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神秘の子 ~数秘術からはじまる冒険奇譚~【書籍発売中!】  作者: 裏山おもて
第Ⅱ幕 【虚像の英雄】

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竜姫編・30『冒険者セオリー』

 

「うう、ひぐ、えっぐ……もうお嫁にいけない……」


 粘液まみれの全裸エルフが、泣きながら蛇に魔力を吸い取られていた。


 触手みたいな蛇がウネウネとカルマーリキの全身を撫でまわしている。唾液に溶かされた服の切れ端が、申し訳程度に大事な部分だけを覆っていた。


「何してんだよ」


 ついため息を漏らしてしまった。


 生まれて初めてエロ同人誌のお手本みたいな展開に遭遇したな。もはやエロいというより憐れだった。

 まあ、すぐそばにケンタウロスの死体があるので、なんとなく展開の想像はついた。がんばってBランク魔物倒したのに、そのあとEランク魔物に油断してマナドレインを食らって動けなくなったんだろう。

 やっぱカルマーリキってアホなのかな。


 とりあえずEランク魔物――オクトスネークを引きはがしてやる。マナドレインは俺には効かないので、毒も力もない蛇なんてただの大きなミミズみたいなもんだ。


「カルマーリキ、大丈夫か。もう蛇は取ったから動けるぞ」

「うぇぇん」


 オイコラ! 鼻水垂らしたまま抱き着こうとすんな!


 とっさに避けたので、そのまま地面に頭から突っ込んでいったカルマーリキ。ケツが丸見えだった。

 仕方ないので装備召喚でローブを出して羽織らせてやる。さすがに全裸のエルフを連れまわす趣味はないのでね。


「ううっ、ルルク様ありがとう……優しいね結婚して」

「断る。それで魔物を呼び出してるのはアレだよな。壊していいか?」

「うん。おねがい」


 地面に五芒星を描くように召喚陣が描かれてあった。

 話してるそばから魔物が出現していたので、とりあえず出てきた魔物を切り捨てながら近づく。


 召喚陣は杭と溝と液体で描かれているようで、少しヘドロのような臭いがした。鑑定したところこの杭は【魔鏡の柱】という魔術器だった。どんな術式で作動しているのかまでは分からない。


 この魔術器を抜くだけでも無効化できそうな気はするけど、禍々しいので直接触るのは気が引ける。

 回収しても使えるようなものじゃなさそうだし、壊してしまおう。


「『裂弾』」


 杭5つを同時に撃ち抜く。粉々に砕けた。

 どんな原理だったのかはわからないが、杭が消えると召喚陣を満たしていた黒い液体も消えた。魔物も出てこなくなったので、ひとまず正解だったようだ。


「ルルク様ありがと」


 カルマーリキはローブのボタンを閉じると、すぐに倒れているエルフの子に駆け寄っていた。ふわりと風でローブがはためいて、小さな尻が見える。


 不思議なもんで、さっきモロに見えてたときは全然エロく感じなかったのに、いまちらりと覗いた尻はエロかった。

 全裸より全裸ローブのほうがエロい謎は、異世界七不思議のひとつに認定しておこう。


 そんなどうでもいいことを考えている間に、カルマーリキがエルフの子にポーションを飲ませていた。かなり酷い扱いを受けたようで痣がたくさんできていた。意識を保てないほど衰弱している。


「これも使ってあげよう」

「ルルク様、これは?」

「ハイポーション」


 少しでも痛みが引けば、この子の夢見もマシになるだろう。

 抱えている幼女の外傷がそれなりに治ると、カルマーリキも安堵していた。


 カルマーリキが介護に精を出していたので、周囲の片づけは俺が代わりにやっておく。倒した魔物と壊した魔術器をアイテムボックスに収納していくだけなので、特に労力は使わない。

 しかしよくひとりでケンタウロスを倒したよな。


「ケンタウロス、里のみんなに見せてやろうぜ。自慢しよ自慢」

「驚いてくれるかな?」

「そりゃあソロでBランク魔物を倒したんだからな。よし、これで全部片付いたし驚かせに里に戻るか」

「あ、でもルルク様は先に戻っててよ。うちはこの子を連れて帰らないと――」

「はい着いた」

「えっ」


 問答無用の『空間転移』である。


 カルマーリキは俺と転移するのは2度目なので、別に説明もいらないだろう。前は短距離転移だったけど転移は転移なので。

 戻って来たのは中央殿のすぐそばだ。遠くから戦いの音が聞こえてくる。


「このまま防衛線のところまで行くぞ」

「……ルルク様」

「なに?」

「やっぱ結婚して」


 視線が熱い。

 さっきからグイグイくるけど、カルマーリキは適齢期真っ只中だから結婚に焦ってるのかもしれないな。ちゃんとした相手が見つかるよう祈っておこう。

 俺たちはすぐに最終防衛線になっている場所まで戻ってきた。


「ただいま戻りました~」

「ん、ルルクおかえり」

「おお、恩人殿とカルマーリキではないか。うん? その子はもしや」

「誘拐された子だよ。魔物の発生地点で倒れてたんだ」

「ふむ……」


 眉根を寄せた森長だったが、すぐに切り替える。


「ひとまず報告をしてもらえるか、カルマーリキ」

「うん。まずはうちが見つけたのは――」


 カルマーリキが報告をしているあいだに、俺はケンタウロスの死体と粉々になった【魔鏡の柱】を取り出して証拠として見せておく。さすがにカルマーリキの手柄を隠したりはしない。

