異世界召喚編 神獣
大広間に着くと、キンガールが中央にいた。
キンガールの前には、小さなテーブルがあり、その上に何かいる。
うさぎだ。
テーブルの上にうさぎがいる。
「あ!!うさぎだ〜!!かわいいねえ!!」
「う、うさぎさん……!!」
愛佳と加恋がはしゃぐ。
「誰がうさぎだ!!そこら辺りの、下等な生物と一緒にするな!!我、神獣であるぞ!!」
「わ!!うさぎが喋った〜!!」
「だからうさぎではない!!」
どう見てもうさぎに見える動物はプリプリと怒り、顔を赤くしている。
「神獣様。失礼いたしました。この方々は異人であるゆえ、まだ何も知らないのです。どうかご無礼をお許し下さい。」
キンガールが深々と頭を下げながら言う。
「うむ。そうだったな。許してやろう」
うさぎが踏ん反り返って、答える。
「この方は神獣様である。ワシなんかより遥かに偉い方なのじゃ」
キンガールが俺たちに説明する。
うさぎは苦しゅうないと言わんばかりに、偉そうにしている。その姿も普通に可愛い。
しかし、話を合わせねば。
「神獣様、失礼致しました。どうかご無礼をお許し下さい」
僕はそう答えながら、深々と頭を下げる。
「ふむ。そこの若造は話が分かりそうだな」
神獣はこちらを可愛い目で見ている。
「この神獣様は、ステータスや適職などを教えてくれるお方なのじゃ。今回は皆のステータスや適職を教えてもらおうと思って呼ばせていただいたのじゃ」
キンガールが冷や汗を手で拭きながらと言う。
「なるほど。僕たちの中に勇者がいると最初におっしゃられてましたね」
「はいは〜い!!でも、勇者は一人ですよね〜!!他の3人はどうなるんですか〜??」
愛佳が手を大きく上げて質問する。
「この中に1人勇者がいるのは確定なのじゃが、他の方々は普通の職業をいわれるじゃろうな。でも異人である故、パラメーターはそれなりに悪くないと思うぞ。」
キンガールが答える。
「誰が勇者か気になるな!!俺っちだったりして!!」
竜がニコニコしながら言う。
「いやいや〜私でしょ〜。女勇者!!かっこいいじゃ〜ん!!」
愛佳もニコニコしている。
「み、湊君が勇者になって欲しいな……。で、私はそのお嫁さんに……。えへへ……」
加恋が顔を赤らめながら小声で何か言っている。
「では、始めるぞ。この神獣様の頭に手をかざすのじゃ。そうすれば、神獣様が適職とパラメーターを教えてくださるのじゃ」
僕たちはジャンケンをし、勝った順に教えてもらうことにした。