高校入学
ジリリリリ
目覚ましを止め
目を擦りながら階段を降りていく
「お兄ちゃん おはよぉ」
声がした方を見ると妹の詩音がいる
「詩音か、おはよー」
妹に挨拶を返し洗面所へと向かう
顔を洗いキッチンに行くと朝食が置いてある
詩音が作ってくれたものだ
両親は海外で働いていて帰ってくることが少ないため俺と妹の2人で暮らしている
「いただきます」
朝食のトーストとスープを食べて登校の支度をする
詩音は日直だからと先に家を出た
俺もそろそろ学校に向かおうと玄関へ向かう
玄関の鍵を閉め学校へ歩き出そうとしたしきだった
「蓮くん! おはよー!」
振り向くと
俺、藤咲 蓮の幼馴染である
姫野 美月がいた
「美月か、おはよー」
美月に挨拶を返す
「今日から高校生だねー
一緒の高校なんだしまた一緒に登校できるね!」
「そーだな」
「なんかてきとー!!」
頬を膨らませているが
贔屓目に見なくても美月は可愛い
(口には出さないが)
スタイルもよく、顔も整っているため
中学時代はよく告白されていた
(誰とも付き合わなかったようだが)
「それじゃあ、行きますか」
「むーー」
口に出してむーって可愛いかよ」
「ふぇ?」
「ん? どした?」
「い、今、可愛いって言った??」
「あ………」
どうやら口に出していたらしい
気のせいだろと誤魔化し
歩き始める
そこから会話もなく(気まづい…)
程なくして学校についた
星鏡高校
この辺でも有名な進学校
企業と連携したイベントが多くあり
そこも人気だと聞く
「あ、昇降口の前、クラス編成かな?」
美月の指の先を見ると確かに大きな紙が貼ってあった
「それじゃ、見に行きますか」
そう言い昇降口まで歩いていく
「なぁ、あれ」
「あの子かわいいー」
「俺、声かけようかな」
「男子の方もかっこよくない?」
「わかるー」
「付き合ってるのかな?」
周りが何やら騒がしいが
気にしないことにしてクラス編成を見る
1ーA
一個前に美月の名前がある事から
同じクラスだということが確認できた
「よかったー! 一緒のクラスだー!」
満面の笑顔でそう話しかけてくる
「それじゃあ、クラスに行くか」
「うん!」
クラスについて自分の席を確認する
まぁ、美月の後ろだけど
そこから10分ほど美月と話していると
先生が入ってくる
「よし! そろってるなー
今から集会だ! 私が先導する」
そう話す先生は
スレンダーな体型にメガネをかけた美人な先生だ
「よし、それじゃあ 向かうとしよう」
向かった先には広い講堂があった
校長先生の話と、
担任の紹介、部活動紹介の後
教室に戻ることになった
「改めて、担任になった
卯月 千代よ! 担当は国語
よろしくね!」
卯月千代先生は、おっとりとした感じの人だ
ちなみに先程俺たちを講堂に連れていってくれたのが副担任の荒井 乃々華先生、担当は数学らしい
次に生徒の自己紹介が始まった
次は美月だ
「姫野美月です!
好きなことはゲームをすることです!
後ろにいる 蓮とは幼馴染です!
よろしくお願いします!」
元気いっぱいの自己紹介だった
男子から凄い拍手が送られる
次は、俺の番だ…
「えっと…
藤咲 蓮です
好きなことはゲームで
美月も言ってた通り幼馴染です
よろしくお願いします」
無難な挨拶をして
次の人の番に移る
そうして自己紹介が終わり
今日は、解散となった
「ねぇねぇ、美月ちゃんて
藤咲と付き合ってるの?」
美月は、囲まれていて
男子からそんな質問を受ける
「付き合ってないよー」
そう返すと
「「「うぉーーー」」」
一部男子が盛り上がっている
「あ、でも好きな人はいるよー」
美月がそう言った瞬間
喜んでいた男子が
崩れていった…どんまい……
「蓮くん! そろそろ帰ろ!」
「あぁ、そうだな」
少しして美月が来たので一緒に帰ることにする
「ちょっといいかな?」
イケメンが近づいてくる
「俺は紫藤 瑛太
美月さんでいいかな?」
「いいですけど?」
紫藤は美月に用があるみたいだ
「美月さんよかったら
うちに遊びに来ない?
ゲーム好きなんだよね?
うちにVRMMOあるから一緒にやろうよ!」
そう誘ってきた
美月は
「えっと…ごめんなさい
今から、蓮くんと帰るので…」
「なら、明日とかは?」
諦めない紫藤
美月はこちらに目配せをして助けを求めてくる
「えっと、紫藤だったか?」
「君は?」
「 藤咲 蓮だ
美月の幼馴染でもある」
「幼馴染くんが何か用?」
「美月はうちの妹といつもいるから
基本放課後は遊ばないぞ」
「美月さん、そうなの?」
「はい! 蓮くんの家に行くので
遊ぶのはちょっと…」
「なら、仕方ないね」
そう言って紫藤は去っていった
帰り道
「あの、紫藤くんって人なんか
しつこかったね?」
「あのパターンは十中八九あれだろ
お前に惚れたやつだろ」
「そうかなー?」
「それでもし告白してきたらどーすんの?」
「断るよー
だって、好きな人いるしー」
「へぇ、好きな人?」
「気になる?」
確かに美月の好きな人って想像つかんな
「気になる、かな」
「えへへ、そっかー 気になるかー
ヒントはいつも近くにいる人だよ!」
近く?
俺? は自意識過剰か…
となると??
「あー、これは…
分かってなさそうだね…」
美月が呆れた声でそう言う
なんでだ…
蓮さん、自意識過剰でいいんだよ…