竜姫編・15『いざエルフの里へ』
メレスーロスの爆弾発言から半日後の深夜。
俺は第1中央区の端にひとりで来ていた。
目的はセオリーに会うことだ。理由は、明日からエルフの森へと旅立つから。
もしセオリーを陥れる策謀があったとしても、屋敷で過ごしているうちは直接手出しすることはないだろう。わざわざダンジョンの罠を使ったのは、どう考えてもセオリーの背後にいる竜王を恐れてのことだろうし。
まあ、どっちにせよ竜王が怒り狂って暴れたら竜都ごと滅ぶだろうけどさ。
兎に角、リアルタイムで感覚をリンクできる俺はあまり心配していなかったが、サーヤは違った。
せっかくできた友達を案じたサーヤは、万が一俺の助けが間に合わなかった場合の備えをして欲しいと俺に頼んできたのだ。
本気で心配してるようだったので、俺ももちろん快諾した。
というわけで、半日かけて作ったのがコチラ。キュア&ハイポーション&聖水入りの丸薬です。じゃじゃん。
もし毒を盛られたり、背中を刺されたりしてもこいつがあればあら不思議。無傷で復活パンパカパーン! なのだ。
液体類を丸薬にするのは『錬成』スキルがあればなんのそのだった。
そもそも『錬成』は、置換法中級スキル群の『凝固』『気化』『液化』『融解』『昇華』のスキルが統合された状態変化系の上級スキルだからな。
それより、なるべく小さな丸薬で効果を維持する配分率を求めるほうが難しかった。3種類の薬剤を混ぜたので、そのままだったら握り拳大の丸薬を丸呑みにしないといけなかったからな。
その結果、完成品ができるまで半日かかった。
「ま、薬のステータスが目視できる時点でズルい気はするけど……」
治験なしで性能確認できるからな。
結果、指先より小さなサイズの黒い丸薬ができた。けっこう匂うが効果は抜群。まるで〇露丸だ。
というかコレ売り出したら、軽くひと財産稼げるのでは?
そんな面倒なことはする気ないけど。
とにかくこのスゴイ丸薬……そうだな、〝スゴ玉〟と名付けよう。スゴ玉をセオリーに渡したらミッションコンプリートだ。名付けセンスのことは言うなよ。自覚している。
「さてと、セオリーは……っと」
俺が立っていたのは、第1中央区の東端にある屋敷の屋根の上だった。
他の区画と同じく2階建ての屋敷しか周囲にないけど、さすがに建物の規模は大きい。
というか第1中央区はデカい屋敷しかない。
おそらく国家を運営している中心貴族たちの家なんだろう。ちなみにバルギア竜公国には人間の王がいないため、他の国のように城みたいなものはない。貴族たちの家よりかなり小さい国会議事堂みたいな場所で集まって、施政管理をしているらしい。
とはいえ竜都の第一中央区の噴水広場にはちゃんとバルギアのシンボルがある。
いうまでもなく竜王の銅像だ。
巨大な竜が翼を広げて天に吠えている像だ。じつに威風堂々とした佇まいである。
こここそ観光スポットになりそうだったが、残念ながら第1~3の中央区は一般人立ち入り禁止だ。厳重な壁と門、それに警備の兵士の数もハンパない。
俺には卑怯な移動法があるから、侵入は容易だったけどな。
そうやって転移で降り立ったのは目的地の真上――セオリーが滞在中の貴族の屋敷の屋上だった。座標的にはちょうどセオリーの頭上の屋根に立っている。
さっそく透視スキルを発動。
当のセオリーは、ベッドにうつぶせになって本を読んでいた。タイトルは【魔術士テルーと魔眼の王】……いかにも中二病が好きそうな英雄譚だ。ムーテル家にもあったベストセラーだから、もちろん俺も既読済だ。
ぐるりと屋敷内を透視してみると、夜警の兵士以外はほとんど眠りについていた。
「『相対転移』っと」
とりあえず、真下――セオリーのベッド上に転移した。
うつぶせのセオリーをまたぐように降臨する俺。
ギシッとベッドが軋んだ。
