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神秘の子 ~数秘術からはじまる冒険奇譚~【書籍発売中!】  作者: 裏山おもて
第Ⅱ幕 【虚像の英雄】

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激突編・8『欲』

■ ■ ■ ■ ■


「これより転移罠を作動させます。転送先はこのダンジョン最下層のボス部屋です。すぐさま戦闘になると予想されますので、冒険者の皆様よろしくお願いします」


 ルニー商会のフィーアがそう告げると、全員が頷いた。

 サーヤたちがダンジョンを攻略し始めて3日目。順調に攻略が進み、フィーアの案内で転移罠の部屋にやってきていた。


 エルフの精鋭たちは気合十分で、【白金虎(バイフー)】の面々もダンジョンボスということで気を入れ直していた。残念ながら我がパーティの羊とスライムは、いつもどおりマイペースにぼーっとしていた。

 やる時はやるタイプなので放っておこう。


「では参ります」


 フィーアがそう言って、何の変哲もない床の一部を踏み抜いた。

 光がほとばしってつい瞬きすると、次の瞬間には別の部屋にいた。


「〝爆炎の巨人〟だ! 皆、距離を取れ!」


 ダンジョンボスは、Aランク魔物のスルトだった。

 その体は炎に包まれており、触れただけで火傷じゃ済まないレベルのダメージを受ける。もちろん魔術も使ってくるし、あの巨体だからそもそも攻撃も通りづらい。

 フラッツが慌てて号令をかけ、全員が後ろに下がる。


 エルニネールを除いて。


「でばん」

「待ってエルニネール! 合同チームなんだから勝手に倒しちゃダメよ!」

「ん……めんどくさい」


 不満そうにジト目を細めたエルニネールだったが、今回ばかりはサーヤの言葉に大人しく従った。

 トドメを刺した冒険者とパーティ登録していなければ、ボスに一撃程度を与えてないとそのボスを突破したことが冒険者カードに記録されないからだ。


 ダンジョン攻略者だったエルニネールには身に染みてわかっていることだったから、突っ走らずに手を止めたのだった。


 エルフの面々は冒険者じゃないので記録は関係はなかったけど、【白金虎(バイフー)】のメンバーには前もって許可を得ないとトラブルの元だ。特に魔族領のダンジョン攻略情報なんて、どれほどの価値があるかわからない。


「みんな、どうするの?」

「当然、一撃入れさせてもらう!」

「俺もだ」

「うむ」

「ア、アタシはいいかな」


 フラッツ、ケムナ、ベズモンドが前に出た。リーリンは大人しく下がっていく。

 それから3人は猛烈な炎が吹き荒れるなか何とかしてスルトに肉薄すると、剣で切ったり魔術を当てたり盾で弾いたりして交戦していた。ベズモンドの盾が熱で歪んだこと以外は特にダメージもなく、また距離を取る。


 巨人の魔物は動作が鈍いので、ヒット&アウェイが基本戦略なんだろう。何度か戦った経験もありそうだった。


「もういいぞ、やれ!」


 フラッツが偉そうに指示する。

 エルニネールはすでに準備していた魔術を発動。


「『スプラッシュコンデメイション』」


 現れたのは巨大な水のギロチンだった。

 それがスルトの頭上と足元から生まれ、挟み込むように全身を両断した。


 これは水属性の中級魔術で、ふつうは人間一人を断ち切るくらいの大きさが限度のはずなんだけど、エルニネールにかかれば巨人サイズになった。

 ケムナが口笛を吹く。


「さすがだぜ嬢ちゃん」


 スルトの全身を鎮火しながら切断したので、内部の炎が荒れ狂うこともなく倒れたのだった。すぐに素材に変ってしまった。

 同時に宝箱がひとつ出現したが、エルニネールが迷わず開けていた。当然、誰も文句を言わなかった。

 サーヤも宝箱を覗きにいく。


「ねえ、中身なに?」

「ん」


 入っていたのは小さな魔石。橙色の不思議な光沢がある石だ……なんだろう。

 後でルルクに鑑定してもらうことにして、ひとまずアイテムボックスに仕舞ったエルニネール。

 エルフたちが「さすが救世主殿」と褒めていると、奥の扉が開いた。


 そこにエルフの子たちがいるはず――と進もうとした一同の足元が、突如輝いた。


「『狂花繚乱』」


 魔術陣の光だった。

 気づいたときには遅かった。その場にいる全員が罠の範囲内に立ってしまっていた。

 魔術を発動したのは、いつの間にか部屋にいた金髪の男。


「あぶねえなぁ、間一髪だったんじゃねぇか? にしてもルニー商会っつったか……どうやってこの転移罠に気づいたんだっつーの。オレが様子見に来てなきゃ計画がパーだったところだぜ? これ以上の軌道修正は無理だから勘弁してくれよ」


