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RED  作者: リクライム
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RED2

 

 

 第一話 友達

 

 太陽はまた昇った。その太陽はどんどん上に昇り続けてあっという間に真上まで昇ってしまった。不思議だ。切り刻まれた体はもうほとんど傷が無い。後ろから悠人が声をかけてきた。

 「どしたん?なんかいい事あったんか。」そんな事は無い。ただ色々あったから気が動転しているのかもしれない。「いやなんでもねぇよ。」

「じゃあ行こう。もう少しで終わるで。」

文化祭はあっという間に終わった。

 そして夕方になってすぐ帰る時間になってしまった。

楽しい事って案外早いもんだな……。

帰る準備をらしていると悠人が後ろから声をかけてきた。

 「おーい、一緒に帰ろう。」

 相変わらず元気だ。

 「お前部活があっただろ。」そう、悠人は空手部だ。悠人は何故か急に表情が険しくなった。

そして何故か変な事を話し始めた。

 「さっきの一件についてだ。あの狼の化け物倒したのお前だろう。その時いた男について何か知らないか?」

 どういう事かわからない。何故悠人がそれを知っているのか不思議でしょうがない。   悠人はそれを察したのか再び話し始めた。

 「あの狼のいる組織のボスらしき男だよ。負けた仲間は次々と殺していく卑劣な奴だがな。」

 それを聞いた時悲しくなった。あの狼が血塗れだったのはあの時既にトドメを刺されていたからだろう。彼の勇者と戦いたいというただそれだけの理由が彼をこの地に止めたのだろう。悲しみと共に怒りが込み上げてくる。偽善からか恨みからか力んだ。悠人は急に黙り込んでそして目を細めている。そういえば、なんで狼の事を知っているのかが不思議だった。

  悠人はふう、と息を吐いたかと思うと急に殴ってきた。運良く避けたが、その拳は地面のコンクリートを粉々に破壊した。悠人は向かってくる。悠人も敵なのか。いやそんな事ないはずだ。ずっと友達だったんだ。

 「お前も俺を殺すのか……。」と呟いた。悠人は立ち止まり答えた。

 「お前を殺すのは友達だからって心苦しいとか思っちゃいねぇよ。でもな、俺がお前を殺す理由を知る権利はある。理由は、仲間にするかしないか……ここで決めるからだ。」

「仲間……どう言う事だ……。」

「勝ったら教えてやるよ」

ゆっくりと近寄り悠人の前に立った。悠人は急に笑い出す。

 「ハハっ!お前俺と戦うつもりか。それでこそ面白い。殺してやる。俺もお前と同じさ。同じ宿命に立たされた男だ。死ぬ前にそれだけは知っておくんだな。」どうやら悠人も同じ立場にあるらしい。ていうかさっきと口調が違う。これが二重人格という奴なのかもしれない。悠人は走ってきた。左右にステップを踏みながらものすごい速さで走ってくる。いきなり蹴りが飛んできた。速すぎて驚いたがなんとか鞄で防いだ。これが空手の力なのかそれとも、ただ単純に悠人が強いだけなのか。前にかざしたバッグはなんともないものの防御しなかった足を蹴られていた。そのまま倒れ込んでしまった。トドメを刺す為だろう。悠人は自分の鞄を漁りカッターナイフを取り出した。足の激痛を耐えて立ち上がると既に目の前にいた。ナイフを向けられている。だが俺はそれよりも早かった。カッターを向けられる前に喉に一発殴ったからだ。悠人は喉を抑えると何とも無さそうにニヤリと笑った。「愚かだな、お前の攻撃はよ。何も感じねぇ苦し紛れだな。そんなんで殺される奴の気持ちになってみろよ。」苦し紛れの攻撃はダミーだ。本命の攻撃は既に準備している。それは奴の喉に攻撃すると同時に奪っておいたカッターの刃だった。悠人がまた向かってくる。だが、カッターの刃を喉に刺せば殺せる。悠人は刃を持っている方の手を蹴り上げ喉に突き刺そうとしてきた。誤算だった。でも実は刃は二つ取っておいたからもう一方の手にも刃はある。その手を振り上げ悠人の喉に刺した。血が出ているもののやっぱりなんともないようだが流石に出血の量が多かったようだ。目が曇りきっている。刺したカッターの刃を痛そうに抜くとまたニヤッと笑った。「お前いいよ、面白いし楽しいしさビビって逃げねぇしよ。殺しがいがあるってもんだ。また明日な。」悠人はどこかへ走って行った。あいつにも何か過去があるのか。いや、ただわかる事はあいつがこれからも俺を殺そうとしてくる可能性が無いとは言い切れない事だ。