「えっ……キャ」
「しーっ」
叫びそうになったセオリーの口を手で押さえて、黙らせる。
突然現れ、ラフな寝間着姿の少女を押さえつける粗野な少年。自分で言っててなんだけど、ヤバい絵面だな。
「ん~~っ!」
「静かにしろって。俺だよ俺。ご覧のとおり怪しい者ではありません」
とりあえず命令して黙らせた。セオリーは涙目になりながらパクパク口を動かしている。
何か言いたそうにしてるけど、まあいいか。
「でもアレだな……眼帯も包帯もなかったら、おまえ結構な美少女だな」
「っ!?」
中二病ファッションの弊害。
服が特徴的すぎて顔の造形にあまり意識が向かない件について。
セオリーは普通の恰好をしていたら、かなり整った容姿だった。年相応の幼さと大人になりつつある美しさが、全体のなかでバランスよく同居している。そういえば姫様だもんな。納得だ。
見た目を褒められるのが珍しいのか微かに頬を染めたセオリーだったが、ハッと状況を思い出して胸をかばうように両手でガード。
いやいや。
「別に夜這いに来たんじゃないから」
「……っ! っ!」
「あ、そうか。喋れないのか。いいぞ喋って」
「わ、我はシャドウ! 大王の卑劣な侵冦など恐れるに足らず! 我が肢体、いくら悪の大王に弄ばれようとも心は決して……屈したり……ほ、ほんとに? 襲ったりしない?」
涙目で上目遣いだと……!?
前世だったら「あざといな」とか思ってたけど、実際に美少女にされたらわかる。破壊力ハンパないって。
……現在、深夜のベッド。
目の前には絶賛隷属中の言いなり美少女。
はだけた寝間着から覗く白い肌……。
耳元で囁く悪魔の甘言に身を許しそうになる――が、次の瞬間天使が冷水をバケツで浴びせてきた。
頭スッキリ。
「ふぅ。先輩が間に合ってくれたぜ」
「???」
危機一髪だった。おもに俺の人生の。
俺が小芝居していると、セオリーが座りながらまた香ばしいポーズを取った。
「だ、大王よ。我が箱庭に如何様であるか」
「そうそう、ちょっと俺たちエルフの里まで出かけてくるからさ。サーヤがセオリーのこと心配してたし、渡しものしに来たんだよ」
「えっ。遠くにいっちゃうの……?」
「ああ。でも心配しなくていいから。いつでも戻って来れるし」
不安な表情を見せたセオリーに、諭すように言う俺。
だってこの部屋に『楔』を設置したからな。いつでもどこからでも転移可能だ。言っとくがもはや貴様にプライバシーはない。
「ここに来たのも、コレを念のために渡すだけだから。この丸薬、状態異常を治して体力もほぼ回復するから、何かあったら飲んで欲しいんだが……」
いや、待てよ。
こいつの服、フリルだらけだけどポケットとかないよな。
どうやって常備させよう。
少し考えた俺だったが、名案を思い付いた。
「……なあ、セオリー」
「な、何用か我が主」
「スパイになってみる気はないか?」
「その気配、影の一族の呼び名と見受けるがいかに」
「まあそうだな。闇に潜む影の専門職。その名もスパイだ」
「ふっ……なれば愚問。我が魂は影より生まれし残響。すでに縁は結ばれた!」
乗り気なセオリーだった。
なら、遠慮することはないよね?
俺はニヤリと笑った。
「んっ」
艶めかしい吐息が、セオリーの口から漏れる。
「もっと口開け。噛むなよ。舌どけろ、奥まで入らんだろ」
「んん……あっ、んっ」
暖かく、柔らかにぬめる舌が、口内で俺の肌を撫でる。
上を向いて喘ぐセオリーの目は半開きで、息は荒く頬が上気している。集中してなければ俺の理性は弾け飛んでいたことだろう。
口に深く突っ込まれたのは初めてなのか、幾度も歯を立ててくる。痛くはないので放置してもいいが、奥が見えにくい。片手でセオリーの額を上に向けると、唇の隙間から唾液が垂れてきて、つぅっとシーツを濡らす。
もうちょっと奥だな……このくらいか?
