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不器用な俺と王子様  作者: korone
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探偵決意を固める side 森田 希


一肌脱ぐと決意した僕は、情報収集!?のために二人を尾行することにしたんだけど・・・



何なのあれ・・・・



鳥居の前方にある社の後ろから、コッソリ隠れて二人を見ていた僕は驚いていた。





ここまでの流れを聞いてほしい、



僕は用事があると言って先に教室を飛び出して、校門前の文房具屋さんに飛び込んだ。


そこで出てくる二人をじっと待つ。


ほどなくして二人が連れだって校門から出てきた。


今日は二人が乗るバスにこっそり同乗して、降りた後は人ごみにまぎれながら後をを付ける予定なんだ。


バスはいつも満員できゅうきゅうになるから、最後に飛び乗ればバレないハズ~と、のんきに考えていたら、バス待ちの列を少し眺めた二人は坂を下って歩きはじめてしまった。



まさか、この距離全部歩かないよね!?

聡太ならあり得そうで怖い・・・・



徒歩通学の生徒達に混ざって、少し距離をとってついて行く。


あれ・・・?なんか、いつもの朝比奈君らしくないな・・・下を向いてあまり話をしていない。



体育の時に、僕が余計な事言って意識させちゃったせいかな!?

ど、どうしよう・・・・ハラハラしながら二人を見つめていると、

聡太が心配そうに、何度も朝比奈君の様子を窺っているのが後ろからでも分かった。



聡太、がんばってぇぇぇ~

普段からあまり話題を振る事の無い聡太には難しいか・・・・うぅぅ・・・僕のせいで・・・・



ポツポツと話しながら、二人は坂を下って行く。



並んで歩く二人をはとても目立っていて、時々女子が二人をわざと追い越してチラチラと振り返りながら何か話しているのが見えた。



聡太はそんな視線に気づく事なく、元気の無い朝比奈君を気にしながら歩いていて・・



入学した頃は朝比奈君を羨ましそうに見ていた聡太だけど、クールな見かけと人見知り故のコミュ障が怖そうな人という印象を皆に植え付けてしまったせいで表立って行動に出る子がいないだけで、視線を送る女子は少ないわけじゃなかった。



けど、素直に教えてあげる程、僕は優しくない。

ヤキモキする聡太がなんだか可愛くて、ついついイジワルしちゃうんだよね☆

まあ、それとなく本人に教えた事もあるけど、全然意図に気づいてもらえなかったっけ・・・



ま、そんなとこが聡太のいいところでもあるんだけど。



ふと立ち止まった二人。何か話した後、神社に向かって階段を上りはじめた。



こんな見通しの良い階段を使ったら見つかっちゃうな・・・



ふふふ・・・でも、大丈夫!

僕は、小さい頃からよくこの辺りの神社やお寺で隠れんぼをして遊んでいたんだ。


この神社にも、階段が上れない人の為に裏手に歩道があるのを知っていた僕は、先回りして社の裏に隠れて二人を待つ事にした。



階段を上りきった二人は、良い感じに盛り上がっている!

そうそう、ここ、気持ちいいんだよね~!

隣にそびえ立つ木を見上げて、兄貴とよく木登りをして街を見下ろしていた事を思い出していると・・・・



「よかった・・・・」


「え??」



街を見下ろしていた聡太が、急に泣きそうな顔で朝比奈君の方に向き直った。



「・・・・・悠宇、今日いつもと違う気がして・・・

元気無いのかなって思って誘ったんだけど・・

益々元気なさそうで、よく考えたら、俺盛り上げたりできねーし、

俺といたらツマラナイよなってちょっと後悔してて。

でも、この景色見てもらえて、喜んでくれて良かったなって。」



「・・・・・・・・・」



そっか・・・聡太からなんて珍しいと思っていたけれど、朝比奈君の変化に気がついて元気付けよう思って誘ったんだ・・。


聡太らしいな・・・・


けど、そんな表情なんかして・・・・朝比奈君、大丈夫かな?



「俺・・また、変な事言った・・・・?」



何も言わない朝比奈君を見て、一気に不安になる聡太。

聡太、気になっている人に、そんな顔でそんな事言われたら・・・誰だってトキメイちゃうよ!


聡太の無自覚な好意の破壊力はすごい。


朝比奈君がどう出るのか、僕も緊張してきた・・・

気づかれないように、じっと固まって息をするのさえ忘れて二人を見つめる僕。



すると、困ったように眉根を寄せて切ない表情をする朝比奈君に向かって、聡太が一歩踏み出して、ポケットに突っこんでいた右手で朝比奈君の頬をゆっくりと撫でた。



え、なんか、見ててドキドキするんだけど・・・・


する、のかな?男が男にあんなこと・・・・



僕の頭は絶賛大混乱中だ!そこで、冒頭に戻るわけ。



聡太が手を下ろすと、朝比奈君の目からポロリと涙が落ちた。

朝比奈君・・・泣いてたのか!

僕も何だか興奮してきちゃって泣きそうなんだけど!!



両想い!?

聡太の事だ、無意識もあり得る。

いや、無意識に男にあんな事するんだから好意があるんじゃないの!?


あ、僕パンクしそう・・・・・


なんだか様になるから余計ドキドキしちゃうよ!


そんな事を思っていると、朝比奈君が話はじめた。



「俺、聡太といると、すごく楽しいんだ。

でも、聡太への思いを実感する度、昔あった事を思い出しちゃって・・・

それで、気持ちの整理がうまくつかなくて・・・・・

聡太のせいとかじゃ、ないんだ。

今日は・・・・

おかしな態度をとってたと思う。嫌な思いさせて、本当にごめん・・・・・・

でも、聡太が元気づけてくれて、スッキリした気がする。

誘ってくれて、ありがとう・・・・」



ちょっと、告白っぽくも聞こえるけど、友情ともとれる言い方をした朝比奈君。



可愛い女の子、綺麗な女の子、よりどりみどりな朝比奈君は、いつ見てもサラリと誘いをかわしていたけれど、何か過去に原因があるんだね。



当然といえば当然だけど、聡太はどうやら友情の方でとったらしく、やっと二人にいつもの空気が戻った。



何か理由のある朝比奈君と、鈍感だけど純粋な聡太、聡太はもしかしたら自分の気持ちにも鈍感なのかも・・・・この二人、僕が手助けしなきゃ始まらないね。



今回のミッションで、僕の今後の方向性が見えてきた!



階段を下りはじめた二人を追いかけるように歩道を駆け下りる。


すこし歩くと、市内行きのバス停に二人が並んでしまった。

さすがにこの時間になるとバスに乗る人もまばらになってくるから、僕が一緒に乗り込む事は出来ないな・・残念だけど、今日はここまで。



でも、すごく良い雰囲気になったから、ここからはきっと大丈夫だよね。

聡太、エスコートがんばってよ・・・と、心の中で呟いて、二人を乗せたバスが出発するのを見送った。








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