48《24》聖女は再び挑戦する
「……うっ……く」
エレンは体中の痛みで目を覚ます。目を開けて、そでをまくって腕を見ると青アザだらけだ。
助かったんだろうか? 3日目はどうなったんだろう? とりあえず自分自身に治癒魔法をかけて、エレンは起き上がった。
エレンはここ数日ですっかり見慣れた部屋にいた。どうやらリヴェラの屋敷のベッドで寝ていたっぽい。
ということは……1日目じゃない? ループを終わらせられたんだろうか。
ぼんやりとしていたら、様子を見に来たリヴェラが駆け寄る。
「エレンちゃん! よかった、目が覚めたんだね」
「リヴェラさん……今日は何日目ですか?」
リヴェラは、そんなエレンの問いに困った顔をした。でも答える。
「今日は、3日目……でも、エレンちゃんが倒れてから3日が経ったわけじゃないよ? 3日目の次の日も、3日目だったの。イアンくんが言うには、こんなこと、初めてらしいよ」
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リヴェラが一旦席を外して、アレンとイアンを連れて戻ってきた。
「エレンさん……大丈夫ですか?」
「全身アザだらけだったが……痛みはないか?」
そんな心配をする2人に、エレンは微笑んだ。そして、首をかしげる。
「はい、もう体は大丈夫です。それよりも……アレンさん、ループ前の記憶が残ってるんですか? 2日目まで?」
「いや、3日目の記憶もあるよ。リヴェラもそうだ」
「へー、不思議!」
『リヴェラにも記憶がある』と、わざわざ言う意味はわからなかったけれど、アレンの記憶が残っていたことに、エレンはほっとした。
アレンはそんなエレンを見て、話を続ける。
「まあ、記憶がリセットされた時の為に……日付が変わるまで、俺達はこの部屋にいたんだ。そして、記憶が消えたタイミングで、イアンが俺達に説明する予定でいた」
「なるほど。そしたら目の前に急に知らない人が現れる、摩訶不思議なことになりますもんね」
へーへーへー。記憶がなくなってもそんな対策があるなんて!
「ああ。すると日付が変わっても、俺達に記憶は残っていた。ただし……もう1つ別の記憶も増えていたんだ」
「もう1つ?」
エレンが首をかしげると、イアンが説明を引き継いだ。
「この国の因果律が変わりました。今、この国では……レスター王子の婚約者が、エレンさんということになっています。……今日から、記憶がそんな風に変わっているそうです。たぶん起点も、エレンさんに変わっています」
「えええーーー!? わ、私が? 婚約者?」
エレンはびっくり仰天した。
な、なんだってーー! ええええらいこっちゃ!
どっひゃー!
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「エレンちゃんとイアンくんはね、エレンちゃんがレスターの生誕パーティーに参加するついでで、アレンに会いに来たことになってたよ。それで我が家に泊まってた……っていう記憶が増えてた」
「俺の方も……イアンは5歳違いではなく、元から2歳違いの弟だったという、改変された記憶が増えている。……でも、それだと色々おかしいんだけどな。学園で関わった記憶が欠片もない」
リヴェラとアレンの改変された記憶を聞いてエレンは「ほほー」と言った。
「でもなんで2重なんでしょうね?」
作り替えた記憶があっても、本来の記憶もあったら混乱するだけである。リヴェラが同調した。
「ね、なんでだろうね? でもさ、2重に記憶を持ってるのは、私とアレンだけみたい。家のみんなにも聞いてみたけど……私がレスターの婚約者だったっていう記憶を持ってる人はいなかったよ」
「ふうん……これもバグの1つなんでしょうか」
「うーん、どうなんだろうね? まあでも、混乱したけど……私は、記憶が残っててよかったかな」
「あはは、そうですね」
リヴェラとアレンに、ループ前の記憶が残っていたのは、すごく嬉しい。
色々不思議なことは多いけれど、記憶を残したまま3日目が来たのなら、これをチャンスと捉えてもう一回頑張るしか!
エレンが決意を新たにして言う。
「じゃあ、とりあえず、今日もレスター王子の生誕パーティーに行かねばですね」
するとイアンが提案した。
「エレンさん、その前に……国外に出られないか確かめてみませんか?」
「あ、なるほど! これまで普通にできてましたもんね。私達なら出られるかも!?」
「うん、そしてもしそれが可能なら……今日1日を国外で過ごせば、この国も4日目を迎えられるかもしれません」
「わーなんて楽チン!」
そんなエレンのずぼらな感想にイアンが笑う。
エレンが着替えて準備ができたら、さっそく2人で出掛けてみることになった。