「んんっ」
奥に当たった瞬間、かすかにえずいたセオリー。
「じっとしてろよ……よし、これでよし」
俺はセオリーの奥歯から指を引き抜いて、ひと息ついた。
そう、奥歯である。
スパイと言えば奥歯。奥歯と言えばスパイ。
奥歯に仕込んだカプセルを噛むのは、スパイの定番だよね。
「どうだセオリー。緊急時に噛んで飲み込めそうか?」
「……我が主」
「なんだ」
「秘薬はすでに我が胃が迎えた」
なん、だと……。
緊急時どころか十秒も経ってねぇよ。
「もう一回、口開けて」
「んっ」
さっきから気分は歯医者なんだよなぁ。
奥歯に差し込んだはずの丸薬はなくなっている。まあ常識的に考えて、奥歯に薬仕込むとかムリだろ。寝てるうちに噛んだらどうすんだって感じだしな。所詮はフィクションってことか……。
「……ごめんなさい」
「いや、セオリーのせいじゃないけどさ」
まあ、俺も悪ノリしただけなので本気だったかと問われたら、うーん。
しゃーない。
「とりあえず、コレ渡しとく」
俺はセオリーの首にネックレスをかけた。
「えっ、コレ……」
「アイテムボックスだ。誰にもバレるなよ。風呂にも着けて入ってくれ」
もちろん我らが冒険者パーティ【王の未来】の備品である。
一応、セオリーは俺の眷属だからな。必要があったら渡すのに躊躇いはない。それにあと10個くらい持ってるし。
「〝スゴ玉〟は全部中に入れとけ。すぐ服用できるように、袋から出した状態でな。魔術器だから使えるよな?」
「は、はい」
さすがにアイテムボックスの価値を知ってるからか、指先が震えてる。
「あげるわけじゃないからな。隷属解除できたら返してもらうから失くすなよ。失くしたら弁償だから」
「わ、わかった」
「ってことで渡したからな。用も済んだし俺は帰る」
特にやり残したこともないし、さっさと帰って寝よう。
俺が転移しようとしたら最後にセオリーは香ばしいポーズをキメていた。
「我が主、安寧あらんことを……」
お、なかなか語呂がいい挨拶だな。
俺も使っておこう。
「じゃあな我が眷属。安寧あらんことを」
胸元のアイテムボックスを再度見つめて複雑な表情をしたセオリーを横目に、俺は転移で宿屋に戻った。
というわけでいざエルフの里へ向かった俺たち。
竜都フォースを出て、北を目指すことすでに5日。
道すがら、魔物が多く出没する場所ではプニスケとサーヤのレベリングをしつつ、魔術の練習もしておく。
サーヤは火、水、風、光魔術を中級まで習得しており、詠唱もかなり速くなってきた。
おかげで魔物の殲滅はかなり効率がよくなり、短時間で戦闘を終えるようになっている。レベルは15になってからしばらく止まったままだけど、加算ステータスだけでもすでに化け物レベルだ。
試しに本気で走ったサーヤを見て、メレスーロスが唖然としていたからな。もはやSランク冒険者並みの身体機能がある。
プニスケは箸を持てるようになった。メレスーロスも好奇心から箸を練習していたけど、残念ながら諦めたようだった。
それとプニスケのレベルが50を突破した。すると種族欄に【種族:スライム(条件進化待機)】と出てきた。初めて見る文面だったが、スライムは特定の条件を達成すると進化するらしいことがわかった。
何をすればいいんだろうな。というか、何に進化できるんだ?