 報告を受けたジュマンの森長は、低く唸りながら鋭い目つきを壊れた杭に向けていた。


「カルマーリキよ、よくやった。おぬしはしばらく休んでおれ。壊れた魔術器はこちらで調べておこう。その子も目が覚めるまでこっちで預かっておこう」

「いいの? 前線にまだ魔物がいるんじゃない?」

「うむ。だが増援がないのであれば残存兵力だけでも十分だろう。功労者を酷使するほど切羽詰まってはおらん」

「わかった。じゃあ守護部隊の駐屯所で休んでるから、何かあったら呼んでね。ルルク様も本当にありがとね!」


 カルマーリキは森長の指示に従って、素直にこの場から去って行った。


 格上の魔物と戦ったうえに魔力を相当吸い取られていたんだ。歩けるくらいまで回復したとはいえ、かなり疲れていたはずだ。意地でも自分から休みたいとは言わなさそうだったし、森長もそれはわかっていたみたいだった。



「恩人殿にも感謝いたす」

「いえいえ俺は何も。全部カルマーリキの手柄ですよ。それより攫われた子がひとり戻ってきてよかったです」


 エルフの子があそこにいた理由は予想できる。道案内役なのだろう。


 森の眷属は聖樹の方角がわかる。

 おそらく黒幕がエルフの子たちを集めた理由のひとつが、確実にエルフの里に辿り着くためだったんだろう。このエルフの子はおそらく、前回と今回の襲撃に利用されていた。衰弱しきっているのは単に身に受けた暴力だけじゃなく、数日間まともな食事もとらせてもらっていなかったからだろうな。


 当然、金髪の黒幕男はずっとバルギアにいただろうから、この子を連れまわして魔術器を設置したやつはまた別にいるはずだ。そいつが【魔鏡の柱】を管理していたんだろう。


 とはいえケンタウロスと一緒に魔樹の森に留まらなかった理由は謎だ。

 そいつも少なくともBランク魔物を従えられる実力者のはず。カルマーリキの姿を見つけて逃げたってことはないだろう。周囲にも隠れてなかったしな。


「では、これからも魔物の襲撃は続くと思うかね?」

「そうですね。魔術器がひとつとは限りませんし、警戒は必要かと」

「戦力の増強が必須のようだな。……やむを得ん、各地に散らばっている〝狩人〟たちに緊急帰還の指示を飛ばせ。早急にだ」

「はっ」


 森長はそうつぶやいて、近くにいた部下に指示を出していた。

 しばらくすると戦いの音がおさまってきた。エルフの里防衛戦は、無事にエルフ側の勝利に終わったらしい。


 敵の正体が不明なのは気味が悪いが、それも踏まえて森長は各部隊の隊長を呼び出し、その場で会議を始めてしまった。


 戦いが終わってさらに慌ただしくなってきたみたいなので、俺たちは帰ることにした。

 転移する直前、森長が頭を下げる。


「救世主殿、恩人殿、重ねて礼を言う」

「いえいえ今回は何もしてませんよ。また近いうちに訪れますね」

「うむ。歓迎しよう」


 俺はエルニを連れて、竜都へと戻った。


 宿では、サーヤとセオリーがカードゲームで遊んでいた。

 旅の途中で作ってみた【従魔大戦(テイマーバトル)】だ。その名の通り、プレイヤーはテイマーとなって色々な魔物を従えて対戦するカードゲーム。


 適当に自作したもので、雛形はもちろん現代のよくあるカードゲームだ。おかげでサーヤはすんなりと理解して気に入っていた。娯楽の少ない異世界で対戦系のゲームはいい刺激になるからな。


 ちなみにエルニは気に入らず、数回やってすぐに飽きていた。

 もっぱら俺とサーヤの遊び道具になっていたんだが……。


「うぅ、次は負けないもん」


 涙目で肩を落としつつも、カードの山をセッティングしているセオリーだった。

 俺とエルニが出かけてから2時間程度経っている。そのあいだずっと遊んでいたのか?


