4.私の姿
疲れた。意外と時間かけたねー
活動報告でもしようかな?←迷惑
獲物(敵)を探している内に、私は川を通りかかった。もちろん私は石なんかに興味はないので拾いには行かない。行くわけない。そこ。期待しない。ちょうど喉が乾いていたので川の水をちょろりと飲む。そして気になったので水面に顔を出してみる。
私の顔は丸く見開いた黄色の瞳に、人を小馬鹿にしたように笑みを見せる口。にかっという表情をしていて真っ白い歯がみえる。口を開けると人間であったときよりも長いと感じられる舌が目立つ。あとは人間の口内機構と変わりはない。体色は黒。体つきは垂れ耳の手乗りラットのような感じだ。形は可愛いが、顔つきが残念。小悪魔系なんとかのアクセサリーかなんかで人気になれ...いや。この話はやめとこう。
とりあえず私の体つきがわかったし、何処を動かせばいいかもわかる。そんなわけでまたレベルアップをしていきたい。
〉〈
〈ドンッ!〉
私の渾身のタックルが水辺にいたコオロギの頭へ命中し、その頭が粉砕される。私は当然無傷。カレハ蝶を倒すよりかはこちらの方が3倍マシなのでコオロギを率先して倒すようにしている。これは3体目を倒した頃にわかった話だが、横腹にタックルをかますより、頭を粉砕すれば効率よく倒せることがわかった。頭が簡単に粉砕出来るので、無力化も簡単だし抵抗させる間もなく狩れる。
《Expを12獲得しました。ゲドウのレベルが8になりました。進化先、ドゥクサーを解放しました。未解放は血濡れのナタ、ラットマミー、ボーンドランです。》
どうやら進化を解放したようだ。1種類だけ。未解放も含めてこれはアンデットコースだな。まずい方面にいってしまったか。とりあえず、またそれぞれの説明文を見ることとしよう。
ドゥクサー (ランクE) Defense↑Attack↓
緑色のヘドロの体色をしたモンスター。物理方面よりも毒性魔法を使うようになる。
血濡れのナタ (ランクE) Attack↑Defense↓
返り血を浴びすぎてモンスターと化したナタ。対モンスター、対人用の物理攻撃を覚える。
ラットマミー (ランクF) Speed↑Vitー
死んだラットに包帯が巻かれ、モンスターと化した。このモンスターが住み着いた住居は廃屋となる。
ボーンドラン (ランクD) Attack↑speed↓
過酷な環境に耐えられなくなり、命を絶ったドラゴンの成れの果て。素早くはないが高い耐久を持ち合わせる。
………成程。本格的に人間への道は閉ざされた訳か。本当にアンデットの道を歩むことになったなこりゃ。引き返すなら、ボーンドランからのドラゴン化か、ラットマミーからの獣化か。血濡れのナタは最後どうなるかわからないが、ドゥクサーなんかになったらそれこそ終わりかもしれない。
とりあえず、ドゥクサーの道はやめよう。私は現在なれないモンスターへの進化条件を見ていくことにする。
血濡れのナタ
レベル9以上。Attack実数値20以上。
ラットマミー
レベル8以上。Speed実数値25以上。
ボーンドラン
レベル23以上。Attack実数値25.Defense実数値45以上。
こうしてみると血濡れのナタが一番簡単そうだ。ボーンドランは諦めよう。今のステータスじゃいつまでコオロギ狩りするかわかったもんじゃないし、きっとこいつはゲドウルートからでは厳しいのだろう。
理想ルートはガッツドラゴン→???→ボーンドランだろうか?いや、確かドラ○エだと、Dランクのドラゴンがアンデット属との配合で変化できたと思う。そのアンデットドラゴンもDランクだったはず。こちらでもF→Fという変化が可能である以上はそのケースだってあり得るかもしれない。
話を戻すと、ボーンドランはダメだ。ラットマミーor血濡れのナタ。私の理想の最終形態はまだ考えてもいないけど、アンデットは避けたい。どうよ、中身が女の子のアンデットモンスター。これがもしいいと思うなら眼科と精神科へとボッシュートしてやる。
