ未熟モンさね。ビシバシ鍛えてやりな」

「善処しよう」

「そんで、アタシがここにいる理由だったかいな? まあ単純なモンで、いまは王都に滞在中だからさね。こっちの屋敷の警護を担当してるのさ」

「そうでしたか……ムーテル領の本邸はいいんですか?」

「あっちの維持管理はメイドに任せてるさね。そもそも、いまはディグレイ坊が帰るときしか使われてないからねぇ」


 そういえばそうか。

 俺以外の男たちは全員騎士として王都で働いているし、リリスも淑女学院生だから王都にいる。

 つまり実家に戻っても家族は誰もいない。


「今日は休みだから茶を飲みに来たのさ。ルルク坊ちゃんが来るタイミングだったのは運が良かったさね」

「俺は不運でしたね」

「ったく、相変わらず口の減らないガキさね」


 そんな風に気安く憎まれ口を叩き合ってるとると、俺たちを眺めていたギルドマスターが小さくつぶやいた。


「ルルク公、貴公はダンジョン講習について予定のすり合わせに来たのでは?」

「あ、そうですそうです。すみませんついうっかり」


 もともとダンジョン授業には、ダンジョン管理しているギルドとの打ち合わせは必須だからな。

 今日はそれも兼ねて挨拶に来たんだった。ヴェルガナの顔をみたらすっぽり抜けてしまった。


「カーデル女史に聞いたんですけど、授業内容と攻略階層の予定を事前にギルドに相談しておけってことだったので。具体的にどうすればいいですか?」

「毎年のことだ。指導要綱の資料はこちらで用意してある。少々待ちたまえ」


 ギルドマスターはそう言って、棚にあるファイルをいくつか抜いて持ってきた。

 それから俺たちは雑談も交えつつ、茶を飲みながらゆっくり授業計画を立てた。


 ヴェルガナがいたおかげで、ついつい夕方まで話し込んでしまったのだった。


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― 新着の感想 ―
前のオドオド子爵の時もそうだったけど こういう時だけ主人公のカンがクソ悪くなるのどうかと思うの……
[良い点] ストーリーはとても良くて魅力的です
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