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不器用な俺と王子様  作者: korone
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聡太の告白 side朝比奈 悠宇

聡太は俺達を交互に見た後ゆっくりと話し始めた。



「中2の時、ちょっと良いかなって思ってた子に告白された事があるんだ・・・

ほとんど話した事ねーけど、その子も俺の事見ててくれたんだって単純に嬉しくてOKした。

それから毎日一緒に帰ってたんだけど、段々理由を付けて断られるようになってきて。

俺が何か悪い事したんじゃーねーかって悩んでる時に、偶然彼女が友達と話してるのを聞いちまったんだ。

俺が、鈍くさくて、思ってたのと違ってカッコ悪いって・・・

で、そんな事聞いちゃってどうしようかと思ってたら、それからすぐに振られた。

そっからは、今度こそはって告白される度にOKして、一生懸命付き合ったけど毎回思ってたのと違うって言われて振られたんだよな。

ただお互いに分かりあって、一番大切に思って、二人で綺麗な物や美味しい物を見たり食べたり・・楽しい事を共有してーなって思ってたんだけど、上手くいかなくて・・

でも、そのうちこの子じゃないとダメだっていうのが無くなっていった気がする。

今思うと、ちょっと意地になってたんだろーな。

俺だって、相手の事分からずに付き合ってるくせに、自分は分かって欲しいなんておかしいって今になって気づいたんだ。

高校に入って、バカみたいにモテる事ばっか考えてた俺に希が声を掛けてくれて、悠宇もそのままの俺でいいって言ってくれて・・・

だから、ちょっと前に悠宇にモテたいって言ったけど、今は二人がいてくれるからモテたいなんて気持ち全く無くなったんだ。」



言いきって、ぽつりと聡太がつぶやく。



「自分の事、こんなに話すの初めてだ。」



そして、手で顔を覆っては~っと長いため息をついた。



「こんな、いい加減なヤツで・・幻滅、した?」



指と指の間、少しうつむき加減で、切れ長の瞳が揺らいでいるのが見える。

自分の事を話すのって、たとえどんな事でもすごく勇気がいる事だと思う。

聡太がモテたいって言ってたのは、そのままの意味じゃなくて、お互いを認め合える相手を見つけたいって事なんだと思う。まだ中学生の時じゃ、うまくいかなくて、そんな風にズレてしまっても仕方ないんじゃないかな・・。



「そんな事で幻滅したりしないよ。理想を押し付けられて、困惑する気持ちは分かるし・・・・

聡太は誤解を受けやすい見た目はしてるけど、そのままの聡太を出したって、好きになってくれる人はたくさんいるよ。」


「そーだよ聡太!でも、聡太も、見た目や印象だけじゃなくて、今度は自分で動いて、ちゃんと好きな人を見つけなくちゃダメだよ!」


「おう・・二人とも、聞いてくれてありがとうな・・・」


「で、話しは戻るけど・・友人としての忠告だよ。そこら中で気を持たせるような事をしたらダメだよっ!僕はクラスで泥沼愛憎劇は見たくないからね・・・」


「気を持たせるって・・?」



聡太は心底分からないって顔をして、床に置いていたココアをぐっと飲み干した。



「無意識かもしんないけど、聡太は時々距離が近いんだよ。

バスケの試合の時も、横手さんの頭をポンポンしてたでしょ?

あれ、覚えてる?」



そう言われて、自分の両手をじっと見つめる聡太。



「覚えて、ねぇ・・・・」


「も~絶対無意識だと思ってたよ。あれはダメだよアレは。横手さんが可哀想だよ。」


「あ、そっか、急に触られたら嫌だよな。

そういや、横手さんの頭、ちょうどいい所にあるからな・・

妹の小春とあんま変わらねぇから、無意識に手を置いたのかもしんねー・・・」



「可哀想」をそのまま受け取る聡太。



森田君は聡太の返事を聞いて盛大にため息をついたけど、それ以上突っ込む事はしなかった。



イケメンで無自覚。なんて罪作りなんだろう。それに、横手さんもそうだけど俺が気を持たせられている内の一人かもしれない。なんて、聡太には口が裂けても言えないな・・・



ははは・・って、笑えない・・・!



この間のケーキ屋以来、せっかく友達として楽しみたいと思っているのに、聡太のちょっとした態度や言葉にいちいちドキドキしてしまう自分がいて。



「聡太って妹いたんだねぇ〜似てるの?」


「ん~全然似てねぇな。」


「それは良かった!聡太の女バージョンは、想像できないもん!あはは」


「なんかムカつくな・・・・」



聡太の妹か、気になるな・・・・



「妹さんか、会ってみたいな。」



何となく、言った言葉。



「本当か?じゃあ今度家に遊びに来てくれよ、小春も喜ぶと思う。」


「え!いいの!?行く!」


「僕も会ってみたい〜!」



聡太の家、そして妹さん・・・なんか、すごい楽しみだな。



屋上会議は、森田君の言いたい事の半分位聡太が理解した所でチャイムが鳴ってしまった。



女子の意識が聡太に向いた事で俺は過ごしやすくなったけど、ちょっと複雑な気分なのだった。







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