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プラネタリウムの恋  作者: kei
1/6

1 ペデストリアンデッキ

前作「萩の夢」をご愛読ありがとうございます。

本作はこのシリーズの展開です。

ひきつづきご愛読お願いします。

 ブックマーク登録や感想などお待ちいたします。


それとちよっとエッチなエピソードはR18ノクターンノベルで、お楽しみに・・・

 最近、本を読んでいない。

現実がストーリーを凌駕している。だとすれば、哲学が改めて求められているのだが、

21世紀の哲学とは何をどこへ導くものなのか。

 過去の偉大な哲学者たちが唱えた宇宙と人類の思想は、20世紀に量子力学レベルでその論拠を獲得した。

一方、宗教として人知を超えた世界観を思想と対峙させたのはバイオテクノロジーが解き明かしたDNAの連鎖である。

 宇宙と生命。両極と考えられていた分野が、あるキーワードで関連づけられている。

 我々は何のために、どこに向かおうとしているのか。この、普遍にも見える命題は依然としてその解を覗かせすらしない。



1)

「…地球温暖化の最終章に準備されているシナリオがある。

海底のそのまた奥に眠っているメタンの塊が爆発的に噴出する。

人間の造りだすオゾンや二酸化炭素はその導火線にすぎない」


「ねえ、そうなると地球はどうなっちゃうの?」

「う~ん、温暖化が劇的に進んで極地の氷が溶けだしてくる」

「それで?」

「海面が数十メートル上昇して、日本は海の底…、ジュラ期に逆戻り」

「そーすると、また恐竜が現れるとか…」

「判らないけど、生態系は激変するだろう」


その話を聞きながら、食べていたチーズバーガーのレタスを呑み込んだ妙子は空を見上げた。

薄暗い空からは今にも雨が降り出しそうだ。

「ね、おじさん。いつもそんな難しいこと考えてるの?」

「いつもじゃないけどね、よく考えるよ」

「ふーん、大変だね」

「それが仕事だからね、それより君はいつも何してるの」

「おじさん、その君っていうの止めてくんない?センセみたいでヤだ」

「じゃなんて呼べばいいの?」

「タエコ」

「え、ほんとに?本名?」

「悪い?」

「いや、君…じゃない、タエコの年代にしてはめずらしいかと」

「そーだよ、何考えてたんだかうちの親は」


 足元の乾いたアスファルトにポタリと雨粒が落ちてきた。

駅前のペデストリアンデッキの植えこみの陰にベンチが置いてある。そこから勢い良く立ち上がると、

「おじさん、またね…」と離れようとした妙子におじさんは声をかけた。

「時間、ある?」

「え?」

「あ、その誤解しないでほしいが、時間あるならもう少し付きあってくれない?」

「面倒なのヤだよ」

「この街にプラネタリュウムがあるかな?」

「え、あの星が映るやつ?」

「そー、知らないかな」

「科学館にならあると思うけど…何で?」

「うん、時間が余ってね、プラネタリュウムが好きなんだ」

「へー、変ってるね」

「本当は、本物の星を見るほうが好きなんだけどね」

「地下鉄で行けば15分くらいだよ」

「ありがとう」

 おじさんは鞄を手に、駅の方に歩き出した。ベージュのコートの背中が少し傾いている。

 妙子はつい先程、駅中のハンバーガーショップ前で声をかけてきたそのおじさんと、時間潰し程度になんとなく話をしながら食べていたチーズバーガーの袋をゴミ箱に放り込むと駅と反対方向の繁華街に歩き出した。しかし、すぐに誰かに止まれと言われたように立ちすくんだ。

 左足を軸にして半身だけ振りかえると、少し遠くに傾いたベージュのコートの背中が見えた。短めのダッフルコートに突っ込んでいた右手を、不機嫌そうだといつも言われるあごに持っていった。

『なんだかな~』ひっかかる。そう思って元来た方に小走に戻ると少し斜めになったコートの背中に追いついて声をかけた。

「おじさん…」

「え?あ、君じゃなくてタエコ、どうしました?」

「暇だから付き合ったげるよ、プラネタリュウム」

「そうですか、ありがとう」

二人は肩を並べて地下鉄駅の入り口の階段を降りていった。

 薄暗い階段を曲がると少し先に明るく駅の改札が見えた。まばらな人の流れが途絶えて、ぽつんと二人しかいない空間になった。

「どこまで買いますか?」

「科学館前…」

おじさんは二枚分のボタンを押して切符とつり銭を取り、切符を妙子に渡した。自動改札を通りホームに降りる階段に進むと生温い風が吹き上がって頬をなでる。電車が行ってしまったばかりなのかホームには人影が無かった。やがて左手の暗闇から電車が近づく音が聞こえ、レールと車輪が軋む音や減速する低いモーターの音が大きくなってきた。

 銀色の車両がホームに滑りこんでくると一番最後の車両が目の前を通過した。 いつものように停車しているはずなのに、妙子が見つめていた足元から視線を上げると停車しているはずの車両は無く、薄汚れたコンクリートの壁が在るだけだった。

「あれ??…、何、地下鉄、止まらないでいっちゃっ…」

通りすぎて行った方向のトンネルを見たが妙子の目には何も見えなかった。

 その時シュ…と音がして、反対側から別の物、少なくとも地下鉄の車両には見えない淡いピンクの光を放つ卵型の物体がホームに滑りこんできた。おじさんは別に驚くそぶりも見せず右手をすーっと前にかざした。卵の表面に光の変化が起こりさざなみがたったようになると、おじさんは妙子の手を引っ張って中に進んだ。

中からは今通りぬけた部分からホームが見えたが、すぐにそれは消え正面に地下鉄の線路が見えた。

 小さく振動したような気がしたとたんに正面の風景がグニャリとゆがんだ。一瞬めまいがしたが風景は消え虹色の光に包まれた。

秋ですねー、旅行、行きたいな~


少しスローペースになるかもしれません。

13時に投稿予約は入れてるのですが・・・


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