「プニスケはどんな風に進化したい?」
『ご主人様のやくにたちたいなの!』
我が子が健気で可愛すぎる。
まあ希望がないなら自然に任せるままでいいか。どうなってもプニスケは大事な従魔だ。
とまあ、そんなことをしながら北上しているとそれまで疎らだった木々の向こうに緑色の巨壁が見えてきた。
そう、巨大な木の壁である。
「あれがルネーラ大森林ですか?」
「そうだよ。1本が300メートルを超える魔樹でできた、天然の要塞だね」
そう、あまりにデカい森なのだ。
例えるなら、緑色の東京タワーが数百キロ以上にもわたって無数に乱立していると言えばいいだろうか。
こんなもん異世界でしか見られない光景だ。圧巻だな。
「魔樹は魔素をかき乱していて、体外に効果がある魔術を無効化しているのと、幻覚効果も生むから森の眷属じゃないと真っすぐ進めないんだ。くれぐれもあたしから離れないようにね」
「「はーい」」
「ん……まけない」
俺とサーヤは元気よく返事をして、エルニは森に闘志ある視線を向けている。
うちの脳筋羊娘は、どうやら魔術無効化と聞いてやる気に火がついたらしい。あとで思う存分試していいから、いまは大人しくしててくれ。もし無効化されてイラついても、本当に火をつけて燃やすなよ。
「でもまあ、ルルクくんなら平気だよ」
「どうしてです?」
「魔樹は、あたしたちの体内の魔力をかき乱すことで方向感覚や五感を狂わせたりするんだよ。そういう魔術を放ってるわけじゃない。だからだね」
「ああ、なるほど」
俺は珍しい魔素欠乏症だから、魔樹の幻覚効果は受けないってことか。
「でもあの巨大な森を真っすぐ進むって、そもそも幻覚関係なく難しい気がしますけど」
「確かにね。前にも言ったけど、大森林を安全に越えられるのはあたしたち聖樹の加護がある森の眷属か、そもそも魔力が乱れない体質の竜種くらいだね。でも最近、魔族が何体か越えてマタイサ王国に行ったらしいんだけど……どうやったんだろ」
「スキルですよ。影を使ってワープするスキルです」
「え? 知ってたの?」
そういえば影の上位魔族スカトの話はしてなかったな。
シャブームの街では周知の事実だったし、魔族討伐に関しては隠すものでもないから言っておこう。
俺がシャブームの街であったことをざっくり話すと、メレスーロスは苦笑していた。
「そっか……ルルクくんたち、本当に只者じゃないんだね」
「生き残れたのは運が良かったからです」
「それでもすごいよ。しかも上位魔族だなんて……」
ぶるり、と身を震わせたメレスーロス。
そういえば、エルフの伝承で魔族は子どもを食べるって言われてるんだっけ。
「あ、そうだ。前に聞き忘れてたんですけど、メレスーロスさんは『解呪』ってスキルは聞いた事ありますか?」
「ううん……なんだか聞いたことがある気がするなぁ。どこでだったっけ」
メレスーロスは額を押さえて唸った。
従魔士の英雄譚にしか出てこないなら、単に噂程度なんだけど……でもエルフはヒト種のなかで最も魔族領に近い場所に住んでいる。エルフの伝承に出てくるなら、信憑性も増すんだけど。
「……ダメだ。出てこない。思い出したら言うよ」
「お願いします」
そうこう話しながら転移を繰り返しているうちに、ルネーラ大森林の入り口までたどり着いた。
バルギア竜公国の領土を示す万里の壁が、ほんとうにちっぽけに見えるほどの巨大な樹木がそびえたっている。左右見渡す限りずっと、だ。
関所は小さく、暇そうな兵士が俺たちを見て怪訝な表情を浮かべたが、先頭にいるのがエルフだと気づくと興味を失くしたみたいだった。
通行料を払って門を通り抜けると、すぐに木の幹が視界を塞ぐ。森はかすかに霧がかかっていて、奥までは見通せない。そもそも太陽の光が木々に遮られておりかなり暗かった。
どんよりとした雰囲気だ。
「じゃ、入るからね。ちゃんとついてきてよ」
メレスーロスがルネーラ大森林に一歩踏み出した。
俺たちも遅れないよう、すぐに後に続いた。
「って、あれ? エルニネールは?」
森に入ってすぐにサーヤが後ろを振り返りながら言った。
そこには誰もおらず、くぐったばかりの関所の門が見えるだけ。
