雷神の依頼 其ノ弍 後編
少し遅れました〜
第四層、キメラを倒した俺たちは
第五層に進もうとしていたーー
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「次が五層か…」
「あのキメラより強いんだよね…」
第五層に続く階段を抜けた先
そこには扉があった
「またボスなのか……?」
「連戦かよ…」
「気を抜くなよ!」
ガイが扉に手を添える
「行くぞ!」
ガイがその扉を開き
俺たちはその先へと進んだ
扉の先には一体の武者がいた
俺たちはその武者の放つ威圧に押されている
その武者は異常であった
筋骨隆々、その腕は丸太のよう
そして、何よりその額に生える角
そう、その武者は鬼であった
「鬼…!」
俺は武者を見て
不意にだが笑ってしまった
(嗚呼、また戦えるのか鬼と)
「ガイ、ここは俺が行こう」
「煉?!」
みんな、驚きの表情で俺を見る
そして、奴も俺を見定める
「キサマモ鬼カ…」
「喋るのか…」
「アァ…」
「悪いが、俺は鬼じゃないんだ」
「何ヲ言ウ、キサマノ内二居ルデハナイカ」
(こいつ、《六鬼神》の事を…)
「久々ダ、今コノ時ヲ
楽シマセテ貰オウ…!」
鬼が斬りかかってくる
俺は鬼の刀に合わせて
俺の刀を添える、そしてその力を後ろに逸らす
鬼は距離をとり一段スピードを上げた
凄まじい速さで俺との距離を詰める
俺もそれに合わせて速さを上げる
(そうだ…! この感覚だ…!)
俺はこの感覚を知っていた
(ゲームにデータが残っていたからだろうか
いや、違うな…)
俺はニヤッと笑い、呼ぶ
「来い! 《六鬼神・酒呑》!
《六鬼神・茨木》!」
それは、かつてのゲーム世界で戦った最大の敵にして、相棒達 ゲーム内最強と謳われた刀達
「蒼炎・酒呑、風雷・茨木!」
瞬間、鬼に蒼き焔と落雷、暴風が降り注いだ
そして、俺の手に二振りの刀が現れる
(嗚呼、懐かしい…
心が踊る、血が沸き立つ)
ゲームのスキルだけではない、
プレイヤー自体のスキル
その全てを合わせ持つ煉の戦い
それは、見る者全てが息を飲む程であった
蒼炎・酒呑で鬼の刀を防ぎ
風雷・茨木で切り伏せる
「アァ、キサマハ強カッタ……」
俺は鬼の胴を断ち切った
鬼が消滅していく
「ハハハ! 楽シカッタゾ!」
そう言葉を残し鬼は消えた
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「ガハハ! やはり凄いな! 煉は!」
「煉、強い…」
「煉くん! 凄いです!」
「流石! お兄ちゃん!」
みんなが褒めてくれている
ちょっと照れくさいがそれがとても心地よかった
「そのくらいにしておけ、次が第六層
最後だぞ」
木菟が場を引き締める
「次がラストか…」
階段を降りた先には大きな扉があった
「また扉か……」
やれやれと思いつつ俺は扉を開けた
「おぉ! 来たか!」
そこには雷神が居た
「見事だったぞ! 特に煉!」
「」
どう反応すればいいのか分からなかった
「ん? どうしたのだ?」
「……トールがここのボスなのか?」
俺はとりあえず、トールに話しかける
「いいや?
だが、お前たちはこのダンジョンを踏破したのだ」
(どうゆう事だ?)
「何やら分からない顔をしておるな?」
(そりゃ、分からないからな)
「本来ここは、宝物庫の役割をしているからな、そもそも第六層と言うのは無いのだ」
「は? そもそも第六層が無い?」
「あぁ、初めての挑戦者に褒美をやろうと思ってな、ほら、あれだ、特別ステージってやつだ」
特別ステージか…
「まずは褒美だ
皆に雷神のペンダントを
そして、煉! お前にはいい物を見せてもらった! お前にはこれをやろう」
そう言って、トールが俺に渡してきたものは
一振りの刀だった
「その刀の銘は雷銅」
「雷銅…」
「気に入ったか?」
「あぁ」
「よし! なら最後の試練だ!」
こうして、新たな刀を手に最後の試練が
スタートした
煉さんは、戦闘狂…
そして、急ですが
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