54. オレが保証する。
「じゃあ、今日はどこ行く?」
授業を終えた僕と里見は、予備校を出て駅に向かって歩く。
「そやなあ。昨日は、美術館に行ったし、その前はプラネタリウムも行ったしな」
僕は迷う。
「博物館は?」
里見が提案する。
「行く!」
ポケットの中から、元気よく返事が聞こえる。
スマホで調べると、歩いて行けそうだったので、そのまま歩いて行くことにする。
冬の冷たい風が吹く中で、周りに歩いている人はそう多くはない。
歩きながら、里見が残念そうに言う。
「ほんまはな、福井の恐竜博物館とか行きたいところやけど。さすがに、ここから福井は遠いからな」
そして続ける。
「オレさ、福井大学の恐竜学部に行きたいねん」
「え、そうなん?」
「うん。恐竜のこと勉強できるってめっちゃ面白そうやし、恐竜学部って名前やけど、そこを入り口に自然科学全般、勉強できそうやから。発掘調査もやりたいし」
里見の声が熱を帯びる。
「そうなんや。でも、人気ありそうやな。倍率高いんちゃう?」
「そうやねん。なんか、前に7倍やったとか聞いた」
里見が少し眉をひそめる。
「ひえ~。それすごいな……」
すると、もちまるが、ポケットから顔を出して、
「倍率なんか、関係ない。おまえがしっかり勉強すればええだけのことやないか」
「まあ、そやねんけどさ」
「大丈夫や。オレが保証する」
もちまるが自信満々に胸をたたく。
「ほんま? もちまるの御利益で、オレ受かるかな?」
期待を込めた里見の目がキラキラする。
「ちゃう。オレが保証するんは、おまえならがんばれる、いうことだけや。第一、オレ、神様ちゃうから、御利益、期待されてもなぁ……」
もちまるが笑う。
「はは。そやな。それに、神様でも願いごとしたかて、全部叶えてくれるわけちゃうしな」
里見も笑う。
「まあ、何にしても、自分でやるしかないってことやな」
僕がそう言ったとき、ちょうど博物館の建物が見えてきた。
広い公園の中に、その自然史博物館はある。
恐竜の化石や骨格標本、その他いろいろ自然科学関係の展示があって面白いという。
「ようし、行っくで~」
「おう~」
2人の勢いに引きずられるようにして、僕も里見のあとに続いた。