「あ、おかえりルルク。どうだった?」

「ネサーラインくんは無事に届けたぞ。ただ、また魔物の襲撃を受けてたから終わるまで待ってた」

「またなの? もしかして、例の黒幕の?」

「たぶんな。魔物だけで襲撃犯は見当たらなかったから詳しくはわからないけど、関係はあると思う。これから詳しく調査するみたいだし、しばらくしたらまた情報仕入れに行くよ。こっちはずっと【従魔大戦】してたのか?」

「セオリーが気に入っちゃってね。でもこの子、吃驚(びっくり)するほど運が悪くて勝負にならないのよね~」


 苦笑するサーヤだった。

 当のセオリーは初期手札を眺めて泣きそうになっている。横から見てみると、手札にモンスターカードが1枚もない。典型的なヒキの悪さを見せてくれるもんだ。

 しかも手札にあるサポートカードも、モンスターのステータス支援系ばかりで、罠も相手モンスターへのデバフ系もないというお手上げ状態だ。


 それでも戦いは無慈悲に進む。

 先手を取ったのにモンスターを召喚できなかったセオリーに対して、サーヤは手札からそれなりに強いモンスターを3体召喚。


「じゃ、全員で攻撃ね。セオリーの体力残り1800。それでターンエンドよ」

「わ、我のターン! 運命よ、我が手に強健なる従魔を集わせたまえ。ドロー…………た、ターンエンド……」


 うわぁ。

 よりにもよってフィールドカードを引いたな。全体を強化する重要なカードだが、自陣にモンスターがいなければ意味はない。ヒキ悪すぎだろ。

 もちろん兵士のいない陣営が勝てるはずもなく、始まってすぐに負けたセオリーだった。


「わ、我が同胞よ。再戦の狼煙を――」

「今日はもう終わりよ。ルルクたちも帰って来たしね」

「……はい」


 しょぼんとしたセオリーだった。

 全敗した可哀想な竜姫が片付けをしているのを眺めていると、サーヤがテーブルに並べていた装備品を指さす。


「今日はどうするの? 一応、遊びながら武器とか道具の手入れはしておいたわ。もしダンジョンに出かけるならライトの魔術器を新調してからでいい? 魔石が擦り切れててそろそろ寿命みたいなの」


 有能なパーティメンバーだな。

 

「セオリー次第だな。なあセオリー、おまえはどうしたい?」

「……我?」


 キョトンとしたセオリーだった。

 俺は指を3本立てる。


「セオリーも仲間になれとは言ったけど、何も冒険者になれとは言ってないからな。そもそも冒険者は命を懸ける職業だし、なりたくないのになるのは違うと思うしな。俺としては、セオリーには3つの選択肢があると思ってる」

「みっつ?」

「ああ。ひとつめは、俺たちと一緒に冒険者になって活動する。それ相応の危険は伴うけど、自分も強くなれる道だ。ふたつめは竜種の聖地とやらに戻ること。人間が信じられなくなったのなら、それが一番安全な選択だと思う。みっつめは、またどこかの貴族の家で面倒を見てもらうことだな。竜姫なんだからまた楽しい生活が待ってるだろうし、冤罪も晴れたから文句を言うやつはいないだろう。もし離れても、俺たちの仲間ってことには変わりないけど……どうする?」

「ふっ、愚問なり。我は主の右腕、離れることは元より叶わぬ」


 即答だった。


「いいのか? 聖地は安全だろうし、貴族と一緒だと遊んで暮らせるぞ?」

「混沌より生まれし我が素体に安寧は苦痛であり、愚昧なるニンゲンの魂は我が精神を鈍らせる。我が主の傍でのみ、我は闇の力を十全に発揮できるというもの……」

「聖地は退屈で、人間は怖いんだな。わかったわかった」


 香ばしいポーズをキメてカッコつけてはいるが、要は俺たちと一緒にいたいってことか。

 残念系とはいえ美少女に慕われるのは素直に嬉しいが……この場合は喜んでいいものか。昔のリリスを思い出すな。


 まあ、こうなる覚悟の上で助けたんだ。

 セオリーが自分で選んだのならそれを尊重するまでのこと。


「わかった。じゃあ今日は冒険者ギルドに行ってセオリーを登録しよう。しばらくはサーヤとセオリーにはクエストを受けてもらって、ふたりのランク昇格を目指して活動しよっか」

