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不器用な俺と王子様  作者: korone
9/29

気になる気持ち side朝比奈 悠宇


聡太が急に俺の事を見ていたって言い出して。


その言葉に、なぜか俺の心臓はドキリとして胸が少し苦しくなる。


なんでこんな気持ちになるんだろう・・・


そうだ、聡太の言葉はストレートだから、他意は無いのは分かっていても無意識に照れてしまうんだ。



俺は元々赤面症で、色が白い方だから赤くなった時にすごく目立つ事で昔は良くからかわれていて、子どもの頃に発表のたびに赤くなる俺にクラスメイトが「りんごりんご」って騒ぐのが嫌で必死に克服しようと頑張っていた事を思い出した。



自分がしゃべってるんじゃない、俺は今テレビ画面を見ているんだ、

皆、画面越しの向こうにいるんだっ・・て、

必死に暗示をかけ続けて今ではすっかり克服したと思っていたのに。



耳まで熱く感じるの、久しぶりだ・・・意識すると益々赤くなってしまう・・・・・



それに、今まで男相手にこんな風にドキッとすることなんて無かったから、戸惑ってしまう。


教室に入ってくる姿、森田君にいじられている姿、ふと視線が合う瞬間、


どうしてこんなに気になるんだろう。


だいたい、友達になりたくて自分からあんなに動いたのも初めてだった。



俺、おかしくなったのかな・・・

こんなに真っすぐに見つめられた事がなかったから、単純にドキドキするのか・・


もう、自分が分からない。



うまく返事が返せず黙っていると、目に見えて落ち込んだ様子になる聡太。



聡太は何事にも我関せずで飄々としているように見えて、意外と繊細なんだという事に最近気がついた。


カッコいい癖に、しゅんとした表情はなんだか可愛くて。


そんなギャップも俺は好きなんだけど、自分のせいで落ち込ませるのは嫌だ。


何か返事がしたいのに、

自分の聡太への感情の整理ができなくて、言葉が出てこない・・



「なんなの聡太、聡太に心配されるようじゃ、朝比奈君もお終いだよ!

ね、朝比奈君?」



「え?あ、、、そんな!嬉しいよ!

お気づかい、どーもです!聡太!」


「お、おう」



あははは、と、笑いながら、なんとかおどけて返す俺。


その場は森田君がちゃかしてくれて、気まずくならずに済んだ。



聡太は、ちょっと屋上で話しただけなのに、俺の事を気にかけてくれている優しい人だ。


見た目はクールで他人に興味が無いような雰囲気だけど、全然違う。



そうやって笑い合っていると、昼休憩はあっという間に終わってしまった。


もっと聡太と話してみたいのに・・・。


5限目は体育だから、女の子達は更衣室に移動するんだけど、男子は教室で着替えるから、女の子がいなくなってからまた少し話せるのが嬉しかった。



聡太が森田君にちゃかされながら体操服に着替えている。


二人はすごくいいコンビだ。


小さい森田君が、大きい聡太をいじめて?いる姿はなんだか微笑ましくて。



そんなやりとりを見つめながら、ふと思う・・・そういえば、ちょっと気になっていた事があるんだった・・



「聡太、前から思ってたんだけど、何かスポーツとかしてたの?

服着てたらあまり分からないけど、さり気にすごい筋肉ついてるよね。」



そう、聡太は入学して少し経つけど、まだ帰宅部なんだ。

だけど、すごく引き締まった体をしている。

すらりと長い手足は程良く引き締まっていて、腹筋はしっかり割れていて。


なんで帰宅部なんだろう?もったいないな・・っていう素朴な疑問が頭に浮かんで聞いてみた。



「ん?ああ、筋トレしてるから・・。」


「え、筋トレだけでそんなんなるの!?」


「考えがまとまらない時に、筋トレしたらスッキリするから・・。

そういう時は筋トレするようになったらこんなんなった。」


「それ、ほぼ毎日激しく考えがまとまってないよね・・・・」



すかさず森田君が突っ込む。



「う・・まあ・・・。趣味みたいなもん。」


「なんか、聡太らしいね。」


「それで帰宅部だもん、無駄筋肉だよね。

黙りこくってるから、悶々とするんだよ~

何かスポーツして発散しなよ~ふふ」


「・・そういう希はどーなんだよ。

男として、その体は・・・・・悠宇、なんか言ってやって。」



森田君の頭をぽふっと叩いて俺に話をふる聡太。

森田君の体は・・・・・一言で言うと・・華奢。

細い線の体、ほとんど筋肉はついてないし、色も白くて可愛らしい。


ツインテール姿の森田君を思い出す・・・

ムキムキ・・・ツインテール・・・・!!!



「森田君は、ぜひ、そのままが良いと思います!!」


「あ、朝比奈君、それど~いう意味!?

僕だって、ちょっとは筋トレしたりしてるんだよ!

でも、つかないの!筋肉が僕を拒絶するんだよ!!」


「ふん」


「聡太、その上から見下したような笑い方ヤメテ!!!!!」



いつの間にか周りの男子も集まって、森田君はそのままがいいとかなんとか盛り上がっている。


ムードメーカーの森田君の周りは自然と人が集まってくる。


でも、そうなると聡太はいつも気配を消してしまうんだ。



堂々たるゆったりとした雰囲気も、ぼ~っとしていただけだったり、何も考えてないかと思いきや、ずっと心配してくれていたり、ちょっと人見知りで、スポーツや格闘技でもしていそうな綺麗な筋肉も、趣味の筋トレのたまもので・・・・



次はどんな一面が出てくるんだって、どんどん気になる。



着替えも終わって、皆でガヤガヤと移動する。



今日は入学して二回目の体育。

一回目は持久走だった。

今回は、男女混合のバスケだ。



体育館に着くと、女子はもう整列していた。



男女混合ということで、盛り上がる男子達。

もうお目当ての子がいる人もいて、皆ちょっと楽しそう。



俺は、聡太と同じチームが良かったけれど、身長の関係で見事に別々に分けられてしまった。


5人制6チーム対抗で、森田君もまた別のチーム。



俺はずっとサッカー部だったから、バスケはそんなにした事が無いけれど、人並みには出来るはず。



前回の持久走は、森田君とまったり走っていた聡太。

今日のバスケはどうかな?背が高いし、大活躍かな?

それとも、意外に運動音痴とか?



俺、こんなに授業を楽しみにすることってあったっけ?



ピーーーーーっ!



まずは聡太と森田君のチームの試合が始まった。








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