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カノーネンフォーゲル eins  作者: 田鶴瑞穂
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エンゲル・リングストン①

 その後、魔女狩り部隊に邪魔はされるものの、戦闘機隊の支援の御陰で地上攻撃隊は順調に法皇国の陸上戦力を葬り続ける事ができた。七月には、シャルロッテの出撃回数は一千五百回を超え、戦車撃破数は四千輌を突破していた。そのことが評価され、シャルロッテに銀瑞宝章が授与されると言うニュースが飛び込んできた。

 そのニュースを聞いたシャルロッテは、空軍省に電話を掛けて何やら話し込んでいた。やがて受話器を置くと、マリーの方に向き直って言った。

 「マリー、首都ベルイーズの大統領官邸まで、受賞のために出向くことになったわ。貴女も出撃回数が一千回を突破した功績を称えて黒瑞宝章を授与されるよう推薦したから、私と一緒に来て。」

 「えぇっ・・・いや、そんな・・・私なんかに黒瑞宝章だなんて・・・。」

 意外な申し出に、マリーは慌てふためいた。

 「私の功績は、貴女あってのことなんだから当然よ。」

 マリーとは異なり、堂々と胸を張ってそう言い切るシャルロッテの態度を見ているうちに、マリーは落ち着きを取り戻した。

 「とにかくお供はするわ。宜しくね。」

                ☆

 マリーと共に大統領官邸に出向いたシャルロッテは、到着するなり空軍高官にマリーの受勲に関して申し立てを行った。

 「私からの推薦が空軍司令部に届いているはずです。なにとぞ、ヘンシェル少尉に対しご配慮をお願いいたします。」

 「推薦のことは承知していないが、その処置に関しては私自身も同意するし、考慮しよう。もちろん大統領のお耳に入るように手配する。」

 高官は、快く彼女の申し立てを受け入れ、すぐに大統領にもその旨を報告してくれた。

 「黒瑞宝章受賞者を一人追加する?シャルロッテ大尉の推薦なの?ならいいわよ。一緒に連れてらっしゃいな。」

 シャルロッテをいたくお気に入りのクヴェックズィルバー大統領は、彼女の推薦と言うことで簡単に許可を出してくれた。こうして、マリーは無事に黒瑞宝章を叙勲されることになった。

 叙勲式の後、シャルロッテを含む高位勲章受賞者達を、クヴェックズィルバーは書斎に招いてお茶を振舞った。

 「改めて、銀瑞宝章受賞おめでとう、ユンググラース大尉。ささ、お茶もお菓子もあるからどうか寛いでいってね?」

 「は、はぁ・・・有り難うございます。」

 緊張で硬くなっているシャルロッテは、思わず拍子の抜けた返事をしてしまったが、上機嫌のクヴェックズィルバーは気にしなかった。その後、彼女は受賞者達に対して過去の作戦と、そこから得た教訓に関して演説した。その的確な分析に、シャルロッテは改めて大統領に深い尊敬の念を抱いたのだった。


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