 その男は、うざったそうにつぶやいていた。

 誰だ――そう問いかける余裕はなかった。

 サーヤは自分の中から噴出するある感情に、思考が支配されそうになっていたのだ。

 

 余裕がなかったのはサーヤだけじゃなく、


「俺こそがエルフで最強なんだよ!」(ディスターニア)

「もう寝る! アタシもサボりたいワケ!」(リーリン)

「ホタル、もふもふさせろ」(ケムナ)

「主様、いらしておくんなまし」(ホタル)

「あんたたちルルク様の傍にいるのズルい! 代わって!」(カルマーリキ)

『おなかすいたの! お姉ちゃんたちごはん!』(プニスケ)

「なんで俺じゃダメなんだラキララ……」(ベズモンド)


 などなど、他エルフの戦士たちも含めてほぼ全員が自分の本音を顕示し始めていた。


 そんななか平気な顔をしているのはエルニネールとフィーアだけだった。サーヤもギリギリなんとか踏ん張りながら、アイテムボックスからスゴ玉を取り出して口に入れる。

 臭い……けど効果はあったのか、頭がスッキリした。

 金髪の男が感心したように言う。


「へぇ。耐えるやつもいるんだ? ルニー商会の女はズルだろうけどな」

「あんた、何者よ」

「おいおいメスガキ。オレは礼儀のなってないやつは嫌いなんだ。人間社会じゃまずは挨拶からってマナーがあるんじゃねぇのか?」

「いきなり攻撃してきて何言ってんのよ」

「ハッ、確かにそうだ。なら自己紹介でもすっかぁ」


 金髪は耳につけていたピアスを外した。

 その瞬間、そいつの肌の色や髪の色が変わっていく。肌は浅黒くなり、髪は白く、そして耳はエルフのように尖ったうえに牙が生えてきた。

 そいつが何なのか聞くまでもない。


「……魔族だったのね」

「サーヤ様、お気を付けを。おそらくそいつがベーランダー伯爵を唆していた男です」

「さんきゅ、フィーアさん」


 ってことはこの魔族がエルフの子たちの誘拐を計画した黒幕ってことか。

 ルルクが知ったら嬉々として倒しそうだ。


 言い当てられた魔族は忌々しそうにフィーアを睨み、続いてエルニネールを興味深そうに見つめる。サーヤのことなんて眼中になさそうだった。


「〝魔王の種〟かよ。ちと分が悪いが、ここなら勝てるか? だが付与術式が効いてないのはどういうこった?」

「独り言中悪いけど魔族さん、私がいることも忘れないでくれるかしら」


 サーヤは剣に聖属性を付与しておく。さっきの術式が状態異常付与の効果があるんだったら、たぶん種族スキルは闇属性付与だ。闇属性には聖魔術がよく効く。

 ルルクがいないあいだに油断して負けるなんて、死んでもイヤだ。

 最初から本気で構えたサーヤをようやく敵判定にしたのか、ギロリと睨んでくる魔族。


「んだよ、あぶねえもん使いやがって……対峙するってんなら覚悟はできてんだなメスガキ」

「それはこっちのセリフよ。いくわよエル――えっ」


 戦闘態勢に入ったサーヤの背後に、突然気配が生まれた。

 敵か――と思って振り返ったサーヤの目に飛び込んできたのはフラッツだった。

 その目は血走っていて剣を振りかぶっていた。


「死ねクソガキぃぃいい!」


 腐ってもSランク冒険者のパーティリーダーだ。

 そのステータスで不意を打たれたら、いくらサーヤといえども避けられるものではなかった。

 剣はサーヤの胸に一直線に向かってきて――


「『トルネード』」


 エルニネールが容赦なくフラッツを弾き飛ばした。

 フラッツはまるでトラックに衝突されたみたいに横へと吹き飛んで壁にぶつかった。片手と片足が曲がっちゃいけない方向に曲がって、血をまき散らせながら地面に落ちる。

 ……ちょっとやりすぎな気はしたけど、助かった。


「ありがとエルニネール」

「ん」


 なぜフラッツがサーヤを攻撃したのか疑問だが、おそらくさっきの魔術陣のせいだろう。


「ルルク様の近くにいるのはうちなんだからァ!」

「あふん。主様もっと~」

「ぐ~すぴ~」

「ラキララぁ! 愛してるぞぉ!」


 狂ったように煩悩全開の仲間たち。まあカルマーリキはいつも通りな気はするけど。

 兎に角、明らかな状態異常だ。

 

「フラッツさんを操ったのね。卑劣な術を使うわね」

「操る? ハッ、都合のいい頭だな? そいつらが操られているように見えるのか?」

「……じゃあ、なんでフラッツさんが私を攻撃するのよ」

「そりゃ、それがそいつの願望だからだ」


 魔族は倒れているフラッツを指さした。

 なんと手足が折れてもなおサーヤへの殺意を漏らして立ち上がり、ずるずると歩いてくる。


「オレはそいつらの願望を肥大化してやっただけだ。わざわざ操らなくても、こんだけ人数が多いと勝手に自滅してくれるからなぁ」

「クソガキ、殺スゥゥ」


 剣を携えて、まるでゾンビのような血まみれで近寄ってくるフラッツ。

 これが彼の本心? なんで私を殺したがるの?

