雷神の依頼 其ノ弐 前編
今回は前編です
雷神、トールの次の試練はダンジョン攻略というものだった
「ここか…」
俺たちは現在
山の中層部にある洞穴に来ている
メンバーは前回と同じだ
そして、俺たちは
ダンジョンへと足を踏み入れた……
~〜〜〜〜〜ダンジョン第一層〜〜〜〜〜〜
ここは一層、鉱石がほんのり明るく輝く洞窟
「トールが言うには六層構造らしいが…」
話をしながら、周りを《索敵》して
ダンジョン内を移動していると
グギャ? グギャギャ!
どうやら、敵のようだ
ゴブリンの群れが
俺たちの行く手を塞いでいた
中には杖を持った個体もいる
ゴブリンメイジだ
ゴブリンの中でも中級クラスで
魔法を扱うゴブリン
その魔法は生息場所によって変わる
この場合は…
「雷属性魔法のゴブリンメイジ…!」
「第3パーティはゴブリンメイジを!」
今回の編成は
第1をタンクとヒーラー職
第2をアタッカーと支援職
第3を遠距離職としている
以前の戦いを参考に編成し直したのだ
第3パーティがゴブリンメイジにダメージを与えていき、撃ち漏らしを第2が支える形だ
その間、第1は剣を持ったゴブリンを足止めしている
戦う度に効率化していくのだ
この後もいくつかのゴブリンの群れと遭遇し
俺たちは二層へと向かった
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第四層
「結局、第二層はセーフティーゾーン
第三層は一層とほとんど変わらずだったな」
セーフティーゾーンは
ダンジョン内の休憩できるスペースのことだ
スペースは1部の場合もあれば
今回のように全体の場合もある
そして、今の第四層は開けた場所だった
奥には扉、その手前には魔法陣が敷かれている
俺たちは扉に向けて歩き始めた
もちろん警戒をしながらだ
そして、魔法陣の上に足を踏み入れたその時だった
眩い光が魔法陣から放たれた
何かが来る!
瞬間、魔法陣の上には異形のものがいた
獅子、山羊、蛇の3種が混ざりあった姿
キメラがそこにいた
「散開!!」
木菟の指示が響く
「第3パーティはスタンメインの攻撃を!
第1は攻撃を防げ! ヒーラーは回復支援を!」
木菟の指示通り
第1、第3パーティは行動を始める
さて、俺たち第2はどうするのだろう
木菟の方を見ると目が合う
俺は木菟の言いたいことを理解し行動に移す
「第2パーティは俺に続け!
支援職はバフを!」
俺は指示を出すと
キメラの死角へと走り込む
が、そこで足を止めてしまう
蛇と目が合ってしまったのだ
後ろからは第2パーティーが着いてきている
「蛇は俺と紫音で請け負う!
他は遊撃に入ってくれ!」
俺と紫音は蛇と対峙する
尻尾の蛇は大きく人ならば軽く飲み込んでしまえるほど大きかった
(先手必勝!)
俺は飛び出し蛇を切った
つもりが、俺の刀は蛇の皮に阻まれていた
(付与無しの攻撃は意味無いかな…)
(なら、次は…)
「紫音!」
ずっと一緒に剣を習っていたからか
それとも、兄妹だからなのか
俺たちの攻撃はシンクロする
纏うのは炎
蛇を挟む形で俺たちは攻撃を放つ
「「《三雲》」」
三雲は三連撃を放つスキルだ
付与で炎を纏った状態での三連撃
それも俺と紫音、二人でだ
合計六連撃、その全てが蛇に直撃した
蛇が戦闘不能になり残るは本体部分のみとなる
「攻めろォ!」
ガイが場を奮い立たせ
キメラのHPを削り取っていく
「これで、終わらせてやらァ!
オラァァ! 《パワースラッシュ》!」
ガイの《パワースラッシュ》の一撃を最後に
キメラは消滅した