さっきまでいたはずのエルニと、エルニが抱えていたプニスケの姿が忽然と消えていたのだった。
~あとがきTips 【魔術士テルーと魔眼の王】~
〇【魔術士テルーと魔眼の王】の概要
上下巻からなる、約50年前にマグー帝国で出版された娯楽小説。
各国で重版されまたたくまに大ヒットとなったベストセラー。幼い天才少年と、その姉を自称する魔眼使い、そして彼らの師との絆と確執の物語。
〇あらすじ
舞台は架空の未来国家『リッケルレンス王国』。魔術をカード型魔術器にする技術が確立されたことにより、手軽に誰でも属性の関係なく魔術が使えるようになって500年以上が経過した時代。
ただしかし、人間たちは長年魔術器に頼り続けた弊害により、体ひとつで魔術の詠唱・発動ができる者がいなくなったため、魔術士という役職は消えていた。
そんな時代の名もない村の平凡な農民の家に、ひとりの少年が生まれた。
名をフルスロットル=テルー。彼は聡明すぎる頭脳を持ち、4歳にして失われた言語魔術を復活させて使いこなしていた。
強すぎる力を持った少年は村人たちから恐れられ、避けられていた。それは彼の両親も同じだった。次々と規格外の魔術を作り出す彼はひとり孤独を抱え、魔術に没頭することで気を紛らわせていた。
そんなある日、村に慰安に訪れた病弱な旅人が、彼の魔術を見て言った。
「魔術理論だけじゃなく、理術理論も加えてみたらどうだい? 基礎構成が安定するよ」
魔術を理術により補完するという発想がなかった少年は、その言葉に天啓を得るようになる。それ以降、少年は村に滞在する旅人のもとに頻繁に訪れるようになり、ふたりは仲良くなった。
数か月後、旅人は再び旅することになった。少年は旅人の体調を案じ、ついていくことに決めた。その旅人が、家出した第一王子であったことを出発してから知ることになる。
少年と王子は旅をした。
多くの村を訪れ、人助けや冒険をし、王子の病気に効きそうな薬を探して回った。
そうして絆を深めていくなか、大陸最北端の雪国にいる少女の噂を聞く。なんでもあらゆる魔眼獣を支配し、能力を取り込むことができる特異体質であるがゆえに、その力を暴走させてしまう危険な少女だという話だった。
少年と王子は雪国を訪れ、魔眼使いの少女に会う。誰も制御できなかった魔眼獣の力を、少年はあっというまにねじ伏せてしまった。
少女は魔眼を制御する力をつけるため、少年と旅人と一緒に村を出ていくことになった。
それから3人はそれぞれの目的のため、様々な国を巡って旅を続けていく。
王子は病を治すため。
少年は魔術を極めるため。
少女は魔眼を制御するため。
やがて王子の病に効くという伝説の薬の噂を聞きつけ、大陸の西端にあるという国を訪れることになった。しかしそこにあったのは希望に彩られた欺瞞と絶望。そして抗えぬ死であった。
目的地にたどり着いたときには病が悪化し、王子は体を動かせないほど衰弱していた。少女は魔眼の暴走により数日内に死ぬ状態になってしまった。
薬は手に入れた少年だったが、王子と少女、どちらかしか救えないという選択肢を迫られる。
あらゆる困難を魔術ひとつで乗り切ってきた天才少年の、生まれて初めての苦悩と葛藤。
果たして少年が選んだ未来とは――
〇続編に関する情報
大ヒットした【魔術士テルーと魔眼の王】だが、続編が出ていたことはあまり知られていない。
初版は35年前。タイトルは【魔術士テルーと落ちこぼれの弟子】。
あらすじは、10歳になったテルーが歴史教師に就職し、年上の生徒たちを相手に学校で生活していく話。記憶喪失で転入してきた平凡な少年が、上か下に転移・移動する魔術器しか使えないという圧倒的な落ちこぼれだった。
そんな落ちこぼれを弟子にして、彼を育てたり国家間のトラブルを解決していくテルー。やがて落ちこぼれの弟子は、師であるテルーを超える才覚を見せるようになる……。
ただこの続編はあまり売れることなく、マグー帝国内でしか買うことはできなかった。現在は絶版。ただし現在も重版中のベストセラーの続編なので、マグー帝国内の帝国図書館では自由に閲覧できる。




