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第9話

 お待たせしました

 アーシェを仲間に加えて、冒険者登録を済ませてから約二週間ほど経過していた。

その間、アーシェにはさまざまなことを教え込んでいく。 

 銃の取り扱いから始まり、応急手当や公衆衛生学それから偵察・警戒のやり方などを講習と実践を繰り返していく。

 その過程で、アデルのいる東門や冒険者ギルドに了解を取り、東門の一室を借りて野戦病院みたいなことをして、健治はアーシェと一緒に冒険者などを相手に応急手当の練習を始める。

 これに喜んだのは、収入が少なく怪我の割合が多い低ランク冒険者達だ。ポーションなどを使わないのでギルドで行っている物より安く済むからであるが。

ここの所、アーシェを目当てにここに来る奴が増えてきたと思う。しかし、彼女はさまざあな奴らに声をかけられても微笑むだけで相手にすることはなかった。

 そんなある日・・・


 「はい、これで終わりです。今夜は傷口をあまり触らないでください。では、おだいじに」


 「おう、いつもすまんな。どうだいお礼に食事でも」


 「申し訳ありませんが私には主がいますので、お断りさせてもらいます」


 微笑みながらもしっかりとした拒絶にがっくりとうなだれる男。

そんな彼を後ろに仲間は一様に笑っている。


 「マルク、アーシェちゃんは健治にぞっこんだから誘ってもしょうがないって、お前さんの入る隙間なんてないよ」


 「う、うるせい!いいだろがなんて声をかけたって!」


 本来の病院はこんなに笑い声なんか聞こえないが、たまにはこんな時間もあっていいだろうと思っていると。


 「・・・す、すまん!通してくれ!仲間が・・・なんだ!」


 ドアを蹴破る勢いで入ってきたのは、大型の戦斧を背中に背負った強面のおっさん。その肩にぐったりと顔色が紫がかった色になっているトラ族の男、その後ろには緑色のローブを着た女性と弓を持ったネコ族の少女がいた。


 「おい、あれ[ハーメルン]じゃないか?」


 「ああ、Bランクのパーティーがどうして?」


 「お願いだ!こいつを頼む!・・・ギフトバイパーの毒が毒消しを飲ませても消えないんだ!」


 「お願いします。こいつを助けて!あたいをかばって、毒に!」


 ギフトバイパーは黒色の大型の蛇で、小さい物でも3メートルはある。皮膚は防刃性に優れていてその皮で作った革鎧は高い防御力を誇る。

 そのためにバイパーを狩ろうとする者は多いが逆に狩られることが少なくないかなり危険な魔物である。


 「これは!・・・少し頼みます!主を呼んでくるので!」


 瞬時に自分のできる範囲を超えていることに気付いた彼女はそう言い残し、隣の部屋に飛び込む。

そこでは健治が門の兵士たちに応急手当の仕方の講習を開いていた。


 「・・・と、言うわけでなるべく消毒にはアルコール度数の高い蒸留酒を用意しておくといいでしょう。次に」


 「あ、主!大変です」


 「どうした!なんかあったのか!」


 「はい、今、ギフトバイパーにやられた人が担ぎ込まれて、毒消しを使っても効果がないと」

 

 「・・・わかった!急ぐぞ!アーシェも手伝え!」


 このことを聞いた健治は直ぐに診察室に向かった。

そこにはベットに寝かされて息も絶え絶えなトラ族の男とその仲間がいた。


 「確認だ!どこを噛まれた?」


 「右足の腿の辺りだ!」


 健治は噛まれた場所を聞くと、その部分のズボンを銃剣で切り裂く。

そこには確かに、二つの噛み跡があった。しかも傷口にはバイパーの牙が刺さったままである。おそらく牙にかえしがあるか、毒の成分に筋肉を固まらせる効果があるのかもしれない。


 「アーシェ!まず、こいつの口に布を噛ませろ!あと、あんたはこいつの上に座って押さえつけろ!他の人はこいつの両手足をしっかりと押さえろ!


