第七話
遅くなりました。
翌朝・・・
昨夜は結局、一時間悩んだが答えが出なかったのでギルドの食堂で食べることにピークは過ぎたのか人は疎らでゆっくりと食べることができた。
出されたのは、昨日の村と同じのメニューであるがこちらの方が具が多かった思う。
夕食を終えて、ミケに依頼する物を確認することに。
今回、開発するのは主に軍服や軍装を大戦終結時までと三ヵ国の装甲車・装甲兵員輸送車などの開発をメールで送る。優先開発は陸軍兵器いわゆるランドパワーである、これに関してはドイツ軍は日・米を上回っているためだ。
「さてと、朝食を食べてから仕事に行くか」
今日から冒険者として初仕事のせいかやや早歩きで部屋を出ていく、階段を下りるとすでにFランクのボードの前には人だかりができている。 どうやら少しでも割のいい依頼を探しているようだ。
そんな彼らを見つつ、健治は腹ごしらえのために食堂に向かうことにする。
朝食を食べてから再び視線をFランクのボードにやると、選び終わったのか人は疎らになっていた。
「それじゃ、確認に行きますかね」
健治がボードに張ってある依頼を見てみると。
・薬草の採取 *常設依頼
・ゴブリンの討伐 *常設依頼
・ガルムの討伐 *常設依頼
・角ウサギの討伐 *常設依頼
・マッシュの討伐
・
・
・
なんか張ってある依頼が定番のしかないな・・・。
ゴブリンは魔石のみで他のガルムと角ウサギは毛皮と肉の買い取りをしている、おそらく商業ギルドで買い取って彼らの店頭に並ぶのだろう。冒険者に依存するから肉の供給率は不安定になりやすい、だから宿屋のメニューでは割高になりやすい。
それに常設依頼は依頼を受けてなくてもいいみたいだが、依頼を受けてないときは依頼による報酬はでない。それと買い取りは討伐から3日までの物のみ、と。
「では、受けてから討伐したほうがいいな・・・取りあえずゴブリンとかの依頼を受けてこのあたりの地理を確認したほうがいいな」
そんなことを考えて、健治はゴブリンの依頼書を取り、受け付けに向かった。
依頼の受付を済ませた健治は一度部屋に戻り、装備を確認する。
主武装 四式自動小銃改
副武装 コルト・ガバメントM1911A1
M24柄付き手榴弾
あともしもの時のために、アイテムボックスにMG42機関銃とその弾薬を入れておく。
軍装はM35ヘルメットにM36フィールドジャケット、個人装具に着替える。
昨日と装備は変わらないが森の中ではどんな魔物がいるかわからないためなるべく火力は高い方がいいのでこんな風になった。
「では、いってきますか」
健治は部屋をそしてギルドをあとにする。
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昨日のくぐった東門に歩いていくと。
「よう!昨日あった変な恰好した少年!」
そう声をかけたのは東門を通る時に世話になった門番であった。
夜勤明けなのか少し眠そうに見える。
「変な恰好とは心外だな」
「ははは、このあたりじゃ見ないからな。気を悪くしたならすまんな。ギルドには登録してきたか?」
「ああ、これだ」
健治が彼に冒険者のギルドカードを見せる。
「やはり、冒険者か・・・命は大切にしろよ」
急に真顔になり、そうつぶやく。今までいろんな人間を見てきたのだろう、そして二度と帰ってこなかった奴も多いはずだ。
自分がこの街の門番である以上見送ることしかできなかったことへの歯がゆさも経験したからのもので決して無視していい言葉ではない
「もちろんだ、自分の手に余る時はさっさとにげるさ」
「そうしてくれ・・・と、昨日預かった銀貨だ。 じゃあ気を付けてな」
「ああ、気を付けるさ。門番さん」
「・・・俺の名は、アデルだ」
「自己紹介は済んでなかったな、俺はケンジでいい。それと乗り物を出すから騒がないでほしい」
「?ああ、それは構わないが・・・どこにあるんだ?」
健治は西門を少し外れると、メニューから97式オートバイ(サイドカー付き)を召喚する。
日本陸軍の初の国産バイクである陸王をベースに開発してあるのでその性能はかなり高い。 今回はサイドカーに乗る人間がいないので荷物入れにしておく。
97式側車を召喚したあと振り返るとアデルは口を大きく開けていた、彼にとって召喚する乗り物は魔法による召喚獣であり完全な動物だったので完全金属の物が出てくればそれは驚くものだ。
