表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/85

27《3》聖女のオシャなお昼ご飯

 エレンは次の休日にはすっかり全快した。


 はー寝すぎてしんどかったー。


 朝の二度寝は幸せなのに、ずっと寝るとなるとしんどくなるのはなんでだろう。


 んー! と伸びをして身支度してリビングに降りる。


「おはよーエレン、具合はどう?」

「おはよー。うん、もうすっかり治ったよ」

「あらよかったわねえ」

「うん。健康はよいねえ」


 おはよーと言いつつ、時刻はお昼近い。


 もう朝ご飯はいいやと思いつつエレンは台所にいるであろうお手伝いさんのところに向かう。


 お昼は友達と外でサンドイッチを食べたいと、お手伝いさんに事前にリクエストしていた。


 今日の授業では魔法を使いたいとマーリンが言っていたから、いい天気でよかったなあ。


「ってわあ! なんてオシャレなサンドイッチ!」

「最近、街で流行ってるんですよ」

「へえー味見しよ! おいひい!」


 なんかインスタ映えしそうなサンドイッチだ。


 エビとかアボカドとか……もしエレンが作るなら絶対入れないようなオシャな具材をふんだんに使っている。


 ソースもなんかマヨネーズとかじゃない。

 オレンジ色のやつだ。


 あ、ルカと旧父さんが「おいしい」の言葉に反応して台所にやって来た。


「これはうまいなあ」

「ねぇ週1で作ってよ」


 とか言いながらサンドイッチをもりもりつまみ食いするから、お手伝いさんが照れている。


「ええーもうすぐマーリン様達くるから食べるの後にしてよー! お庭で食べる分なくなる!」


「おっとおいしくてつい」

「なくなっちゃったね」



 キンコーン



 あ、チャイムが鳴ってしまった。ちょっとー!


 てへぺろする旧親子をじと目で見たけれど、しょうがないなあとあっさり諦める切り替えの早いエレンである。


「ま、ぐだぐだはいつものことだしいいや。みんなでまた作ればいいよね。じゃ、玄関出てくるー」

「はーい」


 そんなわけでとてとてと玄関に向かうエレンだったけれど……気付かなければ幸せだったかもしれないことに気付きかけてしまった。


 ん? さっきの「おいしい」の言葉が……リビングまで聞こえる? ……え、じゃあ、以前シチューを作った時のイアン様との会話は……?


 ……え?


 …………。深く考えると死んでしまうと思ったので、エレンは考えるのをやめた。


****


 エレンが思った通り、2人仲良くやって来たマーリンとウィリアムは、嫌な顔せず、むしろ楽しそうな感じで、サンドイッチ作りを一緒にしてくれた。


 具材を詰めたサンドイッチに、型崩れしないようにそーっと、慎重に丁寧に包丁を入れながら……ウィリアムが話す。


「最近、料理が面白くて厨房に行くようになったんですよ。最初は立ち入らないでって言われてたけど、今は厨房のみんなとも仲良くなって、包丁持たせてもらったりして色々教わっています」


「へえー、どんなの作ってるんですか?」


「んー……今はまだスープとかサラダですね。

メインを作れるようになったらご馳走しますね」


「ふふ、ウィリアム様の手料理、楽しみです。

私も実は今日、クッキー焼いてきたんですよ」


「え、本当!?」

「わあ、楽しみです! どっちも楽しみ!」


 ウィリアムもマーリンも、料理を作ることはエレンに会うまでほとんどなかったらしい。


 エレンはわりと近場にいる人はがんがん利用……こほん、手伝ってもらうスタンスなので、初めて一緒にご飯を食べたバーベキューの時も散々色々やってもらってた。


 そんな日々の積み重ねからいつの間にか、料理したりするようになるなんて……人生わからないものだすなあ。


 食べるのが大好きなエレンは、思わぬ副産物にうきうきした。


 とりあえず今日のところは、マーリン魔法教室の前にサンドイッチとクッキーを食す会となり、なんかもうメインこっちかな? ってなるくらいおいしかった。


 そしてそんな会になったからか、ちゃっかりルカも参加して、まったりとお茶をする。


 はう。お腹いっぱい食べて、温かいお茶飲んでまったり……幸せ。お日さまも暖かいし、まぶたが重くなるなあ。とろーん。


「こーら、寝たらダメ。お勉強しますよ」

「ええー?」

「もー、メインはこっちでしょっ」


 ちなみに「ええー?」は3人でハモった。


 こんな幸せな時でも眠らずに、周りにはっぱをかけて勉強に誘導させるなんてさすがマーリンだ。


 ウィリアムが「はあい先生」と言って笑っている。


 エレンも、んー! と伸びをしてむりやり目を覚ました。エレンの為にわざわざ来てくれてるんだから、ちゃんとがんばらねば!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