 この場にいる全員を使ってトラ族の男を拘束していく。

これ以上毒がまわらないように噛まれた足の付け根をきつく紐で縛る。

 診察台からアルコールを持ってきた健治はそれを口に含み、傷口に吹きかける。


 「・・・う~~~!!!」


 かなり滲みたのか男は暴れようとするが完全に拘束されているので動くに動けない。

次に健治は道具箱からメスを取り出し煮沸消毒をしてから牙のある所を切り開いていく。

 そもそもなぜ元一般人だった健治にこんなことができるのかというと、この二週間の間に似たようなことが何度もあり、ミケにやり方を叩き込まれたのが大きい。

 そんな理由で、名医ほどではないが研修医くらいのことはできなくはないレベルになってしまった。


 「これか!」


 ゆっくり慎重にとバイパーの牙を取り除ていく。

筋肉から離れても、毒液の黄色の液体が滲んでくる。

 取り出すのが終わると仲間に毒消しを飲ませる。今度は効果があったのか紫色の顔がやや赤みのある健康そうな色になっていく。

 症状を確認し、切り開いた箇所を針と糸で縫いつけ行く。麻酔なしなので刺すたびに足が動くが気にせず進める。

 縫い終わると再びアルコールで消毒をして包帯を巻いていく。


 「・・・もう、大丈夫だよ」


 「本当に、助かったのか!」


 治療が終わったことを強面のおっさんに話すと喜びをあらわにするが、・・・その顔は多分子供が泣き出すレベルの顔がそこにあった。


 「ああ、あとは目が覚めるまで待ってからだな」


 「ありがとうよ。本当に、ありがとう」


 他の冒険者たちも治療が成功したことに喜んでいる。

何より彼らはこの街ではかなり有名人のためかその喜びも大きい。


 「みんな!手伝ってくれてありがとう。これはお礼だ」


 健治が患者を押さえるのに力を貸してくれた[ハーメルン]以外の冒険者たちに銀貨2枚を渡す。


 「いいのかい?こんなに」


 「ああ、あの人を助けられたのはみんなが協力してくれたからな。この価値はある」


 「そうかい。・・・おおし、みんな。これで飲みに行くぞ!」


 「「「おお~~~!」」」


 病院内にいたハーメルン以外の冒険者たちが街に繰り出ていき、一気に静かになる。

残っているのは、健治たちと、ハーメルンのメンバーのみで部屋が広く感じてしまう。


 「すまんな・・・本来ならその資金は俺らが出すはずなんだが」


 患者を運んできたおっさんが頭を掻きながら申し訳なさそうにこちらに来た。

毒を受けたトラ族は回復してきたのか呼吸は安定してきている。

もう大丈夫だろう。


 「いいですよ。先ほども言ったように彼らがいたから彼を助けることができたのですから」


 「だったら、これは受っとってくれ」


 そう言って、彼は健治に銀貨2枚と金貨1枚を手に乗せる。


 「銀貨はいいとしても、この金貨は?」


 「それは今回の治療費だ」


 「こんなにいらないですよ。せいぜい大銀貨1枚です」


 そう答えて、健治は金貨をおっさんに返す。


 「!!!なんだって!。これだけの治療をして、たったの大銀貨1枚でいいのか?」


 「ええ、今回使ったので高いのはありませんし。それぐらいかと」


 実際問題、使ったのは抑え役の人間とアルコールに針と糸、ピンセットぐらいである。こんなんで大金を吹っかけてしまったら、あとが怖い。


 「なんども言うが、ほんとにすまん!俺は[ハーメルン]のリーダーをやっているグスタフって言う。こっちのローブを着たのはハンナと弓使いのエイミー。あと、ベットに寝ているのはエリックだ」


 「俺は、ケンジ。ケンジ・タチバナと言います。ランクはEランクでこっちは仲間のアーシェです」


 お互いに自己紹介をする。

彼らは健治が冒険者でありことに驚く、この世界で医療の知識を持っている者や回復魔法を持つ魔法使いは少なく、また排他的で知識の独占をして治療をしようと思ったら法外な値段をかける者もいるくらいだ。