「そっそれはなんなんだ?」
「だから乗り物」
「俺はてっきり召喚獣かと思っていたが、こんなのもあるんだな」
「まあな、じゃあいってくる」
「・・・あ、ああ」
呆然とするアデルを置いておいて、97式側車にまたがる。 エンジンいや発動機と言った方がいいか、火を入れると1200CCの発する振動が体に走る。
出発の前にミニマップで確認すると、街の近くには敵性の光点はない。 ここからならそれなりに行かないといないのかもしれない。
「しょうがない、少し飛ばすか・・・・・・ぶっ!」
健治は、アクセルをふかすとブレーキを放して、進ませようとしたが加減を間違えてしまい。ゆっくりとではなく一気に加速してしまった。
いかに完璧に使えるスキルを持っていても、所詮は人が使うので間違えることもある。
土煙と共にいなくなった健治をアデルは再度フリーズすることに、この後付近で見ていた商人に囲まれることになるのだがそれを健治は知らない。
「・・・と、ようやく安定したよ」
出発時に少し失敗があったがそのあとはおおむね予定通りである。
昨日、お世話になった村に行く道を過ぎて行き、さらに進んで行く。時折道を歩いている馬車や冒険者がいたが基本無視。追いかけてくる馬車がいたが直ぐに振り切っていく。
そんなことをしつつ、約い1時間ほど走っているとミニマップにまとまった反応があることに気が付く。
ここなら付近に同業者がいないので取り合いにはならないだろう。
「ここら辺でいいか。依頼はゴブリン5匹の討伐、しかしそれ以上でも可」
97式側車を収納して、4式小銃改を肩に担ぐと健治は森へと進んで行く。
しばらくは、鳥の鳴き声の聞こえていたがマップにある赤い光点に近づいていくと聞こえなくなっていく。どうやらかなり近くにまで来れたらしい。
「そろそろか」
4式のマガジンを確認して、初弾を装填。 一連の動作を完了すると、辺りを確認していく。
赤い光点がこちらに接近してくるので樹の影に隠れ息を殺していると、獣道を歩いてくる3匹のゴブリンを見つける。 初日のこともあるので各ゴブリンの持っている物を確認すると、角笛はなく棍棒が2匹と剣が1匹だった。
しかし、いづれも手入れをしていないのかどれもボロボロである。
それを確認すると健治はサイトをゴブリンへと合わせていく。
森の中に一発の破裂音が響く、ゴブリンは辺りを見回すが敵は見えないが真ん中の剣を持った1匹の様子がおかしいことに2匹が気づく。
2匹が確かめようと手を伸ばすが触れる前にその個体は倒れる、額から血をながしながら。
仲間がやられたことに気が付いた2匹は、敵を探そうとするがその前に再び破裂音が響く、今度は2発。
その音が鳴りやんだ時、2匹の命は消えていた。
討伐証明の右耳を回収しておく。
「これで3匹、あと2匹だな」
このあたりにはいないのか隠れていた鳥の声が聞こえ始める。
ミニマップで確かめると、道を挟んで反対側にいくつかの集団があることがわかる。 しかし、今回は無理をしないことにしているので少ない方に狙いを付けた。
「ここからなら歩いて30分くらいか」
本来なら警戒しながら進むので30分ではいけないが、ミニマップのおかげで余計な警戒をしないで済むことはありがたい。
そんなことを考えつつ、森の中を歩いていく。
しばらくすると道に出ることができたが、この道はしばらく使ってないもしくは使われなくなったのか草が伸びきっていており、ここをもし馬車が通るとしたらゆっくりと進んで行かないと車輪に草が絡まってしまうことになりそうである。
それにいつ魔物に襲われるかもしれない道だ、ここを通過する馬車はまず間違いなく真っ当な商人とかではない。
再び視線を森に戻すと、ゴブリンの集団で少ない方は健治の近くにいる。
風を確認して風下から近づいていく、目視可能の距離に行くとそこにはゴブリンは全部で6匹。
各武装を見ていくと、棍棒が3匹に槍持ちが2匹、杖もちが1匹を種類が豊富であることに思わず苦笑してしまう。
奴らは、何かの動物の肉をたき火で焼いていた。おそらく、杖もちが火の魔法を使って火を起こしたのだろうか? 案外杖もちは知恵が他より高いのかもしれない。
・・・それにちょっと美味しそうと思ったのは、気のせいだろうか?