ラットマミーのランクはFランクと書いてあった。つまりspdだけあがってあとは変わらない可能性がある。そういうのは進化する以上は避けたい。進化=強いってそれ一番言われてることだから。となると私は血濡れのナタになるのか。それはそれでやだな。
今のステータスを見てみることにする。
ゲドウ(ランクF)
LV8/50
vit18/18
atk18(0)
dif14(2)
spd18(1)
ma 9(0)
mp 13(0)
魔法ダークⅠ
生涯スキル 急所Ⅰ
ちょうどレベル9で進化できそうだな。他の能力もいい具合に上がってきているが、Defenseの上がり具合だけ少し悪くなってる気もする。これが限界か。まぁ仕方ない。そういやこの急所Ⅰという生涯スキル、いつ入手したんだろうか。このスキルの説明をしてもらう。
急所Ⅰ:相手に攻撃したとき、クリティカルが発生しやすい。
その名の通りだった。多分コオロギの頭部を粉砕しまくった結果だろう。あれ一撃だったし。スキルも合間ってこれは血濡れのナタになるしかないな。うん。
私の横にはなにも知らないコオロギが1匹。よし。アイツを狩ろう。そう飛び出そうとして、何か悪寒を感じて飛び退く。コオロギの後ろから何かが忍びより、そして食らった。コオロギは頭やら触覚やら前足やらをじたばたさせているが、後ろ足がないのと、体の7割近くが奴の口の中ということもあり、出ることは敵わない。私がコオロギの頭を粉砕するより早いか、奴はコオロギを食い尽くしてしまった。私は奴の姿を捉えた。白よりのグレーの体毛をしたシマリスのような生き物。リスということもあってか私より大きい。尻尾がくるるんと巻いてあって可愛い。クヌギネズミの進化後にも似た姿であろうか。奴の詳細を明記してもらおう。
プレーンモット(ランクE)
植物を食べる温厚なネズミ科から一転し、肉食となったリス。昆虫を好むが、その気になればひよこなどの鳥類も食す。
初めてみたEランクのモンスター。さらに獰猛な肉食獣。今の自分から見れば恐怖でしかない。自分と大差ない大きさのコオロギを丸のみに近いかたちで食べたのだから強いに決まってる。
勝てない。
ここは戦略的撤退をするべきか。それとも戦う?幸いリスはまだ私に気づいてない。逃げるなら今だ。spdだって腐っても蛹の4倍以上だ。仮に戦うとしたらどうやって戦う?今の私のタックルは恐らく効かない。じゃあダークⅠで攻めるか?それだと限りがある。さらに10も越えていないmaから放たれる魔法は果たして効き目があるのか。
無理だ。じゃあ今あるEランクのドゥクサーに進化するか?それなら魔法攻撃で仕留められるかもしれない。かもだけど。アイツのステータスが見れない以上、確信は何処にもない。そして進化条件が簡単なドゥクサーにその後の希望は恐らくない。ラットマミーは論外だしナタにもなれない。なら。
逃げるか。
何を迷っていたのだろうか。アイツを狩れる何て言う期待でもあったのだろうか。バカも休め休め言え。勝てるわけないだろ。ランク上同格のコオロギが一撃でいとも簡単に食されてるのをこの目でみただろ私。
私は持てる限りの全速力で奴から逃げる。その時の音で奴は振り向いてしまったらしく、大きな金切り声をあげる。
やめろ。くるな。怖い!怖い!振り向くな私。奴の声がほんの少しずつ大きくなってる気がする。こっちに確実に近づいてきてるのか。直線で逃げても追い付かれる!!だったら曲がりくねってちょこまか逃げてやろう。私は草をかき分け岩の割れ目から逆側へ飛び出してこれでもかとちょこまか逃げている。それにしても奴の金切り声は聞こえてくる。近くにいるのか?
「きしゃーーーー……」
いた。これはどうしようもない。同じ個体かどうかなど関係ない。プレーンモットと鉢合わせてしまった。これもう終わっただろ。ナタに進化することは敵わない。この距離から逃げることは敵わない。なら……
ドゥクサーに進化するしかない。
次回進化するのだろうか!?
また次回もゆっくりしてってくださいね!