 故に、グスタフは健治の値段設定に驚くのである。


 「そうか・・・なら、今度なんかあったら言ってくれ。何かの力になれるかもしれない」


 「ええ。その時は、よろしくお願いします。では、自分はこれで」」


 健治は病院の掛札を閉店に返す。

それを見た、グスタフはエリックを担いで出ていく、その横をハンナが後ろをエイミーが歩いていく。

 部屋の確認が終わったアーシェが出てきたのでドアを閉めて宿に戻った。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 「おお~~~い。アーシェちゃん。治療してくれ~~~!」


 声の調子から、全然平気そうな感じの冒険者が病院に入って来る。

ちなみに彼は今回、5回目である。 どうもここ最近はお金を貯めるために依頼をこなすのではなく、病院(アーシェに会いに)に行くために受けているようだ。


 「ここ最近の俺の癒しだぜ!」


 こんな感じである。しかし、今日からは天国ではなくなる。


 「あら~~~、いらしゃあ~~~い」


 彼の顔が強張る。この東門には絶対に会いたくない人物が一人存在した。

奥の扉が開き、それは現れる。


 「今日からここの担当者になった。クラーレよん!」


 そこにいたのは、ガタイの大変よろしい筋肉マッチョの人がぴちぴちのナース服を着て、シナをつくって

男をなめるようにアツい眼差しを向けていた。


 「え!あ、アーシェちゃんは・・・どこに?」


 「彼女は、ご主人の健治さんと冒険者活動を再開したわ。やはりあの二人は私の理想ね、私もい・つ・かは」


 男の問いに答えてあげるクラーレさん。丁寧に答えていくがその眼差しはまさに恋する乙女である。

彼・・・いや彼女は、体は男でも心は女性なのだろう。

 彼女に視線が自分の下半身に感じてしまった男は直ぐに帰ろうとしたが・・・


 「駄目よ!あなたは大事な患者さん。私の許可なしに出ることは禁止よ!」


 唯一の出口である、ドアをふさがれてしまい。

後ずさりするがそこのあるのは冷たい石の壁しかない。

室内を照らす明かりを背にゆっくりを歩んでくるクラーレ嬢、顔の部分には明かりが届かずに両目が怪しく光ることが男をさらに追い詰める。


 「さあ、・・・・・・触診から始めるわよ!」


 医療行為は初めに問診から始めるのが普通のはずだが、彼女は触診から始めるという。

手をワキワキとさせながら近づく・・・そして。


 「あ、あ・・・あ~~~~~~」


 門内部に響き渡る悲鳴に詰めていた兵士たちは一様に冥福を祈っていた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 「主・・・なんだか東門の方から悲鳴みたいのが聞こえたのですが?」


