表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

全ての人が許されている浮気

作者: 伽藍 瑠為

全ての人が許されている浮気







私は彼を良く知らないまま同居生活が始まった。

最初は戸惑いもあったし、恐怖もある。

でも彼は私を良く知っていた。

私が気持ちよくなれる場所も、私が大好きな物も。

彼が作る料理は人生で経験した事がないほど美味し、誕生日にはケーキも買ってくれた。

彼と数日過ごし始めて彼の事が大好きに変わり、彼との同居生活は毎日が幸せ。

イチャイチャしたり、キュンキュンしたり、相思相愛を実感できる。


しかし、そんなある日の事。


彼が突然帰って来なかった。

私は心配で喉にご飯も通らず、夜も眠れなかった。

何か事故や生死を分ける状態になっているのではと心配になり、嘔吐を繰り返した。

しかし朝方になり、彼は何食わぬ顔で帰ってきた。

そして、私はその時気づいた。




彼は浮気をしている。





家に帰って来ても携帯とずっとにらめっこ。

電話もたえず、恐らく相手は女だとわかる。

毎日帰りも遅く、私は家でご飯も食べずに彼を待つ毎日。

前は私だけを見てくれていたのに、今では「こっちおいで!」も言ってくれなくなった。

あの言葉が私は好きだった。

必要としてもらえてる様な心を満たす言葉。

もう今では久しく聞いていない。

私はもっと私を大切に思ってもらいたかった。

だから何度も話しかけるのに彼は…




「ちょっと待って。」




しか言わない。

しまいには…




「なんだよ。」




と冷たい言葉を投げられる。

随分ずいぶんとあからさまで驚いた。



そして。



あろうことか、彼は突然に浮気相手を平気で家に連れて来た。





「まゆちゃんって言うんだ!仲良くしてあげて!」





私は唖然あぜんとした。

普通、浮気相手を家に呼んで、更に紹介までする異常さに私は驚きを隠せなかった。

その日の夜。

私は別室へ追いやられ、隣の寝室からは何か激しい音と声が響いていた。


しかし、私は耐えられる。


それでも彼が好きだったからだ。

彼が幸せなら私はそれでいい。

彼がそうするのなら私は彼に尻尾を振って従おう。

それが彼の幸せなら。

私は彼から向けられる笑顔と、名を呼んでもらい、頭を撫でて貰えるだけで幸せなのだから。

大好きな彼がそばに居てくれるだけで私は幸せを感じる。

ずっと一緒に居てくれるだけでいい。






何故なら…






…私は…「犬」なのだから。







読んで頂きありがとうございました!


私の小説が嫌いじゃないとなった方は作者名から他の小説家も見ていただけたら嬉しいです!



よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 成る程! 最後の最後まで気づきませんでした。 確かに浮気かも?
[一言] 犬なんて飯貰ってる代わりに主人の命令に従うのが普通の生き物で飯を対価に主従契約交わしてるような感じだからコレで浮気って言われてもな。 別のペットならまだ納得した
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