異世界召喚編 転校生
ガラガラ。
扉が開く。
黒髪の男の子が入ってくる。
「あれ〜?結構かっこよくない??」
「ねえ〜。ジャ○ーズとかにいそう〜」
クラスの女子達がざわめく。
(チッ!!気に入らねぇ)
俺っちは舌打ちをして、転校生を睨む。
「じゃあ自己紹介してね」
「結城……湊です……。よろしくお願いします……」
転校生は元気が無さそうに言う。
「きゃ〜!クール系よ〜!!」
「ね!!かっこいいね!!」
再度クラスの女子がざわめく。
(チッ!!ただの隠キャじゃねえか!!)
俺っちは舌打ちをまたつく。
「じゃあ。結城君は一番後ろの席ね」
転校生は自分の席を確認し、席へ向かう。
(ん?転校生の席の位置って……)
「初めまして〜!私、最上愛佳!!よろしくね〜!!」
愛佳が笑顔で転校生に言う。
(クッソ!!愛佳の横だと!?許せねええ……)
俺っちは憎しみの目で転校生を睨む。
「ああ……。ありがとう。こちらこそよろしく」
転校生は、笑顔で返す。
思わぬ笑顔で愛佳が顔を赤らめる。その笑顔を見ていた、他の女子も顔を赤らめていた。
(チッ!!)
俺はイライラが止まらなかった。
「あ……!うん……!!」
愛佳がメスの顔をしている。
(クソクソクソクソ!!)
ーー
キーンコーンカーンコーン。
HRが終わる。
俺は転校生を締めるために、転校生の元へ向かう。
しかし、席を女子共が囲んでいる。
「ねえねえ。どっから来たの〜?」
「彼女いる〜?」
転校生にキャッキャしながら女子共が話しかける。
「隣の町からだよ。……彼女はいないかな」
転校生は笑顔で答える。さらにメロメロになるビッ○共。
俺っちは女子共の中に無理矢理入り、転校生に話しかける。
「初めまして!俺っち築地竜!!よろしくな!!」
作り笑顔で話しかける。
「うん。こちらこそよろしく」
「いきなりで悪いんだけど、ちょっと一緒に外行こうよ」
「なになに〜?そういう感じ〜?」
「BL!?BLなの!?」
女子共が茶化すが、俺は笑顔を貫く。
「ん?もうすぐ授業じゃないの?後にしてくれると助かるかな」
転校生はサラッと断る。
「な!!」
俺っちは恥ずかしくて、赤面する。周りの女子共もクスクス笑っている。
(クソ!!後でぜってーボコす……!)
ーー
キーンコーンカーンコーン。
昼休みに入る。
「じゃあ。転校生君!!外へ行こうよ!!」
俺っちは転校生に話しかける。
「ちょっと待って〜!!外じゃなくてさ〜。この学校を案内してあげようよ〜!!」
愛佳が割って入る。
「そうしてくれると助かるよ」
転校生がクールに言う。
「加恋〜!!こっち来て〜!!」
「ん?どうしたの?」
加恋が愛佳に不思議そうに言う。
「私と竜で湊君に学校を案内してあげようとしてたの〜!加恋も行こうよ!!」
「うん……。いいよ……」
「結城湊です。よろしく」
「あ……。姫野加恋です……。こちらこそ……」
「いや〜すまんな〜!加恋は人見知りなんだ〜。俺と愛佳にしか心を開いてないんだぜ。今までも、おそらくこれからも……」
俺っちは優越感に浸りつつ、嫌味を交えて言う。
「そうなんだね」
少し悲しそうな顔をする転校生。
(ようやく面白い顔になってきたなあ!!後でもっと絶望的な顔にさせてやるよ!!)
俺っちはニヤニヤが止まらなかった。
「じゃあ〜しゅっぱ〜つ!!」
嫌味に気づいていない愛佳が、転校生の手を引いて、教室を出て行く。
(おいコラ!!手を繋ぐんじゃねえ!!)
そんなことを思いながら、付いていく。




