親友との出会い
クラウンフィールド・ソベルバレンタインです。今までとは違ったジャンルにチャレンジしてみました。読んでいただければ幸いです。
自分には守りたい人がいる。その人は自分の中で一番大切な人だ。大切な人であるからこそ「守りたい」という感情が生まれるのであろう。
守りたいものを守るためには手段を選ぶことなどない。そのために、何もかもを捨てて戦いに挑む。
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街を一望できる丘の上に、白く大きくそびえたつ屋敷がある。広い庭園に大きな門がまえ。この屋敷はこの街を支配する貴族が暮らしている。
「アルロンド様、お客様です」
「えっ?こんな朝早くに?」
この街を支配する貴族であるアルデリア家の跡取り息子であるアルロンド・アルデリア。朝食をとり、一休みしていると彼に客人が訪れた。
「お仕度ください」
初老の執事はアルロンドの身支度を手伝う。
「どうせレオポンドでしょう」
「左様でございます」
レオポンド・J・トルネーゼはアルロンドとは旧知の仲である。同い年でもある彼らは乗馬や剣術など、貴族としてふさわしい教養を身に着けるべく日々切磋琢磨しているような関係だ。
アルロンドは身支度を終え、レオポンドのところへ向かった。
「やあ、アル!今日は遅いじゃないか」
「アポなしで来られちゃ準備なんてできるわけがないだろう。まあ、いつものことだが」
「日々の生活でも気を抜かず日々鍛錬に励むのが貴族のあるべき姿だ。」
レオポンドは高い声で笑いながら言った。
「で、今日は何の用だ?」
「今日は馬に乗って山へ行こうと思うんだ」
「この寒い中?」
11月も終わろうとしている今の季節、ほとんどの人は馬に乗って山へ行こうとは思わないはずである。しかし、彼の考えは違っていた。
「貴族たるもの、暑さ寒さに負けてはならないのです。とっとと行くぞ!」
早朝であるのにもかかわらず非常に元気なレオポンドとやれやれといいつつも彼についていくアルロンド。
そんな中の良い彼らであるが、過去に大喧嘩をしたことがあった。いまからそれは今から2年ほど前、彼らが12歳のころの出来事であった。
「貴様それでも貴族か!」
「貴族の両親から生まれたんだから貴族だよ」
二人は手に剣をもちあわせ、お互いを睨みつけている。彼らの周りには、彼らの決闘を一目見ようとたくさんのやじ馬が群がっている。
「家系は貴族にとって重要なことだ。しかし、それに甘んずるということは恥ずべきことだとは思わないのか!?」
「誰が貴族になるかは家系が決めることなんだからそのことについて誇りを持つとかこういう感情は浮かばないよ」
「貴様!」
レオポンドは剣を振り上げた。するとアルロンドは、レオポンドの攻撃を避け、反撃した。
「別に貴族に必要な最低限の技術は身に着けているんだから、他人に何か文句を言われる筋合いはないよ」
アルロンドはレオポンドの喉元に剣を突き付ける。すると一人の少女が、
「やめてよアル!ここまですることはないでしょう」
と、瞳に涙を浮かべながら叫んだ。
「いや、だってこいつが」
アルロンドはレオポンドから目を離して言った。するとレオポンドは、
「すきを見せるくらいじゃ所詮貴様はその程度だな」
そう言って彼はアルロンドを吹っ飛ばし、この場を後にした。
「卑怯な技を使いやがって……」
アルロンドが立ち上がろうとしたとき、
「もういいでしょう。こんなことやったって意味ないよ」
少女はアルロンドの腕を引っ張りながら言った。
「いや、でも」
「彼を挑発したのはアルでしょう。悪いところは悪かったって謝りなさい。そうすればもうこんな非生産的な争いは起こらないのです。」
「まあ、エリスがそう言うのなら……」
アルロンドの恋人「エリス」のアドバイスもあり、彼はレオポンドに謝ることができた。すると、二人は親友といえるほどの仲になっていった。
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