「「「『はーい(なの~)』」」」


 号令すると、メンバーたちはすぐに準備にとりかかった。

 とはいっても装備を身につけたりするだけなので、1分もかからない。


「そういえばセオリーは防具や武器は使う? 必要なら買うぞ」

「ふっ、我が鱗は鎧、我が爪は剣。強靭な肉体こそ至高の種族としての本懐なり」

「あれ? 昨日は竜に戻れなくなってたけど、もう大丈夫なのか?」

「わ、我が力の波動は必要とあらば覚醒する……たぶん」


 たぶんて。


 不安しかないけど、まあ人状態でもステータスはそれなりにあるから、雑魚モンスターに負けることはない……と思いたい。数字どおりの実力を発揮できたら大丈夫なはず。


 でもそういえばヴェルガナが昔言ってたな。「ステータスで勝負が決まるなら苦労はしない」って。

 うーん、やっぱ不安だ。


「サーヤ、フォロー頼むぞ」

「まかせて。大変そうだけど頑張るわ」


 そんなやりとりをしつつ、俺たちは宿を出発した。

 受付にいたテッサに、宿泊人数が増えたことを報告しておく。追加料金を払おうとしたが、ここは部屋ごとの料金だから人数は関係ないんだとか。


 ちなみにテッサは顔を見ても竜姫だと気づかなかった。

 昨日の馬車での行進(パレード)を見に行ってなかったし、いままで竜姫を見たことはないようだ。

 ずっと貴族の屋敷に逗留していたみたいだし、これなら冒険者ギルドに連れて行っても騒ぎにはならないかもしれない。


 そう楽観視して、近くの冒険者ギルドに向かった俺たち。

 しかし、俺の予想は別の意味で裏切られることになった。






「それでは冒険者登録を行いますね。お名前と、登録のためにこちらに血をお願いします」

「我はシャドウ=ダークネス! 蒙昧なるニンゲンよ、我が生き血を欲するとはなんと強欲なことか! 赤き呪いが伝播する前に、その不敬な道具を下げるがよい!」

「おいセオリー、偽名はダメだし血は登録に必要だから針をビビるな。ほら、一瞬刺すだけだから大丈夫だ」

「ひえぇ」


 指先に針を刺すだけでビビる冒険者志望ってどうよ?


 腰が引ける中二病少女を俺が後ろから押さえて、その隙に受付嬢が針をチクッとやっていた。ナイスコンビネーション。


「痛いよあるじぃ」

「それくらい我慢しろ。すみません、認証と登録お願いします」

「はい。お名前はセオリーさんですね。確認しますので少々お待ちください」


 カウンターの向こうで手元の神秘術器を操作する受付嬢。

 バルギアのギルド本部は広くて、受付嬢も3人いる。お国柄、クエストが少ないからあまり賑わってはいないけど、施設はべらぼうに大きい。ちなみに一番好みのタイプの受付嬢を選んだ。


「それにしても、なんか雰囲気がピリピリしてませんか?」


 あまり人はいないが、職員も冒険者もちょっと雰囲気が変だった。

 みんなそれとなく周囲を警戒しているし、クエストボードを睨んでいる人も多い。

 俺の気のせいかもしれないと思ったけど、受付嬢は苦笑しながら頷いた。


「それは仕方ありません。この1年で成り上がった商家貴族の方が捕まって、失脚してしまいましたし」

「……そうだったんですか。それをどこで?」

「ああ、【王の未来(ロズウェル)】の皆さんはまだ知らなかったんですね。ここバルギアでは各ギルドの掲示板に、重要なお知らせが貼り出されるんですよ。情報屋ギルドのお仕事のひとつです」

「そうだったんですね。でも、貴族が捕まったくらいで反応しすぎでは?」

「ただの貴族であればそうです。でも、あの竜姫様を保護していた貴族ですからね。しかもその竜姫様の名を騙り、あまつさえ命を狙ったということで暴動も起こりましたし、何より当の竜姫様が行方不明みたいですから。雰囲気が妙なのは、竜姫様になにかあれば最悪、竜王様の手で国が滅びますので……」


 なるほど、だから緊張したような暗い雰囲気なのか。

 そうだよな。竜姫に手を出したとあれば竜王様が黙っていないよな。可愛い娘だもん、そりゃそうだよな……くそう早く隷属紋を消さなければ間違いなく俺が死ぬ。


「ソ、ソウダッタンデスネー」


 人生で一番の棒読みになってしまった。

 受付嬢は苦笑しつつ新しい冒険者カードを取り出した。


「まあ、私たちにはどうしようもないことですから。それではセオリーさん、登録も無事にできましたのでこちらで認証登録を行い…………え?」


 受付嬢が出来上がったばかりの冒険者カードを見て硬直していた。


「あの、どうしたんですか?」


 俺が話しかけても、微動だにせず固まったままの受付嬢。

 その時はまだ、俺は知らなかったのだ。


 冒険者カードに手動で登録するのは、個人とパーティ名、それとランクだけだと言うことを。


 では血はなんのために採取する?

 それは個人の認証のためだ。つまり、血液からわかる情報は神秘術器が勝手に読み取って表記しているということで。


 当然、そこには種族も含まれていた。



【 名前:セオリー

  種族:竜種・真祖 】



「ええええええええっ!?」

  

 受付嬢の絶叫が、冒険者ギルド中に響き渡ったのだった。

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