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38《14》聖女はお酒やばしと思った

「へえ……」

「な、なによ?」


 アレンが悪い笑みを浮かべてリヴェラを見つめる。


 ただでさえワイルドな雰囲気のアレンである。

 そんな表情になると、肉食獣度が上がって、非常に危険な気分。


 訓練場の兵士達がこんなことしたら、たぶんエレンは『女の子を怖がらせるんじゃありません!』とか言ってスリッパではたくところだけれど、アレンがやると『きゃ! かっこいい!』とか思ってしまうので、イケメンてズルいでごんすな。


「いや別に? まあループが終わってからだな。

レスター王子の言葉の意味をお前に聞くのは」


「な! んでもないわよ!? あいつがなんか勘違いしてるだけでしょ!」


「じゃあ今回は勘違いをちゃんと正しておけよ?

でないとまたループするぞ」


「……くっ! あんた意外と口もこしゃくで腹立つ!」


 アレンとリヴェラは、言い合いがコミュニケーションなのかも? 初めて見た時は痴話喧嘩と思ったけれど、見慣れてくると、なんだかとても仲良しに見えてくるから不思議なエレンだ。


 これが巷でたまに聞くケンカップルというやつかしらん。普段身近にあんまいない。


「なあイアン、今日泊めろよ。リヴェラを送った後また来るから」

「うん、いいよ」


 アレンとイアンがそんな話をする。

 わあ、仲良しだー! よかったねえイアン様。

 うへへうへへ。


 そしたら今度はリヴェラがエレンに聞く。


「ねえエレンちゃん。私もエレンちゃんのところに泊まってもいい?」

「うん、いいですよ」


 もちろんそう答えた。わあい、お泊まり会だ!


「やった! ありがとうー! ……じゃあアレン、そういうことだから、そっちはそっちで楽しんでね」


「おう。あんまりエレンちゃんを怖がらせるなよ」

「あんたもねー」


 そんな感じで解散の流れになったので、イアンに明日の予定を聞いておく。


「イアン様、明日は何時に落ち合います? 朝ごはんとかも」


「んー……そうですね……じゃあ朝ごはん買っておくので、準備ができたら2人で部屋に来てください。たぶん今夜飲むので」


「ん、わかりました。おやすみなさい」

「おやすみなさい」


 リヴェラとエレンも、買い出しで街に出た。

 歯ブラシとか下着とか必要だし。


「ねえエレンちゃん、明日からはホテルじゃなくて、うちにおいで。イアンくんと。部屋いっぱいあるし、アレンもいるから」


 リヴェラは、エレンにとってはとても優しいお姉さんだ。もちろん喜んでお誘いを受けた。


 ホテルに戻ってからも、一緒のふとんで寝落ちするまで色んな話をしてすごく楽しかった。


****


 翌朝、イアンの部屋のチャイムを鳴らしてみたけど誰も出ない。寝てるのかしらん?お酒飲むって言ってたし?


「もしかしたら寝てるかもですね?」


「そだねー、でもたぶんそんな時の為に鍵開けてるんじゃないかな? あ、ほらほらやっぱり! ね?」


「リヴェラさんしゅごーい!」


 そんなわけで、不法侵入を果たしたエレンとリヴェラは、服がはだけ気味な2人が尋常じゃない量の酒瓶に埋もれているという惨状を目の当たりにした。


『きゃー! のび太さんのエッチ!』

 とか言うレベルではない。


『もしや……これは……死?』

 みたいな、そんなレベルである。


 リヴェラが真っ先にアレンに駆け寄った。

 そして抱き起こして顔をべしべし叩く。


 なんせリヴェラは、前回のループでアレンが死んだところを目撃しているのだ。真っ青になって必死で呼びかける。


「アレンアレンアレン! 大丈夫? しっかりしてよ! ねえ、起きて、ちょっと!」


「ん……リヴェラ……?」

「アレン……!」


 アレンが寝ぼけた声を上げて、涙目のリヴェラの顔に手を這わす。


「ふふ……愛しいリヴェラ」


 そしてリヴェラの顔を引き寄せてキスをした。


****


 きゃー! きゃー! きゃー!?


 エレンは突然のラブシーンに混乱した。


 リヴェラも相当混乱している様子で「んー!? んー!?」と言いながら顔を真っ赤にしつつ、アレンの胸板をドンドン叩いている。


 しかしそんなリヴェラの拳を、アレンはほどいて自分の指と絡ませながら、更に深く深くキスをする。


 エレンは、はわわどうしようえらいこっちゃとなった後で『は! そうだ! イアン様!』とひらめいた。


 そしてイアンをぺしぺし叩きながら呼びかける。


「イアン様イアン様! リヴェラさんとアレンさんがえらいこっちゃです! アレンさん引き離して!」


 あれ? イアン様なのに、お兄さんのことは、アレンさん? ……えっとじゃあ……アレン様? あ、じゃあそうなると、リヴェラさんもリヴェラ様?


 イアンに声を掛けながらエレンは呼び方の矛盾に首をかしげた。そうこうしている間にイアンが目を覚ます。


「う……ん……エレン……さん?」

「イアン様!」


 すると寝ぼけたイアンがエレンの顔に手を這わして以下略。エレンは失念していた!


 2人は……兄弟だったのです!!


 あーれー


****


 エレンはもみくちゃになりながら、治癒魔法を使った! きらきらきら~。


 アレンとイアンの体から酒が抜けた。


 おっふ。最初からこうしておけばよかった。


 そうして後に残るのは、半裸の2人とくんずほぐれつ状態なリヴェラとエレンという状況だ。

 ちなみにアレンとイアンは、エレンの治癒魔法によって、そんな状況の中で正気に戻った。


「ばか!!」


 真っ赤になったリヴェラとエレンの声がハモった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] お酒に酔った兄弟が素敵すぎますー。きゃーもっとやれ! [一言] はじめまして。二章完結されてたので、読みに来ました。 読んでて、きゃーーーー!となったので、二章完結まで読みましたが、あえ…
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