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異世界召喚編 転生魔王

「あの……。必ず魔王様を倒してくださいね。魔王って……」


「魔王って……?」

 リリーが言いづらそうに言うが、俺は聞き返す。


「魔王って、異世界から召喚された異人らしいんですよ……」


「そ、それって……。僕たちと同じ異世界から来た人間ってことですか……?」


「はい。でも勇者様と違って、魔王は”転生”ですので、元々異世界で活動してた方が亡くなられて、そのまま魔王になったって感じですね」


 確かに、僕たちは生きたままこの世界に来たな。

 それが”召喚”と”転生”の違いか……。


「そ、それが本当なら俺たちは元々人間の人を倒さないといけないってことですね」


「そうですね。やりにくいでしょうが、頑張ってください……」


「どんな人が魔王があろうと、僕たちはこの世界のために戦いますよ」


「そうですか!!ありがとうございます!!」

リリーが満面の笑みを見せてくれる。


「では、本当に僕たちはこの辺で……」

 僕らはそのまま店を出た。


「いや〜。寝起きに衝撃的な話を聞いちゃったよ〜」


「な!!魔王が元々は俺たちと同じ人間だった可能性があるってびっくりだよな!!」


 愛佳と竜が興奮しながら言う。通貨の話もしっかり聞いて欲しかったものだ。


 ーー

 僕たちはその後屋台で買い物をして、武器・防具の店に入った。


「お、もしかして、勇者様たちじゃねえのか?」

 店主と思われる人が言う。図体がデカく体育会系っぽい人だ。


「そうです。よろしくお願いします」


「ガハハ!!勇者様を店に入れちまったよ!!こりゃあいい武器や防具を渡さねえとなあ!!」

 いかついおっさんはそう言うと、色々と店の奥から取り出す。


 俺たちはおっさんのなすがままに、武器や防具を取り外しさせられ、買わされた。


「いや〜。是非このまま魔王を倒してくれよな。勇者たちが付けていた武器・防具を取り扱っていた店として、この店が繁盛する未来が見えるぜ!!」

 おっさんがガハハと笑いながら言う。


「ねえねえ!!魔王が元々は人間って本当なの〜?」

 愛佳がおっさんに聞く。


「あぁ。魔王が誕生したのが、確か十年くらい前だったかな?そりゃ人々は大慌てしたよ。ただの魔王ならまだしも、異人を転生させた魔王が誕生したって聞いたからな」

 おっさんが悲しそうに言う。


(確か王が言っていたな、異人を召喚した場合は、ステータスが桁違いに強くなるって。このおっさんの口ぶりから察するに、転生した場合も同じなんだな)


「なるほど。だから王国側も対抗して、異人である俺たちを召喚したわけですね」


「そういうことだろうな。王国があんた達を召喚するのにかなりの年月が経ってしまったけど、間に合ってよかったぜ」


「間に合ったって何にですか〜?」

愛佳がおっさんに質問する。


「そりゃ、魔王が目覚めるのにだよ。魔王軍は魔王を転生させるのに成功しているが、魔王はまだ目を覚ましてないんだよ。転生にはかなりの負担がかかるからな。俺たちはそれまでに勇者を召喚しないといけなかったわけだ」


「なるほど。魔王はいつぐらいに目を覚ますんですか?」

 俺は聞く。


「う〜ん。詳しいことは分かってねえが、噂によるともう時期、眼を覚ますらしいぜ。本当ギリギリだよ。」


「ひえええ。私たちも、のんびりしてられないねえ〜」


「ま、転生魔王より、召喚勇者の方が強いって国側が主張してたから、多分大丈夫じゃねえの?あと、うちの店が用意した武器・防具があるからな!!ガハハ!!」


「そうですね。頑張ろうと思います。じゃあ、俺たちはこの辺で」

 俺たちは苦笑いしながらおっさんにお礼を言い、店を出た。


 ーー

「いや〜。十年前に転生した魔王か〜。もしかしたら、十年前に死んだ私のお爺ちゃんだったりしてね〜」

 愛佳が空を見上げながら言う、


「地球には何億人と人がいるんだ。そんな中から選ばれた人が知ってる人だなんて、可能性0に近いぜ」

 竜が冷静に突っ込む。


「確かにね〜。というか、魔王って私達の世界で1回死んでるんだよね。それをもう一度殺すってちょっと可哀想だよね」

 愛佳が悲しそうにする。


「湊……。おそらく魔王に対抗できるのはお前だけだ……。辛いかもしれないが頼んだぞ」

 竜が真剣な顔で俺の肩に手をポンと置く。


「元々人間のやつを殺すのは、確かに気分がいいものじゃないな。けど、この国の人の方が大事だからな。そこは割り切るしかないな」


「み、湊くん……!!お、応援してるから……!!」


「頑張るんだよ〜。じゃあ、そろそろ冒険に出発しますか〜。」

 愛佳がエイエイオーとしながら言う。


「魔王城にそのまま向かえばいいって王が言ってたな。地図も貰ってるし、魔王が目覚める前にとっとと型を付けちゃうか。」


「おう!!魔王を倒して、とっとと現実世界に帰ろうぜ!!」


 そして僕たちは、城下町から旅立ち、冒険に出発するのだった。


 ――

 1つ気がかりなことがある。


 十年前に転生ってことは、十年前に死んだ人が魔王ってことだ。

 竜達がいる小学校に転校する前に好きだった女の子がいた。

 その子は事故で亡くなっている。

 それがちょうど十年くらい前か……。


 もしかしたら……。

 いや考えすぎか……。

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