異世界召喚編 好意
「加恋様。マリー様はこの国を代表する賢者様なのです。あの方に認められるという事は、とても凄いことなんですよ」
「そ、そうなんですか……?」
「そういえば、『私に匹敵するくらいの魔力』ってマリー様が加恋に言ってたね〜!!と言う事は、この国を代表するレベルの魔力を持ってるって事じゃないの〜!?」
「そうなりますね」
「私達もなんか認められたいよね〜??竜〜??」
「そうだな……。頑張らないとな……」
竜が元気なさそうに答える。
……?
ーー
その後、大図書館、植物研究室、生物研究室などの様々な施設を巡り、食事をとった後、大浴場へ向かった。
「あぁ〜疲れたああ!!」
愛佳が風呂に入りながら、叫ぶ。
「コラ!!愛佳ちゃん!!はしたないよ!!」
「別にいいじゃ〜ん。私達だけなんだからさぁ〜」
「そ、それはそうだけど……」
「……」
私達は無言のまま、色々思い返す。
「本当、私達どうなっちゃうんだろうね……」
「いきなり知らない世界に飛ばされて、魔王を討伐しろとか言われても、実感湧かないよね……」
「で、でもさ!!まだ使ってないけど、魔法とか色々使えたりするのかな〜。しかも、加恋は魔力が凄いから強力な魔法も使えちゃいそうだよね」
「加恋ちゃんも、俊敏と攻撃力っていうパラメーターが凄かったじゃん……!!武闘家らしいよ……」
「え〜武闘家って微妙じゃな〜い?私も魔法とか使いたかった〜。お淑やかな僧侶とかになってさ〜」
ガラガラ
「ご一緒させていただいてもよろしいでしょうか?」
赤髪をなびかせ、リアが入ってくる。
「リアさん!!どうぞどうぞ!!」
愛佳も加恋も歓迎する。
「……」
「お二人はやはり不安でしょうか?」
リアさんが問いかける。
「そうだね~やっぱり不安はあるけど、これから冒険していくじゃん?楽しみっていう気持ちもあるよね〜」
「不安ですが、4人もいるので心強いですね……」
愛佳と加恋が笑いながら答えるので、リアは少しだけ安堵の表情を見せる。
「あ、リアさんに質問!!私達って魔王を討伐すれば、元の世界に戻してもらえるんですか〜?」
「もちろんです。魔王討伐後は元の世界にお帰しいたします。ご希望であれば、この世界に永住しても構いませんよ。魔王を倒した英雄として讃えられるでしょう」
「英雄か〜」
「あ、あの……!!もう1つ聞きたいのですが、湊くんのステータスって……!!」
「それ私も気になってた!!測定不能ってよく分かんないんだよね〜。」
「神獣様もおっしゃられてた通り、測定不能というパラメーターは前代未聞らしいです。でも安心してよいでしょう。あの騎士団長を余裕で倒したくらいですから。魔王も簡単に討伐できると思いますよ。」
「へぇ〜。確かに騎士団長との戦い凄かったもんね〜。あんな早い攻撃を華麗にかわしてたしさ。」
「み、湊くんだもん……!!強いに決まってます……!!」
二人でキャッキャしているのを見て、
「二人とも勇者様がお好きなのですね」
リアが笑いながら言う。
「「ふえ!?」」
二人で赤面しながら声を合わせて言う。
「べ、別に私は〜……」
「私も……!!別に……」
モジモジしながら言う。
「隠さなくても大丈夫ですよ。二人の様子を見れば、すぐに分かりますよ」
リアが優しい笑顔を見せる。その言葉に更に二人は赤面してしまう。その後、三人で思わず笑いあった。大浴場から見える空には大きな満月が出ていた。




