異世界召喚編 勇者
「ではお願いします」
僕は神獣の頭に手をかざそうとする。
「我は何千年と生きているが、お主には変わったものを感じる。何か……特別な物を……」
神獣は小声で何か言う。
よく聞こえなかったので、僕は首をかしげる。
「あ、気にするでない。では手をかざしてくれ」
何を言ったのが気になるが、僕は手をかざす。
「こ、これは……!!」
神獣が光りだす。
今までとは、比べ物にならないほど光りだす。
「ま、眩しいよ〜!!」
「なんだこの光の量は!!」
「み、湊くん……!!」
ーー
結城 湊 <ユウキ ミナト>
レベル:測定不能 職業:勇者 属性:全属性
攻撃:測定不能
防御:測定不能
敏捷:測定不能
魔力:測定不能
魔攻:測定不能
魔防:測定不能
ーー
……。
「測定不能……?」
キンガールが目を擦りなが言う。
「ふむ……。今まで何万人とステータスを表示させてきたが、測定不能なんてものが出たのは初めてである」
「あ!!見て!!職業のところに勇者って書いてあるよ〜!!」
「み、湊くんが勇者……!!ぴったりです……!!」
「くそ〜。俺っちが勇者だったらな〜。でも測定不能って書いてあるから、パラメーターが全く分からないよな〜。実は俺っちの方が強かったりして〜」
ニヤリと竜が笑う。
「そうかもね……」
測定不能という文字が出て、釈然としない。
「と、とにかく湊殿が勇者じゃな!!国に広めるのじゃ!!」
キンガールが召使いらしき人を呼びつけて、共にどこかへ行った。
「我、今日は疲れたから休む。お主らもどこかへ行くのである」
神獣はそう言い残し、目を瞑った。
「では皆さんにはこれから城内を案内させていただきます」
とずっと後ろで見守っていたリアが口を開く。
僕達はリアに付いて行き、大広間を後にした。
ーー
「あの小僧、とてつもない闇の力を持っておる……良からぬことに向かわなければいいが……」
うさぎの神獣はそう言って、深い眠りについた。