覚悟しなくてはならない。

いつか悠人とまた戦う日が来る事を……。


 第二話 悪人の生き様とは

 

 週明けの事だった。学校の休み時間、急に校内放送が流れる。「あー、昨日一緒にフェス行く予定だった奴。えーと誰だったっけな……まあいいやとりあえず物理室に来い。」明らかに声が悠人だ。前の続きだろうか。とりあえず行く事にした。物理室を勢いよく開けると悠人は机の上で横たわり本を読んでいた。教室に入るとこっちに気づいた。そして本を置き椅子に座り話し始めた。「よう、早速本題だがお前も知っているだろうがこの世界にはあの狼のような生物がもともと存在していたわけではない。世界の悲しみはこの世界の形さえ変えた。」

「わからん、この世界はなんだ?何でお前はそんな事知ってるんだよ。」そこが不思議だ。この世界が変えられたのなら俺はなんなんだろう……

「この世界はある魔王の力によって支配されようとしている。昨日の狼を殺したのもおそらくはそいつだ。どんな過去があったのかは分からないが俺たちは奴を倒さなければならねぇ。」もうなにも疑いようが無い。狼の強さは明らかに人を超えていた。でも、何故俺と悠人が選ばれたのだろうか……。

 何故かわかる気がする。あの時見た夢はもしかしたら俺を試していたのかもしれない。悠人は教室を出ようとドアに手を掛ける。

「ハハっ!楽しみだ。もう敵は忍び込んでるぞ。いつ始まるんだろうな!俺は先に行ってるからな。」悠人はあやしく笑いながら物理室を出て行った。授業がもう少しで始まる。敵が忍び込んでいると悠人は言っていたがそんな様子は無い。人じゃないんだから誰にもバレずに隠れるなんて造作もない事だろう。恐ろしいのは世間にその存在を知られていない事だ。そんな事を考えながら教室へとぼとぼ戻っていると後ろから声をかけられた。「なにやってんのや、お前」クラスのヤンキーだ。名前は確か……とにかく生徒会長だったような……。

「いや、何でもないです。」急いで教室に入る。同級生なのに大人っぽく先輩にも絡んでいくいかにもヤンキーって感じの奴だ。でもヤンキーの癖に生徒会長だ。何でかは分からないけど悠人が選挙前に正門の前で登校してくる脅しを掛けてるのを見たらしい。まああんまり関わりたくらないやつだと思う。授業が始まる。もう少し、あと少しで始まる。なかなか始まらない。結局職員室に行く事になってしまった。また、何かが来ている気がする。もしかしたら……

職員室前の廊下、いつもは明るいのに電気がついていない。奥の職員室も電気がついていない。また敵が来たのかもしれない。息を殺して職員室のドアに耳を当てた。何も聞こえない。ドアを開けるとそこには死体が散らばっている。敵で間違えないだろう。みんな首を掻っ切られていた。急に吐き気がした。そりゃそうだ。死体はみんな来る人を驚かす為かこっちを向くように椅子に座らされていた。

「な、何なんこれ」後ろから別のクラスの奴らが来ていた。「待て、あんまり騒ぐな。犯人がそこらで隠れてるかもしれん。」悠人も来ていたようでみんなに騒いだりしないように言い聞かせた。だが、一人の女子があまりにもびびってまともに立てていない。死体を見てしまったんだ。仕方ないと思う。しかし今度はどんな怪物だろう。でもとりあえずみんなを避難させなければいけない。一人一人階段を降りる事にした。でも、敵はそこまで予測していたのだろう。「痛、きゃー」階段を降りていくとさっき震えていた女子生徒の足が吹き飛び、よく見ると天井に罠のようなものがあった。