 「今日から、新しい担当の人になったからうれしい悲鳴なんだろう?それに冒険者の中にはアーシェに会うために来ていた奴もいたから早く引き継ぎを済ませたかったし」


 少し不機嫌そうに先を行く健治にアーシェは隣に行くと。


 「主は、焼きもちを焼いてくれていたのですが?」


 「・・・悪いか?」


 「いいえ、私も主にしか興味はありませんし」


 ぴったりと健治の腕に抱きついてくるアーシェ。

当然腕にはアーシェのやわらかい物が二つ包み込むように挟んでいて健治も満更じゃないようである。

 それを微笑ましい視線でいる者や舌打ちする者やいろいろいたがおおむね受け入れられていた。

 今回健治たちは、東門ではなく南門から街の外に出る。

東門は森林地帯と街道が続いているが、南門の近くは田畑が造られているがしばらく進むと起伏の激しい平原が広がっていた。

 南門にある一つの畑を見ると、植えられている作物の発育がよくない。


 「アーシェ、この麦はもう収穫するのか?」


 「・・・そうですね。時期的にそろそろかと」


 「そうか」


 全体的に収穫間近の状態に見えるが、麦の実がそこまで詰まっているわけではないのだろう。

健治はその場に座り、土の状態を確認するとかなりやせていることに気付く。

 土に湿り気もなく、またミミズなどの昆虫もいない。

このままの状態が続けばあと数年後には、この畑は使えなくなる可能性も出てくる。

 とはいえ、今の健治がこのことに介入する義務も義理もないので先を急ぐことに。


 「まあ、いいか。・・・行こうか、アーシェ」


 「はい、主」


 健治は田畑を通過して行き、大経口の砲撃に耐えきれるような土壁を探していく。

そして、街から30分くらい歩いたところにちょうどいい感じのものを発見。


 「うん、ここがいいな」


 そこを正面に向かい合い後ろに500mほど距離をとる。

射撃ポイントに着いたその場所に今回使用する兵器、94式37mm速射砲を召喚した。

 この速射砲は、あの大戦前と初期に活躍することができたが、その後は敵の装甲の重装かなどにともない威力不足が目立ち、後期にはあまり使われなくなったのがこの兵器である。

 今回、なぜ37mm対戦車砲にしたかと言うと、それ以上の経口だと貫通力が高すぎるために魔物を討伐時に討伐証明部位すら消し飛ばしてしまう可能性があるからだ。

だが・・・37mmでもオーバーキルであるかもしれないが。

 あと単純に撃ってみたいという理由もあるが。


 「あの・・・主、これは一体?。お借りしている四式改とはずいぶん違いますが」


 「ああ、これはな。アーシェに渡してある四式改は小銃の分類に入るけど、この94式37mm対戦車砲は対の大砲の分類に入るんだ。こちらは複数の人が付いて操作をするんだ」


 「こんな大きい物を・・・主のいた場所はすごいところですね」


 「アーシェ、これは大砲の分類だと下から数えた方が早いぞ」


 「ええ!これが小さい方なんですか?」


 「ああ、最も大きいのはこれの10倍以上はあるから」


 「これの・・・10倍です・・・か」


 若干、顔が引きつっているアーシェに苦笑しつつ、使用する弾薬を召喚していく。

今回使うのは、94式徹甲弾に94式榴弾を各10発づつ召喚して準備をする。


 「と、いうわけで今からこれの試し撃ちをする」


 「は、はい」


 本来なら一分隊約5名で1門を運用するが今回はいろいろ省いて二人で動かすことになるため、役割としては健治が分隊長・照準手をアーシェは装填手・弾薬手を受け持つことになる。

 二人は各弾薬を確認してから、試射に移っていく。


 「よし、まずは徹甲弾から始めて榴弾と交互に撃っていくぞ!」


 「はい!」


 そううなずくとアーシェは徹甲弾を持ち、砲身に装填していく。

それを確認した健治は照準を土壁の中心部に合わせ始める。


 「・・・距離・・・500・・・射っ!」


 健治が引き金を引くと装填されていた砲弾が土壁に命中し、土煙と共に重低音の着弾音が辺りに響く。

弾着を確認した健治はアーシェに次弾の榴弾を装填させ、一定の射撃間隔で合計20発分の砲弾を放っていくと。

 徹甲弾は土壁を穿ち、榴弾はその爆発で壁を削っていく。

射撃が終了し、段々と土煙は晴れていくとそこのあったのはボロボロになった土壁が姿を現してきた。

例え、威力の低い37mm砲でも集中的に使用すればこれくらいは可能である。

 

 「こ、これが・・・大砲の威力なんですね。主」


 「まあ・・・な」


 健治は若干の不満はあるが、余り経口を上げると土壁を貫通する可能性があり、流れ弾で人に当たる場合があるためにこれぐらいが今の限界かもしれないと考えていると。


 「・・・!主、こちらに何か近づいてきます!」


 「なに!数とかはわかるか?」


 「すいません。でも、何か重い物が複数走って来るみたいな、そんな音です」


 健治は街の方を双眼鏡で覗きこんでみると、確かに街から何人かの騎馬がこちらに向かってくるのが見える。

 ここに彼らが到着するのはあともう少しかかるはず。

急いで、健治は37mm対戦車砲に擬装をかぶせると。

 

 「アーシェ!こっちだ!」


 彼女の手を引いて近くにあった、窪地に二人で寝そべりその上にも擬装を被せていく。

だが、まだ日が高くてしかも二人で狭いところにいるために段々と蒸してくる。

 暑いが動くに動けない状況が過ぎて行くと、ようやく音の発生源である騎馬たちが来た。そこは健治たちが試射して穴だらけになった土壁の方に向かっていく。

 

