雷神の依頼 其ノ壱
少し遅くなりました
俺たちはトールに言われた通り
山の中層にあたる場所に来ていた
ゴツゴツした岩や尖った岩が無数にあり
無数の魔物が生息していた
だが、周りを見ても雷竜らしき魔物は見当たらない
俺たちは雷竜が現れるまで
この場の戦いに慣れるべく
近くの魔物を狩ることにした
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「そっちいったぞ!」
「タンクは受け止めろ!」
現在俺たちは、大きな鳥との戦闘をしていた
行動範囲が広くパーティ事に構えていないと
瞬時に移動し回復してしまう
「第1の方行ったぞ!」
鳥がこちらに向かってくる
その前に黒く長い影が横切って行った
影が過ぎ去った後には
鳥は消えていて
影が過ぎ去った方向からは
何者かの咆哮が轟いていた
「みんな、集まってくれ!」
俺は皆を呼び
咆哮のする方へと歩を進めた
Gaaaaaaaaaaaa!!!!!
咆哮が地を揺るがす
「来やがったぜ」
天から雷竜が降りてくる
無数の雷を纏った龍は堂々たる風格を持って
俺たちの前に現れた
「タンクは前へ!」
「受け止めろォ!」
「遠距離攻撃で翼を!」
「了解! 狙うぞ!」
Gaaaaaaaaa!!!
瞬間、雷竜が雷を放つ
無数の雷の矢
その全ては俺たちに降り注いだ
「何人やられた!」
「こっちは大丈夫だ!」
「すまん、こっちは1人HP全損だ」
「こっちもだ!」
(範囲攻撃、しかも2人に即死か…)
これは…まずい!
「一旦逃げるぞ! これは無理だ!」
俺たちは一旦山を下り
町へと戻った
町へと戻ると先程HPが全損した2人が待っていた
俺たちは急遽作戦会議を開く
議題は勿論、雷竜についてだ
「先程の範囲攻撃、あれは恐らく
雷耐性の低いものに即死効果を与えるものだ」
木菟がそう断言する
「おいおい、1回程度喰らっただけで
そんなこと分かるのかよ?」
「あぁ、これを見て欲しい」
木菟が俺たちに見せてきたのは
先程の戦闘ログ
戦闘ログは調べる事を得意とする
学術士系統の職業が見れるログのことだ
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雷竜の範囲攻撃
耐性の低い2名に即死攻撃
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と記載されていた
「これであの攻撃の正体は確定か…」
だが、これではまだ攻略としては
解決していない
「あとは、あの攻撃をどうするかだな」
みんなで考えていると
「あ」
声のした方へ目を向ける
目線の先には光姫
「光姫、どうかしたのか?」
俺は光姫にそう問掛ける
「れ、煉くん、あれ…」
光姫が見つめる先には露店
そこで俺の目にもあるものが見えた
俺は露店の商品を手に取る
(なるほど、これなら…)
俺は光姫の方を向き
感謝を込めて頭を撫で回した
はぅ…
と声が聞こえたが構わず撫で回した
その商品を買い
再び俺たちは雷竜の元へと向かった
山の中層
先程俺たちが戦った場所に奴は
雷竜はまだいた
「いくぞ!」
「《マルチショット》!」
「《ロックバレット》!」
「《チャージショット》!!」
遠距離攻撃が
雷竜の死角から放たれる
Guaaa?!
「タンクは前へ! 行動を封じろ!」
ガイを含むタンクたちは
雷竜の足元へと走り盾を構える
そして、雷竜の動きを封じることに成功した
「煉! 紫音! 頼んだ!」
その声を聞くと同時に
俺と紫音は雷竜に向かい走り出す
雷を避け 爪による攻撃をガイが防ぎ
その隙を縫って接近する
「《付与・火炎!」
「《抜刀術・炎戒》!」
俺と紫音の刀が雷竜にダメージを与える
もう一太刀と思い踏み込んだ瞬間
雷竜から咆哮が放たれる
俺と紫音は踏み止まり距離をとる
「来るぞ!」
Gaaaaaaaaaaaa!!!!
雷竜から無数の雷が放たれる
それは前の戦いで見せた範囲攻撃だった
「ガイ!」
「おう! 任せとけ!」
ガイが剣を外し
あるものを取り出す
「行くぜ! 避雷槍!
そして《完全防御》!!」
雷竜の放った雷が全てガイの元へと集まる
その隙に俺たちは雷竜へと向かう
そう、これが先程の露店で買ったもの
避雷槍、避雷針の役割を果たす槍で
見た目は見たまんまの避雷針だ
そこにタンクの真骨頂である
《完全防御》により20秒間の無敵が入る
あとは俺たちが倒すだけだ
「みんな! 最大威力のものを!」
「《パワーショット》!!」
「《火炎斬り》!」
「《陽炎の舞》!」
「《兜割り》」
「《居合・雷切》!!」
「《六鬼神・酒呑》! 蒼炎・酒呑!」
最大威力の攻撃が雷竜を襲う
程なくして雷竜は倒れた
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雷竜を倒した俺たちは
戦利品である雷竜の牙を持ちトールの元に来ていた
「おぉ! 持ってきたか!
ならば、褒美をやらんとな!」
そう言って渡してきたのは大きな石
「それは、雷の鉱石、雷鉄鋼!
雷を内包していて武器の素材にもなるものだ! 作った武器には雷属性が着くぞ!」
「おぉ! それはありがたいな」
「そうだろう!」
トールも上機嫌のようだ
「よし! ならば次の試練だ!」
次の試練…
「次は、この山にあるダンジョンを
攻略してもらう!」
どうやら次も一筋縄では行かないらしい
次回は雷神の依頼の二つ目
ダンジョン攻略です
そして、急ではありますが
次回は11月の最初の日曜日に投稿します