6.新たなフィールド
作者スキル!ご都合主義発動!
とか置いていっていいのでゆっくりしてってくださいね!
森を後にすると決めてから半日近く歩き続け、ついに新しいフィールドへたどり着いた。そこは露骨な感じが拭えない洞穴。私はその入り口にいた。きっとここには蝙蝠系のモンスターや岩系のモンスターらがたむろしているだろう。中に水辺があれば海獣系や耐水派生のモンスターもあり得るか。
さて。踏みいるか。
私は再び決意に満ち溢れ、その洞穴へと足を踏み入れた。
洞穴に入ってすぐに感じたのは、ひんやりとした風が洞穴内部からこちらに突き抜けていく感覚だ。どうやら水辺か風流地帯があるようだ。もしかしたら氷洞に繋がっている可能性もある。まぁそれはここでは断定できやしないし、なにか面倒があれば引き返せばいい。焦って迷子にでもなったらもう終わりかもしれないからね。
洞穴は意外と直線の道であり、たまに分岐点があるというレベル。私は分岐点を寄らずひたすら直進していっているが、まだモンスターには遭遇していない。直進を続けていると、ついに水源の池を見つけた。これが恐らく水辺。風の原因であろう。この場所にはモンスターも巣くっているが、私を見るなり突然攻撃してこようという気性の荒いモンスターはいないようだ。正直助かる。見る限りは私より少し小さめのネズミや、天井にぶら下がっている蝙蝠、そして池の中で水浴びをしている孔雀………えっ……クジャク!?
私は体を震わせてその孔雀の説明をしてもらう。
慎飢苦雀(ランクD)
外敵を見つけると羽根を広げ威嚇する。その羽根が広がると、即死の癪気が広がり、人を殺めるという伝えがある。
絶対こいつやべぇ。勝てねぇ。私がモンスターの姿をしてたのが幸いだったかもしれない。サイズ的も首から足までで私の3倍近くある。それで首や目、足までも黒い。後ろの羽根は閉じていて、こちらを外敵とはまだ思っていないようだ。良かった。進化系統は雛ひよこからだろうか?禍々しくなりすぎだろあのひよこ。Dランクとは思えない成長っぷりだよ。なに?Dランクってそんなヤバイの?確かにデ○ートデーモンとかドラゴンみたいなデカイ奴はDランクだったけども!けども!
例えばストーリー上の対面では絶対勝てない奴っているじゃん?ランクに差があって全滅必須レベルに強いやつ。下手したらそこのボスなんかより全然強い奴。そういう奴なんじゃないかな?このクジャク。勝てる見込みねえもん。見た目は黒い普通のクジャクって感じなんだけど、私のサイズも仇になってクジャクから発せられるプレッシャーってのが半端じゃない。
私はとぼとぼとその場を離れ、もと来た道へと後戻りする。変に迷子になるわけにはいかなかったので、寄り道はしてない。洞穴から出るとまた見慣れた森。はぁ。行き詰まりを感じる。私は森を抜けるべく再び走り出した。その道中にいたコオロギの頭をまた粉砕していき、バッタバッタと倒していく。しかし経験値が渋い。12という経験値は貰えているが、一向にレベルが上がらない。これで4体目になる。レベル10を越えたあたりからか、レベルアップに必要な経験値が5割増しくらいで増えている。
いい加減コオロギ狩りも飽きたなぁ。もっと良い獲物はないものか。私はもとが人間であったとは思えないようなことを考えてたらしい。……そういえばレベルアップの果実があった気がする……けどやめよう。ここは自力で乗り越えたい。
〉〈
ギャウ!ギャウ!グルルルルアアアアア!!
私は今、紫色の体毛が目立ついかにも地獄の使者よろしくな犬に《ペイルドレイン》を撃っている。このスキルがAttack減少という効果だったので、賭けに出てみたのだ。この犬の説明文をここに記載しておく。
アメジスト・フォクシー(ランクC)
あまりの獰猛さから鎖に封じられた地獄の犬。今にも鎖から解き放たれるかのように暴れるが、体力がなくすぐに疲れてしまう。
本来であれば絶対に勝てないCランクモンスター。こいつが何処からか突然全速力で駆けてきて死にそうになった。運よく当たらなかったうえに、奴が息切れしていることがわかった。奴の首輪には十字の飾りが施されており、宗教関連の有事に使われていたことがわかる。奴の説明欄には宗教関連のことは一切書いてなかったからな。そしてこの見た目だ。悪い奴オーラがぎゅんぎゅんする。そしてこの中途半端な消耗の仕方は……さては見習いの昇格試験かなんかに使ったな?もし本当にエリートらが奴を討伐目的で使ったなら、きっと奴は死んでいたはず。なんにせよ運がいい。私が狩る。という結論だ。
私は奴の背中に乗り、口で噛みついてやる。恐らく大したダメージにはならない。ペイルドレインは噛みつき攻撃と何ら変わらず、ちょっとショックを感じたが、これで粘れるだけ粘れるというのなら話は別。この戦法、いいな。奴は私を振りほどこうと体全体を揺らしまくる。まるでロデオだ。時々だが意識が飛びそうになる。物凄い頭が揺れる。奴を倒せるにはどれだけの時間を要すだろうか?見習いさんたちがどれだけ奴を消耗させられているかにかかっている。息切れしてるということは長い時間戦ってたことは伺えるが、Cランクのモンスターの能力がどれ程のものかはまだ私には到底理解しようがない。体力がないと一言で言われても、きっと今の私より体力は多いことだろう。そうするとAttackの数値はどれ程のものになるだろう?100を越えるだろうか?最悪200を越えてるかもしれない。奴のレベルと体力の数値に賭けるしかない。私はただ噛みついて奴の背中にしがみつく。
ギャウルルルルルルルル!!
奴の威嚇が身を震えさせる。その吠えは明らかに私に牙をギャリギャリ向けている。もうかれこれ1時間近くこれを続けている。くそっ!早く倒れろ!倒れろ!倒れろ!私は早く奴が地に伏すのを願いながらひたすら噛みつき続けている。mpはもう剥げたので、ペイルドレインでこれ以上奴のAttackを減少させることは不可能だ。どこまで減っているのだろうか?私は不安になりつつもただひたすらに噛む。歯がどうにかなりそうだ。
……というか、効いているのか?
パッ……
あ、やべ。不安を露にした瞬間引き剥がされた。私の小さな体はぐるりと宙で回転し、地面に叩きつけられる。ぐふぅ………めちゃくちゃ痛い。意識が朦朧としてきた。しかも奴は私が離れたと見るやこちらを睨み吠えた。……やっべー(汗)これ完全に敵意むき出しじゃないですかやだー………。
そして奴がこちらに向けて紫色に染まった牙を振り下ろそうとする。その時、奴は吹き飛んだ。
茂みから出てきたのは金髪のロングヘアーで高身長(今の私から見れば全部高身長だが。)の中性的な人だった。透き通るような青い瞳に異様に尖った耳。更に冒険者という感じがする緑と白の服装に身を包んだ人だ。ってこいつリ○クじゃねぇか。ちょっと表情は柔らかいし、違うと言えば違うけど。
……とそこで私の体は限界を迎え、意識が暗闇に閉ざされた。
リ○クじゃないですよ。