 とっさに否定したかったけど、さっき自分の中で膨れた衝動を思い出してそれが本当だと内心でわかっていた。

 ならば。


「ごめんフラッツさん。深き眠りを『ホーリースリープ』」


 理由はどうあれ、重傷で動き回るのは悪化するだけだ。

 戦線離脱してしまうことにはなるが、回復させずに寝てもらっておいた。


「エルニネール、まずはみんなの動きを止めて。このままじゃ大惨事になる」


 すでにエルフの男たちが、何人かでカルマーリキを襲おうとしていた。カルマーリキは「初めてはルルク様にって決めてるんだ!」とボコボコに男たちを殴って蹴ってしているので事なきを得ている(?)が、それもいつまでもつかわからない。


「ん。『パラライズショック』」

「うっ」

「んぐ」

「あひぃ」


 エルニネールは、自分とサーヤ、プニスケ、フィーア以外の全員を麻痺させていた。ちなみにプニスケはサーヤがスゴ玉を食べさせたのでもとに戻った。

 それを見て嬉しそうに手を叩いたのは魔族だった。


「さすが魔王の種ってところか。こりゃサトゥルヌ様も勝てねぇかもなあ」

「……あんたたちもサトゥルヌの手先だったのね?」

「おっと口が滑っちまったか。ま、いまから死ぬメスガキに聞かれても問題はねぇけどな」

「誰が死ぬって? 私、そんな弱くないんだけど」

「そうかもしれねぇが、俺が殺すわけじゃねぇからな。なあそうだろ、ガキ共」


 魔族が指を弾く。

 すると奥の扉から、エルフの幼女が3人出てきた。

 彼女たちの瞳はどこか澱んでいる。


 助けるはずだったエルフの子たちだ。

 彼女たちはその手にナイフを握り、自らの喉に押し当てていた。


 魔族はニヤリと笑った。


「さあ、ゲームをしようか強者ども。このガキたちを助けに来たんだろ? 罪のない無垢な命を助けたけりゃあ貴様らで殺し合え。生き残ったやつとガキ共だけは助けてやる。そのくらいは、この中位魔族ゼンドゥが約束してやる」


 傲慢不遜にそう宣言した魔族。

 子どもを人質に取った、卑劣な言葉だった。

 

 

□ □ □ □ □


 

 自重せずに『相対転移』を繰り返して魔族領を移動していった。


 とはいえ道中の様子も探っておきたかったので、見晴らしのいい空は使わずに堅実に森を進んでいく。街道なんてものはないので視界は悪く、そこまでサクサク進めはしなかった。

 結局、ダンジョンから出て2日後になってようやく城が見えた。それでも予定よりは2日早い。


「あれが城か。思ってたより小さいね」

「そうですね……カタチは城ですけど、大きさは屋敷程度ですね」


 ガッカリしてないよ? ちょっと肩透かしなだけ。

 小山の頂上に立っているから周囲よりは目立っている。特徴としてはそれくらいだ。


「我が主よ、彼岸に我が必殺の滅びを撃ち込む合図を」

「待て待て。まだエルフの子がいるだろ助けた後にしなさい」

「あのねルルクくん、助けた後でも無駄に壊すのはよくないよ」

「そうだぞセオリー。めっ、だぞめっ」

「……変わり身早すぎでしょ」


 ちょっと青い顔をしたラキララがツッコむ。

 まだ治ってないのか。


「……よく平気ね。転移って気持ち悪くない?」

「慣れですよ慣れ」

「……嘘よ」

「あはは。慣れだよね。あたしももう慣れたし」


 メレスーロスも最初は吐きそうになってたからな。

 ラキララはまだ疑り深い視線を向けてきたけど、さすがに転移の利便性にまでケチをつけるようなことはしなかった。

 俺は不満そうなラキララにスゴ玉が詰められた瓶を差し出す。


「そんなにつらいなら飲みますか?」

「……それだけはいらない」

「良薬は口に苦しですよ」

「……臭し、の間違いでしょ」


 なんでそこまで拒否するんだろう。臭いけど効果は一級品なのに。

 まあ酔いにまで効くかはわからないけどな。どうせなら治験して欲しいんだけど。


「……それ飲むくらなら、ブラッディベアの唾液を浴びたほうがマシ」

「どんだけイヤなんですか」


 筋金入りの薬嫌いだな。


 そういえば前世でも幼馴染の弟が、ラキララみたいな薬嫌いだったな。

 彼は薬局で売ってる薬を包む甘いゼリーを使っても飲めなかったほどだった。幼馴染と協力して飲ませることに成功したけど、薬を飲ませるためだけに学校でリオデジャネイロのカーニバルみたいなことを開催したっけ。