「機関銃で倒してもいいが、森の中で撃つと下手したら他のを呼びよせることになりかねない。なら」
健治はベルトに差していた24型柄付き手榴弾を取り出し、安全キャップを外して、点火コードを引き抜き奴らの投げつける。
すると、手榴弾はたき火の中に入ってしまう。
ゴブリンは飛んできた物を不思議そうに見ようとした時、奴らを中心に爆発が起こった。
本来飛んでくる破片はすべてゴブリンに刺さったようでこちらには飛んでこなかったが上に飛んだ破片はわからない。
爆煙が収まっていくとそこには原型をとどめていないゴブリンの姿があった。そのせいか討伐証明の右耳を回収できたのが3匹分だけであとは吹き飛んでしまった。
「今日は来なところか。あとは昼をたべ・・・!」
討伐(爆破)地点を離れて帰ろうと準備をしていると、旧街道の方から馬の嘶きが聞こえてくる。それと合わせて車輪の音も。
様子を見るために健治は旧街道の直ぐ脇の草むらに身をひそめると、その音の主が近づいてきた。
馬二頭立ての馬車のようだが肝心の荷台がない、しかも先ほどの馬車の音より軽い。 どうやら荷台を切り離して走行しているようだ。 さながら旧世代のチャリオットのような馬車に豚のようなやつがのっているが、隣に座っていた人はぐったりとしていたからおそらく死んでいるだろう。
おそらく何かの襲撃に遭い御者がやられて、荷台にも何か問題が起こり切り離したようだ。
そして、ここからでも微かに臭うのは何かが焦げるもの。
「急ないとやばいな。ミケ来てくれ!」
インカムに叫ぶと、そこから光に球が飛び出して人の形を作る。
「健治殿、状況は分かっている。急いで97式側車を出して現場に急行するぞ」
「そうだな」
健治は97式側車を再召喚するとミケと共に乗り込み、臭い発生源にアクセルを全開でぶっ飛ばした。
時間にして数分だが、それがやけに長く感じていくがそんなことを気にしてはられない。
やがて、黒い煙が立ち込める地点に着くとそこには燃え盛る炎に包まれていた。辺りに獣又は魔物の姿はない、この煙と火で遠くに逃げたのだろう。
「健治殿、さっさと消防車を出してから、中の確認を!」
「おう!」
健治がメニューから消防車を出すと、ミケは自分の分体を呼び消火活動を開始する。
健治は健治で荷台の後ろを確かめに行くと。
「っ! 檻!あの商人,奴隷商人か!」
檻には当然のごとくカギが付いていたが、M1911A1コルト・ガバメントで撃ち抜く。
ガバメントの強い反動が肩にかかるが、今は気にしていられない。
カギが壊れ、檻が開くと熱を持ち始めているドアを開ける。
「大丈夫か!・・・っ!」
そこには5人の女性がいたが、奥の方にいた2人はすでに火が燃え移っていた。だが手前の3人は何とかなるかもしれない!。
急いで、運び出していくと徐々に火が消えていくのを肌で感じていく。最後の1人を運び出すとミケは全開の放水で火を消していく。
「ふぅ、どうにか火は消えたな。健治殿、そっちの大丈夫かい?」
消火活動が終わり、分体にまかせたミケがこちらに向かってくる。
最後の1人を横に寝かせて、彼女たちの状態をふたりで確認すると。
「こちらの2人は手遅れだ。だが、こっちの兎人族の娘はどうにかなりそうだな」
「そうなのか?」
「もっともこのままなら死んでしまうが・・・な」
「なら、どうすれ・・・ああ、これを使うのか」
アイテムボックスから、メディカルガンを取り出す。
初めて使うが不安はあまりなかった。
ぐったりしている兎人族の女性の首に当て、メディカルガンを射ち込む。すると、彼女の体が淡く光り始め腕などにできた火傷を治していく。
細かった呼吸も規則正しいリズムになっていくと光もなくなっていった。
「しかっし、助けられたのは一人だけか。・・・あの商人は外道だな」
珍しく、ミケすらも悪態をつく。健治にしてみれば全員を助けてたかったが、どうにもできないことが悔しかった。
その悔しさを紛らわすために、スコップで4人を埋めるための穴を掘る。
数十分後、何とか4つの穴を掘り終える。そこに彼女たちの亡骸を入れていき、上から土をかけて埋めていく。こんなところに墓標を立てるわけにはいかないのでそのままだが何とか墓を作ることができた。
墓に手を合わせて彼女たちの冥福を祈る。
「さて、あまりここにいるのはお勧めしないが、今から街に行っても門がしまっていよう。 今夜は近くで野宿と行こうかね。健治殿」
「そうだな、ここからなら近くに川があるからそこにしよう」
ミケと相談して野営することを決め、健治は兎人族の女性を担ぎあげ歩き始める。
森の中では車が走れるような道はないので歩くしかない、身体能力強化スキルをくれたあの神様には感謝するしかない。