 階段の降りるほんの少しの音を何かが感知したようだ。さらに周りから針が飛び交う。

 先に行かせた生徒は一瞬のうちに全滅した。

悠人は表情を変えずに立ち尽くしている。

「しょうがねぇな。もうこの階から残った奴全員降ろす。それでいいだろ。」残った人は二人だけだ。その二人はものすごく嫌がっていたが悠人が無理やり落とした。幸い2階で下は芝生が生えている。2人を降ろして自分も降りようとすると悠人が止めてきた。

「まだ敵を殺し終わってねぇじゃねぇか。ここからが面白いんだよ。」悠人の言う事は理解はできない。でも、まだ取り残された人がいるかもしれない。仕方なく残る事にした。それにしても、ブレーカーが落とされているのかとても暗い。こう暗くては敵と戦い難い。 上の階まで上り探索していくと廊下に人が倒れている。すぐに助けようと駆け寄った。悠人が「何やってんだよ。バカ野郎、そんな奴に構うな。死ぬぞ。」と言った。その時、カチっと音がした。その瞬間針が無数に飛んできた。針は背中に刺さり、倒れ込んだ。

針を発射した装置からはアラームが校舎中に鳴り響いている。敵が来てしまう。

その時、奥の教室から声がした。

「まだそんなとこにいたんか!」と言っている奴がいる。よく見るとさっきの生徒会長だ。会長のいる教室は安全かもしれない。

 急いで会長のいる教室に急ぐ。が、既に敵は来ていた。会長は悲惨な目で見つめて言った。「お前ら早くしろ、もう既に来ているぞ。」振り向くとそこには人が立っていた。

「あいつが敵か!」しかし様子が変だ。そいつはその瞬間すごい速さで吹き飛んできた。

「あいつはダミーだ。後ろだ!お前の後ろにいるぞ。」振り向くと2mくらいはあるでかい男が立っていた。こいつも人間では無いのだろう。

飛んできたダミーを交わし、間合いをとった。

「へぇてめぇか……なるほどな。聞いていたより面白そうだ。」奴は構えた。悠人が後ろから合図している。挟み打ちにするのだろう。

 悠人が前に走り出した。その合図で俺も走り出す。肝心の敵はというと全く動かない。悠人は危険を察知したのか。踏み止まった。俺は走り込み敵の顔目掛けて精一杯のパンチを繰り出した。が、奴はそれを避けるでもなく蹴り上げた。天井は砕け、気がつくと地面に寝そべり血だらけになって動けなくなっている。

「まず一人目はこんな感じだ。そして二人目、三人目と殺していってやる。」奴は包丁を取り出した。おそらく家庭科室から持って来たんだろう。悠人はハサミを鞄から取り出す。二人は互いに手に刃物を構えて睨み合っている。

「俺とお前、どっちが強いのかどうか証明してやる。そんでついでに殺す。」悠人は楽しそうだ。殺し合いを楽しんでいるのだろう。でもそれを聞いて敵も楽しそうだった。不意に悠人はハサミをぶん投げた。ハサミは敵を外してこっちに飛んでくる。敵はニヤっと笑うと悠人目掛けて包丁を振りかざした。だが、次の瞬間だった。会長がバットを持って走ってきた。そういえばさっきからいなかった。しかも敵はそれに気づいていない。会長は敵に目掛けてバットを振り下ろした。バットは頭に当たった。が、バットは何故か曲がって折れてしまった。

