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不器用な俺と王子様  作者: korone
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自己紹介  side 朝比奈 悠宇


俺は、少し理由があって家から遠い高校を選んだから知り合いは殆どいなかった。



早くたくさん友達ができるといいなぁー…なんて考えながら、まだ生徒もまばらな教室で次々に入ってくるクラスメイト達をワクワクしながら見つめていた。



皆、少しだけ緊張している風で…

でも期待一杯の表情で教室に入ってくる。

友達を見つけて喜んだり、黒板に貼り出された座席表を見て一喜一憂したり。

見ていて微笑ましい。



しばらくぼんやりと皆の姿を見つめていると…



視界の端に見える教室の入り口に、ゆっくりと入ってきた影があまりに大きくて、驚いて視線をそちらに移した。



な、何あの人!!大きい!!!

首にヘッドフォンをかけて、教室に入ってきたその人は、高校一年生とは思えない程大きかった。



俺も背は大きい方で、中学の頃は一番大きくて目立っていたけど、彼は180cmはあるかな!?手足も長くて、頭が小さいからモデルみたいだ。



少し緑がかった綺麗な黒髪で、目にかかる長めの前髪から、切れ長の二重が覗いている。すっと高い鼻、キュッと一文字に結ばれた唇のどれもが大人びた雰囲気だった。



うわぁーカッコいいな!俺とは全然違う雰囲気。



そんなことを思いながら見ているとスタスタと黒板も見ずに席に向かって歩いてくる・・・

と、急に慌てたように振り返り、黒板にゆっくりと歩いて行った。

そして、目が悪いのか、至近距離で座席表を暫く睨みつけた後、ホッと胸に手を当てて一息ついてから振り返り、俺の横の席に座った。

もしかして・・・教室に入って、無意識に中学の時の席に行こうとしてた・・・?



あ、あれ?何か第一印象と違う?かな?



見た目が大人びててカッコいいから、ちょっとした失敗がより目立つ。胸を撫で下ろす仕草なんかなんだかミスマッチで、ちょっと可愛く見えてしまった。



彼が胸を撫で下ろした理由は、後ろから二番目の席だったからだろう。



俺の隣の席に腰をおろした彼は、ざわつく生徒達に混ざることなく教室を眺めていた。そんな横顔も男前で、なんだか余裕を感じる。



今までの友達とは違うタイプだ。

仲良くなりたいな、と思った俺はさっそく話しかけてみたんだけど‥名前より先に、気になっていた身長のことを聞いてしまった。



「ねぇねぇ!君凄く背が高いよね!何センチあるの!?」


「っ!あ、182だけど…」



やっぱり180cmを超えていた!182cmもあるらしい。



大きい大きいと言われていた俺だけど、なんだか仲間ができたみたいで素直に嬉しかった。しかも俺より7cmも大きい。見上げる存在っていうのも新鮮だ。



そこで名前を聞いていない事を思い出し、慌てて自己紹介、彼は真咲 聡太という名前らしい。



それから、真咲君はやっぱり目が悪いのか話す時に少しだけ近づいて、じっと目を見つめて話してくれる。


少し長めの前髪から見える瞳が、髪と同じでとても奇麗な緑がかった深い黒色で、見つめられる度に少し照れてしまって、まくし立てるように喋ってしまった。



低くて落ち着いた声、口数は少ないけれど質問に丁寧に答えてくれる。


俺は良く喋る方だけど、このゆったりとした空気がなんだか心地よかった。



たわいもない話をしていると、チャイムが鳴った。

お決まりの自己紹介タイム。



真咲君はどんな事を話すのかな?

ちょっと気にしていると…



『ガンッ!!!!』



静かな教室に響き渡る衝撃音。



「あっ、すみません!!!!」



勢い良く振り返り、大声で謝る真咲君。

自分の声にビックリしたのか口元を手で押さえ、ゆっくりと前を向いて、とても…とても小さな声で「真咲 聡太です。よろしくお願いします。」とだけ言って席に着き、下を向いてしまった。



や…やっぱり…

見た目とキャラ、違うよね???ドジっ子な感じ???


そのギャップがたまらなく可愛く思えて、可笑しくて、もっと仲良くなりたいと休憩時間を楽しみにしていたんだけど、その願いは女の子達の質問責めで叶わなかった。



ちらりと横を見ると、真咲くんと後ろの席の森田君が楽しそうに話していて、俺も混ざりたかったけどなかなか女の子の質問が終わらずその日は終わってしまったのだった。



女の子の友達ももちろん大歓迎だけど、やっぱり男友達が欲しい。



ありがたいことに、沢山の子に告白されるけど、実感が全然ない。

話したことが無い子からの告白の方が多い位で・・・

それに、あんな事があったし・・・・。



とにかく、俺は今誰かと付き合うとかってあんまり興味が持てないんだ。



それよりも、次は何をやらかしちゃうんだろう・・・って、真咲君の事が気になってしょうがなかった。



友達になれたら楽しそうだな。

明日は頑張って話しかける時間をつくろう!

そう心に決めたのだった。



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