しばらく歩いていくと目的地に到着する、そこは燃えていた現場を見ることができる場所で近くには小川が流れていて、水分補給には事欠かない。
川の傍には小さな広場があるのでそこに軽半装軌式装甲兵員輸送車Sdkfz250を召喚し、荷台の屋根の部分に防水シートをかぶせ留め具で固定する。
それが終わると、荷台の中に彼女を運びいれて丸めたポンチョを枕にオーバーコートを毛布の代わりにかけておく。
看病がひと段落して、健治は輸送車を降りるとそこには焚き火を熾していたミケがいた。
「うん?彼女はいいのかね?」
「ああ、よく寝ているからな起こすのに気が引けたからな。それじゃ、夕飯の支度でもするかな」
メヒューから米軍のM1937野戦調理用レンジを取り出す。 ドイツ軍や日本軍のフィールドキッチンは200人前ぐらいを調理することができるが今の人数では、性能の無駄遣いである。 しかし、この野戦レンジは50人分ぐらいなのでまだやりやすい。
メニューの中から、夕食用の材料を取り出していき作っていくのだった。
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夕食の準備が終わるころ、装甲車の荷台から微かだが物音がした。
「・・・起きたかな?」
「どうだろうか?様子でも見に行けばいいのではないか?」
「仕込みも終わったし、そうするか」
レンジの火を消して、保護した彼女を身に荷台へと向かう。
装甲車の後部ハッチを開けると、ちょうど目が覚めたのか保護した少女が上半身を起こしていた。
「・・・起きたか。 体に異常はないか?」
「・・・・・・はい、だいじょうぶ・・・です」
起きたのはいいが表情が暗い。 ああ・・・そうか
「俺は・・・いや、俺たちは君を運んでいた奴隷商の仲間ではない。 安心してほしい」
しかし、少女は俯いたままである。 余程怖い思いをしたのか、微かに手が震えていた。
「・・・おなかが空いていたら、降りてきてくれ」
返事はなかったが伝わったはずなので、健治はレンジ前に戻り食事を盛り付けていく。
簡易テーブルに料理を並べて行き、ミケを呼ぶ。
「ミケ。食事ができたから夕食にしよう」
「そうしようか・・・」では」
「「いただきます」」
二人が食事に手を付けながら、今後を話していく。
1番優先されるのは、保護した少女のことだった。
「健治殿。先ず第一に、彼女をどうするかだ」
「どうすとは?」
「うむ、健治殿は彼女・・・兎人族がこの世界でどんな扱いを受けているか、しっているかね?」
「いや、この世界の常識はほとんどないに等しいからわからないとしかな」
「まあいい、結論から言うとこのまま健治殿と主従契約を結んだ方がいいと私は思う」
「どういうことだ」
ミケからの話に健治は少し苛立ちを覚える。 それでは彼女欲しさに助けたと思い、思われてしまう。
そんなことを感じ取ったのか、ミケは直ぐに言葉を足す。
「なぜ、と言われればな。 この世界の獣人族は人族よりも身体能力が高い、が例外もある。 兎人族のような力が弱い種族もいる。と言っても俊敏さは兎人族の方が秀でているがそれだけだ、彼女たちにはほかにも人間に狙われる理由がある。それは他の獣人族よりも美男美女の割合が多いこと。 故に貴族には高値で売れるからさ、だから彼女たち兎人族は本来森の奥に隠れ住んでいるのさ」
「獣人族のエルフかよ」
「言いえて妙だね。だから彼女を守る意味でも、契約をしておいた方がいい。という話さ」
「わかった。だけどまず彼女に聞かないとな、今後を左右することだし」
「そうだな。 ・・・先ほどから聞き耳を立てているお主のことじゃよ」
振り向くと、オーバーコートを羽織りながらこちらを窺っている少女を視界にとらえる。
自分のことに関する話をしていたのでこっそり聞いてもしも売られるよな時は、逃げようとしていたのだろう。
「私を・・・どうするんですか?」
「どうもしないよ、ただこれだけは言える。君を奴隷商に売ることは絶対にしない!」
「・・・・・・その言葉を信じても、いいのですか?」
何かにすがるように少女は言葉を漏らす。
それは命の値段が安い、この世界で必死に手を伸ばそうとしているようだ。
「いきなりは、信じろ!は無理かもしれないが、必ず」
「・・・お願い、します。・・・たすけて」
「ああ、任せ(くぅ~~~)」
いい場面を割り込むように聞こえたのはミケの真っ赤な顔とおなかの音であった。
ヒロインは出ましたが詳細は次回にでも。
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