2話
「そういえば楓はどんな武器を使おうと思ってるんだ?」
「シン、こっちではちゃんとスリフって呼べよ。リアルの名前呼ばれるとせっかくのVRゲームなのに世界
観に没頭できないだろ?」
ちなみにこのゲームの世界観としては中世ヨーロッパだ。地球の2倍程の大きさのフィールドらしい。従来のものは、地球で言うとアフリカ大陸と同じくらいまでが限界らしいので比べてみるとブレインギアがどれほどすごいのかが分かる。
「おう、わりいわりい。で?何の武器を使うんだ?」
「俺は刀かな。でも戦うより生産をメインでやっていくつもり」
「生産かよ!お前生産に興味あったっけ?」
「うん。じいちゃんが鍛冶師だったから俺もゲームでやろうかなーって」
楓の祖父はもうこの世にいないが、長野で鍛冶師をやっていた。子供のころ、遊びに行ったときによく見学したりしていて少し憧れのようなものがあったのだ。
「そっか~。せっかく一緒に戦えると思ったのにな」
「あくまで生産がメインなだけで戦闘はまったくしないわけじゃないからたまには一緒にパーティー組ん
で戦おうぜ?」
「なら良かった!じゃあまずは生産者組合の登録だな!」
「ああ。早速行こうぜ!」
生産者組合とは、生産をやるプレイヤーにとって非常に重要な場所だ。
主な役割の1つが、生産設備の貸し出しである。いきなり鍛冶やるぞ!防具作るぞ!といっても設備がないと何もできない。自分の工房を建てるまでは、そこで生産するのである。
次に素材の販売である。プレイヤーたちがとってきた素材は、冒険者組合と呼ばれる主に戦闘をメインでプレイしているプレイヤーたちが所属している組合で買い取られ生産者組合で販売される仕組みだ。生産をメインでやっている者は、自分で素材を取りに行けないため、このシステムはなくてはならない。
他には、賃貸のように工房付きの家を貸し出したり、販売したりしてくれるのだ。
主な役割はこんなものだ。
シンに案内されて約10分。ちょっと寄り道したりして人でいっぱいの街を歩いていると、シンが大きい建物の前で止まった。
「着いたぞ。ここが生産者組合だ。だいたい各町に1つあると考えていい。まあ、無いところもあるがな」
そんな紹介を受けながら大きなドアを開けて中に入ってゆく。
パッと見、そんなに混み合っていないように見える。
「なあ、シン。もう少し人がいると思ったんだけど結構少なくない?」
「みんな冒険者組合の方に行ってるよ。そんなに生産は人気じゃないみだいだ」
「まあ、みんなせっかくの新しいVRゲームを買っといてわざわざ生産やりたい人はそんなにいないか」
そんな話をしている間に受付の前の列に着く。受付には20代くらいの女性が5人くらい並んでいて一番空いているところに行く。5分位待つとスリフの番が来た。
「こんにちわ。本日はどのような御用ですか?」
「組合に登録したいのですが」
「かしこまりました。では、こちらの水晶に触れてください」
言われたとおりに手を触れると、サッカーボール程の水晶が淡く光りだした。しばらく経つと光が消えた。
「それでは手を離して大丈夫です。登録が完了しました。こちらのカードをお受け取りください」
すると鉄製のカードが渡された。カードには、名前、ランクが書いてあるだけだ。
「工房を使う際や、素材を買い取る際にこちらのカードをご提示ください。なお、作った武器や防具が自動的に記録され、その完成度や数を総合的に評価しランクが上がります。ランクは5つあり、下からアイアン、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナです。ランクが上がると、より高いランクの工房の貸し出しが許可されたり、武器の製作依頼がくることがあります。また詳しいことは、分からなかったらお聞きください。説明は以上です」
「わかりました。ありがとうございます」
「次はどーする?」
「一応冒険者組合も登録しとこうかな」
そうして俺たちは生産者組合を出た後、すぐとなりの冒険者組合へ向かった。ドアを開けると多くの人が酒場のようなスペースで食事をとったり、さわいだりしていて、受け付けはというと長蛇の列ができていた。
「いやいや流石に多すぎだろ。何分かかんだこれ?絶対受付増やしたほうがいいだろ」
「結構かかるんじゃないか?生産者組合の人気のなさがよく分かるぜ」
シンと雑談しながら待っていてスリフの番が来たのは約30分後だった。その後は、生産者組合と同じで水晶に手を当て説明を聞いて終わった。説明で重要だったのは、クエストのことくらいでランクとかは生産者組合と同じだった。登録が終わるとせっかくなので休憩がてら酒場でなにか食べることにした。スリフはフルーツタルト、シンはオークのステーキを頼んだ。
「スリフ、この後クエスト一緒に受けてみないか?」
「別にいいよ。せっかくだしやってみるか」
『お待たせしましたー!オークのステーキとタルトでーす!』
スリフは、元気よく運ばれてきたタルトに舌鼓をうつのであった。
まだまだ短いですね