 「・・・これが、報告にあった音の正体か?」


 「すごいですね。街にいる魔術師にもここまではできないかと」


 「よし、お前たち。一応この辺りを捜索しておこう。何か異常があったらすぐに報告だ」


 「「はっ」」


 騎士の1人が馬から降り、健治たちの方に歩いてくる。

余程、慌てて来たのかこちらに来た騎士は兜を付けていない。そしてその顔には見覚えがあった。


 「もしかして・・・アデルか?」


 「?・・・誰だ!」


 アデルはどこからか聞こえてきた声に驚き、腰の剣に手を伸ばす。

ゆっくりと辺りを確認しているが健治の居場所はわからないみたいだ。


 「ここだ、アデル」


 健治は、擬装を解いて姿を現す。

その光景にアデルは一瞬驚く、なんせなのもないはずの所から人が現れるのだから。

そして、立ち上がった健治を見て彼はため息をついた。


 「なんだ、健治か驚かすな。と言うか、なんでそこに隠れていたんだ」


 アデルは二人に視線を移していく途中でアーシェを見たとき顔を赤らめた。

被り物をして隠れていたので健治たちは汗をかいており、そのせいでいつもより色気が増していた。


 「なに、街から騎馬が走って来るから面倒事はいやだと思ってな。それでアデルは?」


 「お・俺か、俺は南門の連中がこの辺りで何回もの爆発音が聞こえたって連絡が来てな。調査しに来たわけだ」


 「南門?アデルは東門の責任者だろう?」


 「ああ、だが東門は即応部隊も兼ねているから人数も多いんだ。それに南門の連中は貴族の子弟ばかりだから即応には答えないしな」


 「それは・・・警備としてどうよ」


 「まったくだな。それより・・・あの土壁は健治がやったな」


 「なんでそう思う?」


 「まあ、なんとなく感だが、健治の使っている武器に似ているからだな」


 「はあ~~~。まあ確かにあれは俺が武器の試射をしたあとだ」


 「ああ、なるほど。・・・これは黙っておくほうがいいかな」


 「そうしてくれ」


 「わかった。おお~~~い、お前らこっちにこい!」


 アデルが2人の部下を呼び寄せる。

2人は駆け足でアデルの元に急ぐ。彼らはアデルと同じ東門の人間のようだ。


 「おし、おまえら。今回の調査はここまでだ。どうやら今回のことはどうやら健治の武器の音らしい、よって調査はおしまいだ」


 「わかりました。隊長」


 「では、早く帰って昼にしましょう!」


 「そうだな!では」


 街の方から鐘の音が聞こえてくる。確かこの音は・・・。


 「~~~!昼飯が、終わってしまった!」


 どうやら今日の彼らが食べるはずだった昼食は露と消えたようだ。

だが、今回のことは健治にも少し責任があると思いアデルに提案することにした。


 「なあアデル、これから俺たちも昼なんだ。一緒にどうだ?」


 「いいのか?」


 「ああ、一人も二人も余り大差ないからな」


 そう言うと、健治はM1937野戦調理レンジと今日の昼食の材料を取り出してから作り始めていく。

本日は、日本陸軍の黒パンにジャムと五目かき玉汁をアーシェと作っていく、だが実際に作るのはかき玉汁ぐらいなので簡単だったりする。黒パンは召喚すれば焼き立てが出てくるから早い。

 昼食をつくっている間にアデルたちは馬に水を飲ませるために川まで牽いて行こうとしていたので健治は給水車と桶を召喚して、アデルたちに渡しておいた。

始め、彼らは給水車に驚いていたが水が出るとさらに驚いたようだった。


 「さて、できたぞ」


 「おおすまんな。では」


 健治たちにお礼を言うと、彼らは食べ始めた。

それはすごい速さで、一人分として一斤の半分でいいかと思ったら、あっという間に完食してしまい用意していた5本すべてがなくなってしまった。

 そんな彼らの食欲にただ驚く健治であった。
















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