 薬を飲ませるだけなのに、最後は学園祭規模になってたな……懐かしい。


 ラキララに薬を飲ませるためにも、同じようなことをすれば飲んでくれるのかもしれない。


「仕方ありませんね。ラキララさんがお薬を飲めるよう、冒険者ギルド総出で応援団を結成しましょう」

「恥ずかしいから絶対やめて」


 ピシャリと言われた。

 そんな風に話していると城が近づいてきた。そろそろ転移で屋根の上に登ろうかな――と思って俺が白の城を透視()た時だった。

 予想外の光景が視えた。


「っ! 皆さん、転移します!」

「うん」

「……わかった」

「ぎょ、御意」


 すぐに俺の体に触れる3人。

 俺は迷わず転移を実行し、その部屋に出た。


 そこは城の大広間だった。


 大広間と言ってもパーティができるほどの大きさではない。せいぜいムーテル家の食堂くらいの広さだ。

 テーブルや椅子はなく、床に召喚陣が直接掘られていた。

 すでに完成間近だったのか、召喚陣にどす黒い液体が流れていた。

 そんなことより、俺が慌てたのは召喚陣が完成間近だからじゃなかった。


 召喚陣のそばで、城の主であろう中位魔族が斬り殺されていたからだ。

 そして、その犯人はまだそこにいた。


「――何者です?」


 彼女は自分の身長より大きな太刀を片手に持った、小柄な魔族の少女だった。

 そいつは部屋に現れた俺たちに即座に気づき、血に濡れた太刀をこちらに向けていた。


「もしかして……人族、です?」


 戸惑っているのは向こうも同じだった。


 彼女は低身長だが子どもというわけではなく、簡易ステータスでは18歳。

 外見的な特徴は褐色の肌に尖った耳と、ダークエルフを彷彿とさせる魔族そのものだったが、俺はそれより気になったのはその少女があまりに濁った目をしていることだった。


 光を失い、まるで絶望した時のセオリーを彷彿とさせるような死んだ瞳をしていたのだ。


 俺はその少女を刺激しないように頷いておく。

 なんせ、彼女のそばに気を失っているエルフの子がいるからな。


「……ええ。俺は人族で、名前はルルクといいます。可憐なお嬢さん、そちらのお名前を伺っても?」

「やはりそうですか。ナギはナギというです」


 達観したように静かな言動。

 人族に興味があるようだが、敵対的とも友好的とも言えない視線だった。


「人族がなぜわざわざ魔族領に――この城に来たです?」

「俺たちはそこにいるエルフの子を助けるために来たんだ。できれば連れて帰りたいんだけど……」


 ナギの足元で死んでいる魔族とはどういう関係かわからないが、さすがに無償でエルフの子を解放してくれるなんてことは――


「かまわないです。子どもには興味もないですし」

「えっ、いいの?」

「はい。そちらの提案なのに、なぜ驚いているです?」


 だってねえ。

 まさか戦うつもりだった相手が殺されてて、その下手人が魔族で、さらにエルフの子をそのまま渡してくれるなんて思わないじゃないか。

 とはいえ良いと言うならありがたく返してもらおう。戦う必要もないことに感謝すべきだな。

 

 ナギに敵意がないことを確認したメレスーロスが、すぐにエルフの幼女を抱きかかえて戻って来た。


 よかった、気を失っているけど息はある。間に合ったようだ。

 昨夜にサーヤと通話したけど、あっちも今日中に最下層に着くだろうってことだった。それならあとは帰るだけだ。

 ほっと一息ついてから、じっと俺をみつめるナギに視線を戻す。


「……というかなんでナギさんはここに? なぜこの城の主を殺したんだ?」

「復讐です」


 シンプルに答えたナギ。

 

「ナギの兄様を死に追いやった相手に復讐するためです」

「そ、そうか……じゃあ、ここで復讐は達成できたってこと?」

「いえ、まだまだです。ここにいたのはあくまで手下の一人です。といってもナギの村を支配して傍若無人に振舞っていたので、ナギにとってはサトゥルヌと同じくらい憎い相手だったです」

「……え? 誰が憎いって?」


 一瞬、聞き間違えたのかと思った。

 ナギはハッキリともう一度言った。


「〝砂王〟サトゥルヌです。ナギは、あの卑劣な男を殺すために旅をしているです」


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