クエスト そして レベル上げ 3
次の日も俺達はクエストを進めるために
メルフ山に来ていた
ちなみにメンバーは昨日と同じだ
「今日もまた、あの猪?」
紫音が俺に聞いてくる
「いや、今日は山の反対側だ」
「反対?」
そう、今日はメルフ山の反対側
巨大な洞窟ダンジョンのある場所だ
「今日は、洞窟ダンジョンを攻略しながら
カーバンクルの魔石を集めに行く」
俺が今日の方針を説明したあと
俺達はメルフ山へと向かった
道中、ボブゴブリンとクレイジーボアを数体狩りながら俺達はダンジョン前に到着した
「でかっ」
ワダツミの1人がそう口にする
それもそうだろう
このダンジョンは王都リリュシオンよりも大きいのだ
「よし! 行くぞぉ!」
「「「おぉ!」」」
ガイの掛け声で俺達はダンジョンに突入した
このダンジョンは全7階層
地下へと向かうダンジョンだ
地下1階層、そこはジメジメした薄暗い場所だった
緋扇と木菟が《索敵》を行いながら
俺達は洞窟内を進んでいく
「ん、捉えた…
右の通路から、5体…」
ガイが前に出る
その後ろを紫音、俺と続いて行く
通路から現れたのはボブゴブリン
「奴ら!武器を持ってるぞ!」
ガイの報告通り奴らは武器を持っていた
剣を持ったもの棍棒を持ったもの
そして、弓を持ったものだ
「先に弓を持つ個体を潰せ!」
木菟の指揮が響く
俺と紫音は刀を抜き
剣や棍棒を持ったボブゴブリン達の間を縫うように抜き去っていく
抜き去った先には2体の弓を持ったボブゴブリン
俺と紫音は同時に刀を振るう
斬!!
ボブゴブリンが、ガイたちが息を飲む
俺と紫音の攻撃はシンクロしていたのだ
それも寸分違わず
俺と紫音は振り返り残りの
ボブゴブリンへと距離を詰める
光姫がハッとした様子で弓を射る
こうして、ダンジョンの初戦
ボブゴブリン5体を討伐した
その後は特に魔物との遭遇もなく
地下二階層へと突入した
地下二階層はクリスタルの結晶で出来た
神秘的な場所だった
俺達は気を緩めず歩みを進める
しばらく歩くと
「見つけたぞ
お目当てのカーバンクルだ
しかも、数が多い」
木菟がカーバンクルを発見した
カーバンクルは逃げ足が速い
魔術師と神官による
広範囲スタンの魔法が
カーバンクルにかかる
数匹はレジストして逃げ出したが
結構な数のカーバンクルが動けずにいる
俺達は素早くカーバンクルの息の根を止めていく
全てを倒しきり周りを見渡すと
紫音が壁を見つめていた
「紫音どうした?」
紫音は壁の一部を指さして
「お兄ちゃん、ここ奥に何かあるよ?」
と、言う
俺も指先をよく見ると
確かに隙間があり奥に空洞があり
俺は一旦みんなを集めた
「木菟、ここなんだが」
「確かに、この先に何かあるようだ
煉どうする? 行ってみるか?」
「多数決でもするか?」
冗談でそう言ったらほんとに多数決になった
「行きたい人!」
はい、満場一致で行くことになりました
だって、面白そうだったから……
ガイが壁を壊す
その先には多彩な結晶の塊
「きれい…」
光姫がそう呟く
「おい、あれ!」
ガイの示す先には宝箱があった
俺達は宝箱を慎重に調べ開ける
中には大きめな虹色の鉱石が3つ並んでいた
俺達は鉱石を宝箱から取り出す……
カチッ
何かが稼働した音とともに入ってきた通路が塞がる
「周囲に多数の反応あり!」
木菟が声を上げる
結晶の間から魔物が溢れてくる
ボブゴブリン、カーバンクル、
中にはボブゴブリンのジェネラルが出現する
「ここは……モンスターハウスか」
モンスターハウス
隠しの場所にごく稀にある特殊ステージで
モンスターハウスにある宝箱には
貴重な素材が入っていることが多いと言われていて
そして、1度攻略すると消えてしまう場所だ
「みんな! 陣形を組め!」
木菟が指示を出す
俺は支援魔法を自分に施す
かける魔法は
STR強化のブーストとAGI強化のクイックだ
強化した瞬間俺は魔物に突っ込んでいく
合間を縫い敵を切り刻み
俺の後を追い紫音も敵を切り刻んでいく
後衛職は俺達に回復支援をしたり、ガイたちタンクに守ってもらいながら漏らした敵を倒していく
「どんだけ湧くんだよ」
「敵減った気がしねぇ」
周囲からそんな声が漏れ始める
紫音が俺の背後に来る
「お兄ちゃん、キリがないよ!」
出し惜しみしている暇は無いか
「《六鬼神・酒呑》! 蒼炎・酒呑!!」
俺の前に刀が顕現する
俺が刀を取り一振りすると蒼き炎が
敵を燃やしていく
「みんな! 諦めるな! 俺に続け!」
俺は普段は言わないようなセリフを口にする
俺も気分がノッてきたようだ
「そうだな! 行くぞぉ! お前ら!」
みんなが俺に応え生き生きと戦う
「《レインボー・アロー》」
「《兜割り》!」
「《エリア・ヒール》!」
「《ブラスト・ファイア》」
「《大地断絶》」
各々が自分の力を見せる
いや、魅せている
周囲は敵だらけ たかが、ゲームだ
だが、俺達はここにいる俺達は
そうは思っていない
負けず嫌いなゲームバカなんだ
だから、こんな時だって笑っていられる
仲間がいるからだ
ならば、その仲間に恥じない自分でありたい
『スキル解放:《六鬼神・茨木》』
俺は目を見開く
蒼炎・酒呑を戻し
「《六鬼神・茨木》!」
みんなが俺の方を向く
「来い! 風雷・茨木!!」
何処からか雷鳴が鳴り響く
俺に近づこうとした
ゴブリンジェネラルを落雷が襲う
ゴブリンジェネラルは消滅する
残ったのは一振りの刀
稲妻と暴風を纏ったどこまでも白く輝く刀
俺は刀を抜き
魔物の群れに飛び出していく
一振り振るえば
暴風が襲い、電撃が迸る
俺は荒れ狂う風神、雷神のように
敵の尽くを倒し切った
敵を倒し終わったと同時に
俺達は強制転移され
ダンジョン前に飛ばされる
恐らくモンスターハウスが消えたのだろう
「煉…最後のあれは…」
緋扇が聞いてくる
「あぁ、《六鬼神》の2つ目
《六鬼神・茨木》だ」
「流石は、煉だな」
「お兄ちゃん! なにあれ?! すごい!」
「煉くん! やったね!」
「ありがとう」
みんな、モンスターハウスで疲れた(精神的に)ので今日は街に戻り解散となった
次はサンダーバードとヘルタイガーです