人とは違うと言ってもここまでの強さなのか。

果たして勝てる人間なんてこの国いや、この世界にいるのだろうか。

すかさず敵は包丁を会長に刺した。会長は悶えている。腹の包丁を抜いたがかえって血が出た。会長は苦しそうに包丁をぶん投げた。

「グッ!」

だが敵は悠人でガードした。悠人に包丁が刺さり悠人は死にかけのようだ。

 すると電話がかかってきた。敵が持っている電話からのようだ。奴は電話をとり話し始める。「殺し終わった。こいつらはただのクズだったぞ。無駄な時間を過ごしただけだったな。」奴が話している電話からかすかに男の声がする。「そうか……ではと…め…さしてから…って……んだな。あ…つにも言っておけ。」

電話中……今がチャンスな気がする。おそらくボスはこいつに仲間の誰かに何かを言っておくように指示した。つまり敵は二人以上という事になる。

そして今気付いた事がある。悠人はハサミを外したわけじゃない。俺に拾わせようとしたのだろう。今ならやれる。敵は後ろを向いているし、何より早く助けないと二人は今にも死にそうだ。

 ハサミを手に取ると素早く走った。体勢を下にし敵の喉元目掛けて投げる。奴は気付いたのか跳ね返そうとしたが見事にハサミは奴の喉を切り裂いた。

「ぐぁー。クソ野郎。お、お前生きてたのかよ……」奴はまだ生きている。会長の首に手をあてた。もう脈は無い、今さっきの一撃で死んだのだろう……瀕死の悠人を引きずり階段を降りる。ここで死ぬよりは生きている方がいい。だが振り向くとすぐ側まで敵は近づいている。

「終わらせてこその戦いだ。何故逃げる?貴様それでも男か、男は力だけじゃないなんていう奴はいるがそんなのカスみたいな考えだ。野生を思い出さぬ者よ!戦いにこそ人の本当の心情が現れるのではないのか。」

そんな事分かっている。戦うため動きやすい場所にでるんだ。窓を割りあの中庭に出た。敵は辺りを見渡す。「ここは仲間が倒された場所だな。ふ、ハハハっ!殺してやる。いう事はそれのみだ。おい相棒出てきな。このイカれたあんちゃんをぶっ殺すぜ。」すると屋上から何かが飛び降りてきた。降りてきたのは同じく2mはあるでかい男だった。

「あいよ相棒、そして手加減はしねぇよあんちゃん。かかってきな。」二人は似ている。双子のようだ。不意に悠人が立ち上がった。何故だかさっきの傷は塞がりニヤッと笑っている。

「やっと本番みたいだな。なあ俺前にいったよな。この世界の形が変わったとな。この世界はもともと勇者と魔王とかいう奴らがいる異次元世界だったんだ。俺たちはその時の力をある程度発揮できる。」そういうと悠人は

学校の壁に手を当てた。悠人の指はミシミシと壁にめり込んでいく。悠人はその壁を思いっきり引き抜いた。

「これがその力だ。魔法なんてとっくの昔に消えちまった。だがまだ残っているスキルってのもあるんだぜ。」

 悠人は引き抜いた壁を敵に目掛けてぶん投げた。敵の二人はガードしたもののあまりの威力に、吹き飛んでいった。

「おーい敵さんよ。もう終わりかよ。しょうもねぇぜ。」そう言われて逆上したのか敵はすぐに悠人の背後に回り込む。悠人はすぐさま蹴り飛ばしあっという間に倒してしまった。

「ゴミ屑めがどうやら我々も真の力を見せるしか無いようだ。」二人はものすごい速さで動いた。そして叫び出した。

「死よこだませ。そして今こそ勘違い野郎どもに屈辱な死を。スキル!Stupid death!」

 すると急に体に違和感を感じた。急に体の内部から切り裂かれた痛みを感じた。足が急に震えだした。よく見ると周りに細い何かがものすごい速さで動いている。よく見ると細長い刃物だ。その速さは凄まじく刃物が細長い針に見えるほどだ。あっという間に目に見えるほどの量に増えている。動けない。

「悠人、どうすんだ。ここで死ぬのか……」

「ああ、そうかもしれねぇな。だがよ、それは俺たちが常識内にいた時のみに起こりうる最悪だ。俺たちは常識に囚われない。それはとても大切なことだ。」

悠人は袖から細長い試験管を一本取り出した。

「!な、何だよそれ。」

 いや悠人が出した試験官の中の液体は宙を舞い刃物の動きをせき止めてしまった。

「これが奇跡というものだ。人がいう奇跡とはそんなものだ。偶然や授かりし力を奇跡って言う。全くツマラネェな。」

 敵の二人はというと変わらず動じていない。

奴らは何を思いこんなことをしているのだろうか。

「俺たちの負けみてえなもんだから名乗っておこう。俺たちはアッダスとネス。君たちを殺しに……いや、助けに来た。」

急に悲しそうな顔をしたかと思うといきなりキレ出した。

「お前らが悪いのになぁ。俺たちを満足させることも出来なかったお前らがなぁ。」

アッダスとネスは再びでかい気流を起こした。さっきより刃物が多くもう外がほとんど見えない。

「くらいなグズのあんちゃん。あんたもまだ雑魚だったようだな。ここで終わりさ。」

 どんどん刃物が体に刺さる。何を思ったのか。悠人が手を繋いできた。

「ここで死ぬわけにはいかねぇよ。お前の力を貸してもらうぜ。いくぜ!」すると周りに赤い壁ができた。それはさらにデカくなっていく。だが刃物の動きは止まる事を知らず。

暴走し続けていく。

「いいか!負けてもいいなんて事考えたら戦いは終わりだ。死ぬまで戦え。そして勝つんだぜ。それが俺たちの生き方だ。」さらに刃物の動きは早くなる。しかし、真っ赤な壁はそれよりさらにデカくなり刃物の気流の動きをせきとめた。

「よっしゃー。最後のトドメだ。あ」

悠人は急に悲しそうな顔になった。あの二人は……倒れていた……というより首が曲げられている……死んでいた。あの屋上を見るとやはりあいつはいた。

「何故殺すんだ……お前の部下だろう?」 

悠人は意外にもキレている。

「そんな事を思わせるためにこいつらを送ったわけではないが、まあいいだろう。俺にとって強さは使いやすい代物だ。力を保持していない者なんて必要ない。死にたくなければ命がけで戦えばいい。そんな勇気も無い奴に生きる権利など存在しない。」

悠人はブチ切れそいつを倒しに校舎の壁をあっという間に登った。そして、登る時に掴んだのだろうか。校舎の壁の破片を持っていた。「くらいやがれ、俺の力見せてやるぜ!」

悠人は試験官の中身を破片につけた。そして投げつけた。

しかし破片は何も起こらず、奴は破片を手で受け止めて投げ返した。

「なっ!?」

悠人は吹き飛び、屋上から落ちてきた。

「ふぅー。いいだろう!お前らには確かに面白いものがある。生かしておくに損は無いだろうな。」

奴はその事を言い残すと再び消えた。いま思うと忘れていた事がある。さっきからなのかわからないが暗くなっている。あいつがボスなのかそうでないのかは気になるがそれと同時に何故暗くなっているのかも気になる。

「おい、何してる。早く助けてくれ。」

悠人が重傷なのを忘れていた。急いで向かって悠人を起こした。

「なんかさ、あいつに投げつけた破片……をつけて前に吹き飛ばしながら試験官を当てるはずだったんだ。でもなんできまらなかったかわかんねぇ。」あいつにも何か異世界の力があるのだろう。必ず奴を倒さなければいけない。そんな気がした。死んだ敵の二人の手には手帳があった。そこに書かれてあったのは二人の苦しみの過去、兄弟が歩んだ破滅の人生だった。結果としてわかるのは二人が精神の破滅の中に見出したのは狂いきった憎悪だった。手帳には書き記されていた。二人は……奴隷だったと。戦後、敵の奴隷は解放されるはずだった。

だが、農村部などは監視の目が行き届かないため。彼らはずっと閉じ込められていた。そして二人共餓死した…!

「死んでいるはずが生きている。」

死人が動くはずもない。

戦争もとっくに終わっていたはずなのだ。

呆然と俺はそこに立ち尽くしていた。


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